夏山・札幌岳からの縦走編へ
空沼岳(冬山スキー登山編)

ガス空の下を迷走の末、諦めた狭薄山とたどり着いた空沼岳
3/19(日)
 13:30  真駒内地下鉄駅前集合
 14:30  空沼岳冬山登山口発
 17:15  万計山荘

3/20(月)
  6:30  万計山荘
  7:40  真廉沼
  9:00  引返し地点(1160ピーク付近?)
  9:45  真廉沼
10:30  引返し地点(標高1000m付近)
11:00  真廉沼夏道取付き
12:00  空沼岳着
12:20  空沼岳発
13:32  万計山荘着
15:05  万計山荘発
16:20  冬山登山口

  北海道の山MLのメンバーである千露呂の会のリーダーがんさんから誘いを受け、同じMLのしんりさんと二人でゲストで参加する。メンバーは同じMLのQさん、Kiさん、そしてSiさん、Miさん、計7名である。

 今回の計画は、1日目に万計山荘に一泊して、2日目に夏道のない狭薄山へ登り、空沼岳に寄って戻るコースである。

 前夜、札幌はすすきのを舞台に3次会まで盛り上がった「北海道の山ML」の懇親会に参加し、妻の実家に帰宅したのが2時半過ぎである。午前中は二日酔い状態で、昨夜購入した念願の山スキー用のフリッチのディアミールを装着したカービングスキー(173cm)を取りにスポーツ店に寄り、所用を足して集合場所に駆け付ける。

 空沼岳の冬山登山口は採石場を抜けた橋(夏に札幌岳から縦走後に車で拾ってもらった所)の手前になっているようである。そこに車を置いて、スキーにシールを付け、まず夏山の登山口までの林道を進む。天候は曇りであるがまったくの無風である。夏山登山口から橋を渡り、登山道に入る。先に入ったグループのスキートレースを辿りながら、しんりさんに鳥の鳴き声や動物の足跡の特定を教えてもらいながらの楽しい登りが続く。休憩する度に缶ビールの回し飲みである(1)。すぐ心拍数の上がる自分は一口だけにしておくがこれがまた旨い。
参加メンバー
左から、私、Miさん、Qさん、しんりさん、がんさん、Siさん、Kiさん

 冬山登山口から 2時間45分で静かなたたずまいを呈している冬の万計沼に迎えられ、誰もいない万計山荘へ到着。小屋の中に入り、1日目の装備を解く。ストーブに火を入れるが、すっかり冷え切っている小屋はなかなか暖まらない。早速、乾杯をして宴の始まりである。夕食はリーダーのシェフがんの刺身とチゲ鍋である。自分は、昨夜の飲み過ぎで、体の方があまりアルコールを受け付けてくれないようである。ある程度飲んで話の輪に入っているうちに背中がストーブで暖められて居眠りを始める。

 勧められて先にストーブの横の特等席に寝床を確保し、盛り上がっている話を耳にしながら横になる。だんだん酔いが覚めて来るに連れて眠気も覚め、とうとう除雪車まがいやうめき声やらの鼾の狂奏曲を耳にしながら、ストーブのマキ入れ係に徹して朝を迎える。
いざ、出発!

 5時起床。天候は天気予報に反して、無風でガスの上は晴れているような曇り状態である。朝食をとり、不要な装備をデポして、そこから仕事の関係で戻るKiさんと別れて出発(2)。まずは真廉沼を目指して、静かな林の中をがんリーダーの後に続いて進む。1時間ちょっとでホワイアウトの真廉沼へ到着。凍った湖面の雪の上には縦横無尽なスーモービルの痕跡が広がっている。

 狭薄山を目指すべく真廉沼を横切り、再び林の中を進み、ひょうたん沼近くの狭薄山への取り付きの夏の縦走路を目指すが、ガスのために現在位置がなかなか確認できない。取り敢えず、縦走路と思われる辺りまで登るが、ガスのために目指す狭薄山はおろか現在地を確認するための周りのピークもまったく見えない。しんりさんのGPSでは1160m ピークにいることになっているが、高度計が100mほど合わない。しばらく方向を西側にとって緩やかな稜線状のところを進んでみる。
                         
最初の戻り地点のピークで

 狭薄山を諦め、仮想ピークということで缶ビールで乾杯する(3)。あとは、自分たちのトレースを辿り、真廉沼まで戻り、そこから空沼岳を目指すことにする。下りの途中、Siさんが膝を痛め、真廉沼からQさんが付き添いで山小屋に戻ることになり、4人で空沼岳を目指す。

 真廉沼の縁を辿り、夏であったら静かな池沼が広がっているであろうと思われる湿原状態の所を空沼岳を目指してスノーモービルの跡を歩くスキー気分で進む。クロスすると期待した昨日夏道を登ったと思われるスキートレースになかなかのぶつからない。1時間ほどで現在地を確認するが、どうも目指している方向がずれているようである。再び、真廉沼へ戻り、夏道の取り付きを探し、ようやく、そこにトレースを見つける。

 これまでの迷走にやや弱気になっている中で年長のしんりさんの「一つくらいピークを踏まないと腹の虫が収まらない。」のひと言でアタックすることに決定する。簡単に腹拵えをして、急斜面をジグを切って登って行く。シール登りに慣れていない自分にとって急斜面は後ろに滑ろうとするスキーを押さえるのに一苦労である。うしろからしんりさんの助言を頂き、ギャーギャー一人だけ騒ぎながらがんさんの後に続く。3日連続の寝不足の上、他の3名は体力自慢の自分の上を行く怪物ばかりである。休憩することもなくひたすら頂上を目指すのには参った。夏道より北側から稜線に登り、あとは稜線ぞいに頂上を目指す。
空沼岳頂上で乾杯!

 ようやく頂上に到着と思った途端、 10mほど手前で何かの拍子で転倒してしまう。起きあがれないので、スキーを外して起き上がり、つぼ足で登ろうとしたら、木の上らしく腹の辺りまで埋まってしまい抜け出すの一苦労である。スキーをそこに置いて、こちらのもがき状態を笑いながら待っている頂上へ数分遅れで到着。

 ガスのため眺望はほとんど得られないが、迷走の末のピークだけに喜びもひとしおである。がんリーダーの「冬山の厳しさと素晴らしさを味わえた最高のピークである。」の言葉がみんなの気持ちを代表している。缶ビールで乾杯・・・うまい!(4)

 いよいよ、楽しみな下りとなるはずであったが・・・しんりさんと自分はシールを外し、他の二人はシールを付けたまま下ることにする。ここまで、2日間ヒールを解放しての歩きだっただけにヒールを固定したら、物凄い違和感がある。おまけに20cmも短くなったスキーでの初めての下りである。バランスが悪いのってなんて、思うようにコントロールするのが大変で、滑降を楽しむなんて余裕がまったくない。林間滑降の名人であるしんりさんの後を追うのが大変である。
いよいよ帰路に就く・・・がんさんの荷物を見よ!

 真廉沼のすぐ上の急斜面を、小回りで下って行くが、スピードオーバーで曲り損ない立ち木に激突・・・やばい!後は記憶がない・・手前の太い幹の木を躱したらしいが、その下の木に激突・・・激突死!の言葉が頭を横切る・・・目を開けて見ると、直径10cm程の木の幹を股の間に挟んでスキーの下を雪に差したまま転んでいる。どこと無く激痛があり、落ち着いて痛みの場所を探してみる。頭ではない・・・ホッ! 足は?、腕は?・・・取り敢えずホッとする。痛みは臀部から来るようである。「大丈夫です!」と声を張り上げ、みんなに安心してもらう。起き上がるのに一苦労をしているのに、なんとしんりさんはこの姿をカメラに収めようとしている・・・。その後はビビってしまい、安全滑降で万計山荘を目指す。

 万計山荘では、先に下りた二人がストーブを燃やして待っていてくれる。下りに時間を要するということで、その二人が先に下りることになる。Siさんの荷物は軽くするために担ぎ屋・がんさんの面目躍如、登りより大きな重い荷物となる(5)。4人はがんシェフのうどんの昼食をとり、小屋の掃除をして、おまけに誰かが残していったゴミや空き缶なども背負い、先発隊の1間半ほど後に出発する。
これもトレーニングとか?この荷物!
リーダー、シェルパ、シェフ、
会計と一人4役以上のがんさんの勇姿!

 自分としんりさんは、滑りを楽しみながらの下山であるが、がんさんとMiさんは 「これもトレーニングの一環」とばかり、バカでかいリュックを背にプルーク滑りで下りてくる(6)。転倒して起き上がるのもトレーニングとばかり楽しんでいるようにも見える。その二人を少し滑り下りては待ち待ちしながら下山完了。先の二人が待つ登山口へ到着。

 彼等と別れて、妻の実家に戻り、眠気と戦いながら、函館へ向かう。中山峠付近から月明かりにくっきりとそのピラミダルな姿を見せている狭薄山を複雑な気持ちで眺める。ときどき仮眠を取り、いつもより1時間増しで帰宅。 



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