4:00 函館(自宅)発
5:45 中二股川林道ゲート
登山 | 地 点 | 下山 |
6:00
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7:00
7:10
7:20
8:35
10:00
11:00
11:20
12:15 |
林道ゲート
(マウンテンバイク)
中二股第一支線終点
入 渓(380)
400二股
570滝下
750二股
稜 線(890)
稜線コル(870)
頂 上(902) |
17:15
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16:35
16:30
16:20
15:15
14:50
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13:20
12:45 |
[6:15] | 所要時間 | [4:30] |
17:30 桜野温泉・熊嶺荘(入浴)
19:20 帰宅
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紋内岳・・・八雲町の中央分水嶺から東に派生する尾根の上に聳える900m超峰で、2日前に登った突符山の東側に聳える山である。そのときに初同行したSaさん同様、「道南100山踏破」を目指すには外せない山である。自分では、今年中には登る予定でルートも決めて、函館山の会の貴重な記録も入手していた。
前日になって、Saさんから同行のお誘いをいただき、二つ返事でOKする。実は、Saさんは2週間前に単独で同じ中二股川の400二股左股沢から挑戦し、750m手前で広い尾根に出てしまい、強烈なナマガリダケに阻まれて撤退していたそうである。私の決めていたルートは、右股沢で、頂上西側のコルまですっきりとした沢地形が突き上げているので、藪こぎは少ないはずである。
○MTBに跨り5kmの林道を
錠の掛かっている林道ゲートから林道終点までの5kmはMTB(マウンテンバイク)で走れる状況とのことである。Saさんの車に2台のMTBを積んで林道入口の八雲町桜野を目指す。
林道入口付近で、正面に朝日に輝く目指す紋内岳がガスの中から姿を現す(1)。
沢スタイルに身を固めた70歳と62歳の熟年冒険小僧コンビがMTBに跨る(2)。右手に広い中二股川を見下ろし、朝日に輝く砂蘭部岳を見ながら、緩い登り勾配の林道を走る。小鉾橋を渡り、中二股第一支線へ入る。左頭上には、これまで目にしたことのない鋭く天を突く小鉾岳ピークが逆光の中に浮かび感動する。西日を浴びて輝く帰りに期待して林道終点を目指す。歩けば1時間半は掛かるらしいが1時間で到着。帰りは下りなので、もっと速く着くであろう。
○苔むした幽玄の世界
林道終点にMTBを置いて、Saさんがリベンジのために残しておいた赤テープに導かれて沢へ下りる。
木漏れ日が降り注ぐ広く明るい沢を進む(3)。10分ほどで、Saさんが左股へ進んだという400二股に到着。
右股は合流地点から480付近まで30分ほども、苔むした大岩の間を小滝状に流れ落ちるまさに美しい幽玄の世界が続く(4,5)。入手した情報によるとこの沢には3つの滝があって、2つ目の滝が最も大きいらしい。
500m付近で、その一つ目と思われる釜を持った2段で7mほどの滝にぶつかるが、左の岩の間をくぐって越えることができた(6)。
それを越えると、平坦な開けた地形に出る。流れの中を進んでいくと、進むべき方向ではなく、左の沢へ入っていく。どこかで二股を見落としたらしい。戻って謎が解ける。本流は伏流して涸れ沢となって合流していたのである。しばらく広い涸れ沢を辿ると水流が現れる。
○滝を越えて
やがて、両岸が狭くなってきて、地形図から心配していたがいかにも滝が現れそうな地形となる。
果たして、570m付近でやはり2段で30mほどの滝にぶつかる(7)。
とても直登できそうな滝はないので、迷わず、左の藪に突入して上の滝も合わせて高巻く。流れに下りて一安心しようと思ったら、
さらにその先に8mほどの滝が目に入ってくる。
しかし、ここはよく見ると右側脇をなんとか越えられそうである。下の方は階段状の岩を登り、向きを変えて上の木の枝や笹を頼りに乗り切ることはできたが、帰りは怖そうである。見ると上の木の枝に捨て縄がぶら下がっていた。帰りはそれを利用してロープを垂らして下りた(8)。
そこを越えると、今度は岩盤が露出し、それを抉って流れる小さな釜をもった小滝が連続する。その釜をへつりながら越える変化に富んだ登りが続く。そんな楽しい沢が標高差にして100mほど続くと、
沢が狭くなり、突然行く手を遮るように土砂崩れが沢を埋め尽くし、倒木のラッシュにぶつかる。手こずりながらも木の幹を渡り歩くようにして越える(9)。
○沢を間違え、稜線目がけて藪漕ぎの急登
750二股では、沢が土砂崩れで埋まっていたこともあり、地形の読み違いから、右の明確な急な沢へ取り付いてしまう。20分ほどで源頭地形にぶつかり、上から地形を見下ろし、さらにGPSで確認して間違ったことに気づく。
間違った二股へ下って戻るか、笹藪をトラバースして予定の沢へ進むか、そのまま稜線を目がけて登るかの三択状態になったが、結局藪がそれほど濃くなさそうな稜線への急斜面の登りを選択する。
稜線が近くなるに連れて笹藪が濃くなる。しかし、ネマガリダケではないので、手で掻き分けて踏んづけることができるのが幸いである。振り返ると、
2日前にも突符山から眺めた沖沢山やスルカイ岳などが見える。
○ひたすら藪こぎの稜線
30分ほどの苦労の末、背丈を越す笹藪に覆われた稜線に出る。目指す頂上へは本来出るはずだった稜線コルの向こうに2回の登り返しが待っている(10)。稜線コルまでは下りなのだが、強烈な笹藪漕ぎである。この辺りからSaさんに疲れが見えてきて、藪を掻き分けて足で踏んづけて彼が続くことを待つが遅れがちになってくる。稜線コルまで下りて藪の中に座り込んで一息つく。
少し元気を回復し、頂上までの2つのピーク越えの藪漕ぎを開始する。ピークが近くなると、日本海側の斜面は藪が浅くなるがコル付近は明らかに背丈を越す状態である。70歳とは思えない体力でSaさんも頑張って続く。稜線コルから30分ほどの藪こぎの末、直下でリベンジが叶うSaさんにトップを譲り、
やはり藪に覆われた頂上に到着する(11)。林道ゲートをMTBでスタートして6時間15分の長丁場であった。
あるはずの三角点は、濃い藪を掻き分けながらいくら探しても見つからない。諦めて、藪の中に座り込んで昼食を摂る。謙虚なSaさんは「坂口さんのお陰で念願の山に登れました。もう、体力の限界です。」と感謝の言葉をいただくが、こちらはSaさんの誘いと頑張りに刺激されたお陰での登頂である。
展望は、2日前の突符山とはそれほど違わないが、岩壁を巡らせた小鉾岳が新鮮な形で見えていた。しかし、頂上に着く頃から太平洋側はガスで覆われ始めてカメラに納めることができなかった。
○変化に富んだ沢を堪能しながらの下山
30分ほど休んで下山を開始する。隣のピークは日本海側の斜面をトラバースして、その次のピークを越えるが、元気を取り戻したSaさんはすぐ続いて歩けるようになっている。稜線コルから本来はここに登ってくるはずだった沢地形に下りると、案の定、すぐに源頭地形で、そこまで水流はないが、はっきりとした沢が突き上げている。登りで、ルートを間違えたせいでSaさんに余計な体力を消費させてしまったことを悔いるが、結果よければそれでよし・・・としよう。
狭く長い沢を下り、間違えた700二股へ到着。そこで、美味しい水をたらふく飲み、ボトルに汲む。あとは、変化に富む沢を楽しみながら、登りでは目にもとめなかった
ダイモンジソウ(12)をカメラに納めたりして、下山を続ける。
林道終点からMTBで下るが、
そのすぐそばから見上げる西日を浴びて輝く、天を突く小鉾岳のヨーロッパアルプス的な岩峰の姿には大感激である(12)。付録的ではあるが、この山容を眺めただけでも大満足である。
MTBの下りは40分であった。トータルで登りの6時間15を4時間30分でゴールイン。近くの桜野温泉で汗を流し、一日置いての登る人の本当に少ないであろう道南の秘峰ともいうべき2山を制覇することができて、二人とも大満足で帰路に着く。
岩を伝い歩いたり、難しい箇所の通過も多い長い沢と藪こぎであったが、昨夏の足の骨折で4ヶ月ほどのブランクがあるのにもかかわらず、気力も体力もバランス能力も衰えていないSaさんには本当に驚いてしまう。自分が70歳になったら、彼のように歩けるであろうか・・・いい目標となる存在である。