一等三角点の山で歴史的由来のあるこの山は、昨年暮れの12月21日にやはり単独で挑んだが、カメラを忘れて、それを取りに戻って、登りはじめが12時となり、ラッセルに苦労したり、日の短い時期でもあったりで、頂上の30分ほど手前で撤退していた山である。
再挑戦は、ラッセルの必要のない3月下旬に、登り返しの多い前回とは別ルートで、前回、直ぐに尾根に取り付いた同じ林道をずっと奥まで入り、大野町と上磯町の境界線の峠まで進み、そこから頂上へ繋がる境界線となっている西尾根を辿るルートからと決めていた。
今回は、早く出て、山スキー登山では初めての毛無山との1日2山を計画して、天気予報は快晴予報にもかかわらず結構雲の多い中を出発。前回と同じ江差へ抜ける国道227号線の中山トンネル手前の駐車場に車をデポして出発する。函館方面へ200mほど戻ると、南側に入る林道がある。この時期はラッセルの心配はないが、昨日のものと思われるスノーモービルの跡がずっと林道上に続いているので歩きやすい。
まだ、日の当たらない林道を40分ほど進むと、頂上から伸びる西尾根を越える峠のような地点へ到着する(1)。この林道は、結構斜度のある林道で、入り口は標高350mであるが、この地点で500mである。頂上までわずか標高差200m強といううれしさである。
そこから頂上へ繋がる尾根に取り付くのだが、そちらへも林道が延び(2)、ピンクのテープが煩いくらいにぶら下がっているのにはびっくりする。一等三角点の山マニアの方以外にも登る人が結構いるのではないだろうか?
初めは林道跡を進み、やがて、今は堅雪であるが、帰りには雪がちょっと緩めば大いに滑りが楽しめそうなおいしい疎林のブナ林の急斜面に取り付く。
ようやく朝日が右横から差し、足の長い自分の影が雪面に写っているのをカメラに収める(3)。左手には、4ヶ月前にラッセルと登り返しの連続で苦労した北尾根が常に見えている。広い斜面を大きくジグを切って登って行くが、「こんなに煩いくらいつけなくても・・・」と思うほど狭い距離でテープが付けられているのにはちょっとげんなりである。絶対迷いようのない尾根ルートにもかかわらずかなり慎重な人なのであろう。
やがて、細い尾根となり、頂上の手前のピークが見えてくる。頂上はそのピークの陰で下からもずっと見えないが、そのピークへ乗って初めて右手前方に頂上感のない長い稜線上の頂上が樹間から覗く。そのピークから少し下ると、北尾根と合流し、いよいよ最後の登りとなる。だんだん狭くなってくる急な斜面を登って行くと東側の眺望が見えてくる。頂上を雲で隠した二股岳の後ろにやはり半分雲で覆われた駒ヶ岳が見える。その
左側には、この後登る予定の毛無山のゆったりとした姿が・・・・(4)。
上を見上げると雪庇が発達した頂上が見えてくる(5)。雪庇の根元を登っていくと長い稜線の途中といった感じの平らな頂上に出る。確かに一等三角点の山だけあって、360度の展望はあるが、天候もよくなく、高い山はほとんど雲の中であるし、
期待していた南側の展望は函館の町が狭いコルの間からわずかに覗くだけで、しかも霞んでよく見えないのが残念である(6)。
わずか1時間30分の登りだっただけにそれほど疲れも感じず、休憩もなくそのまま下ることにする。結構滑りの楽しめそうな疎林の斜面であるが、クラストしていて、もなかの皮のような状態で、なでるように静かに滑らなくては、踏み抜いてしまいテールが引っかかって全然回ってくれないので危険である。誰も見ていわけでもないので慎重に下る。それでも結構快適なターンを楽しむことができ、登り返しも2度ほどあったが登りの半分の時間で林道まで下ってしまう。
林道も結構な斜度があり、スノーモービルで踏み固められているので、どんどん下って行く。頂上からわずか40分でゴールインである。靴を取り替えないで、そのまま車を運転し、次の毛無山の登山口を目指して国道227号線を函館方面に戻る。