敏音知岳(ぴんねしりだけ)(704m) 
敏音知コース   2名 04,9,09

記録破りの暴風台風18号の翌日、至るところの倒木や木の枝に覆われた登山道を辿り、北海道本島最北端の山から宗谷方面を一望する

8:00 豊富温泉発
9:15 ピンネシリ道の駅
登山地点下山
 9:30
10:10
11:05
11:35
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登山口
白樺の泉
軍艦岩
頂 上
東峰まで往復
13:55
13:35
12:50
12:30
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[2:05]所要時間[1:25]
14:00 ピンネシリ温泉(入浴)
 この山も、北海道各地にあるピンネシリ(アイヌ語で男山)とマチネシリ(女山)のペアの山である。北側の知駒岳下の道路から見ると、右の端正な山が敏音知岳で、左隣の低くくて平坦な山が松音知岳である(1)。登山道のある北海道本島最北端の山であるが、当初は標高が低いこともあり、それほど登りたい山でもなかったし、遠いこともありずっと登り残していた山である。

 3日前の紅葉目的の「黒岳〜桂月岳〜北鎮岳」を下山後、道北旅行を兼ねて宗谷岬経由でこの山を目指すが、北海道各地で観測記録を塗り替えるほどの暴風により莫大な被害をもたらした台風18号に出会って足止めを食らい、前夜は車中泊ではなく、避難を兼ねて豊富温泉に泊まる。まさに台風一過の秋晴れの朝を迎え、登山口のある中頓別を目指すが、この山に近づくに連れてだんだん上空の雲が多くなる。


 登山口は、ピンネシリ温泉とセットになった道の駅になっている。林道ではなく、登山口が国道沿いの道の駅で、登山の受付もその中にあるという珍しい山である。しかし、今回の場合はそれが非常に幸いしたことになる。それは、ほとんどの山は林道が倒木で塞がれて、登山口まで辿り着けないとのことである。

 その道の駅の建物の右側の道路を100mほど進むと赤い鳥居があり、そこが登山口で、その左手に登山道の詳しい案内板が建っている(2)。

 赤い鳥居を潜って直ぐにシラカバの大木が3本、階段を塞ぐように倒れている。びっくりしながらもそこを通り抜けると、今度はトドマツが根こそぎ何本も倒れていて(3)、その先わずか200mほどの学習林に30本ほども倒れていて、その中の数本が道を完全に塞いでいる。昨日の台風の威力に改めて驚かされる。


 そのような倒木を跨いだり、潜ったり、巻いたりしながら、木の枝や木の葉の絨毯状態の登山道を進むが、その先も倒木の頻度は減少するもあちこち至る所に見られる。足下には、まだ緑色のままのドングリやヤマグルミやコクワの実が落ちている。

  10分ほど進むと「カッコーの橋」を渡る。その先はみごとなほどすっきりと高く伸びるトドマツ林の中の整備された道である(4)。さらに進むと、北海道の巨木100選に選ばれている根元から数本の幹が別れている「千本シナ」」のそばを通過する。千本はちょっとオーバーであろう(5)。

  ずっと続く気持ちのよいトドマツ林を抜けると、小さな穴からチョロチョロと湧き出ている「白樺の泉」で、その先はシラカバ林となり、斜度も急になる。ここから左へ折れる。ここまでで約40分である。








  「2km地点」の標識の建つ「石畳の坂」を登っていくと、「紅葉の滝」であるが、水が伏流している急な沢で、滝はどこにも見当たらない。この辺りから急斜面となるが、登山道はその斜面の等高線上をトラバースして東側へ緩やかな道が続く。途中に将棋の駒をひっくり返した感じの岩の道ということから命名されたいう「駒返しの坂」がある。

  その先から急斜面に8回ほどのつづら折りの道となり、急な登りはほとんどない。頂上の三吉神社の参拝道として登山道が開削されたのか、登山道として開削されたのか分からないが、頂上まで登山者に非常に優しい道づくりである。曲りにまで、「大松の曲」「水松の曲」などの名前が付いている。「大松の曲」の手前で直径1mもありそうなトドマツの木が途中からボッキリと折れているのにも驚かされる。途中から下に国道275号線を挟み、道の駅とピンネシリ温泉が見える。その上には、パンケ山(左)とペンケ山が見え(6)、その南に鋭く尖って天を突く鬼刺山が気になる(7)。

 梯子が掛けられた「軍艦岩」(8)でようやく尾根に乗る。周りには高い山がなく、畑と林と丘陵地帯の展望が一気に広がる。振り返ると南に3年前に山スキーで登った緩やかな函岳が見える。

 尾根は急であるが、やはり優しくジグが切られている。右側には、深く浸食された沢地形が地面を露出させて荒々しく頂稜まで突き上げている。尾根の右上に東峰が見え、その東側の奥にこの辺りで最も高いポロヌプリが見えている。北西側に日本海が覗き、その先に頂上を雲で覆われた利尻富士が微かに見える。

 尾根に小さくジグを切って付けられた急な道を15分ほどで、ようやく頂上に到着する。頂上は小さな二つのピークからなり、手前にきちんと周りをコンクリートで囲まれた二等三角点と頂上標識があり(9)、奥のピークには赤い屋根の三吉神社と展望案内板が設置されている。もちろん、360度の展望を遮るものはなく、道北や宗谷丘陵の眺望が広がる。

 頂上から、頂稜の先の東峰を見ると、なんとなく向こうが高そうに見える。よく見ると、そこまではっきりとした道が付けられているので、休憩前に辿ってみる(10)。途中小さなコブを一つ越え、5分ほどで到着する。はっきりとしたことは言えないが、GPSの高度計ではどうやら2〜3mほど高いようである。

 本峰に戻り、北海道の北端の360度の展望を欲しいままに昼食を摂りながらゆっくり休憩する。北西には微かに利尻富士が見え、北側はまさに宗谷丘陵といった感じで、低い丘のような山と林と平地には農地が広がり、左手に日本海、右手にオホーツク海が見え、その中間の先が宗谷岬である(11)。天気がいいと、その先にサハリンも見えるらしいが、水平線は雲で覆われていて、その手前の礼文島も見えないのが残念である。

 下りも、優しいジグを切る道のお陰で、本来はかなり急な下りとなるはずであるが、のんびりと下ることができる。下山後、ピンネシリ温泉で汗を流すが、その温泉の前から一気に聳える頂上と軍艦岩付近から辿った右側の尾根が見えている。



 




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