○慈啓会病院コースを登り、小林峠コースを下る。
慈啓会病院コースは一番人気のコースだけに駐車場は満杯だった。 9:25、慈啓会病院コース登山口を出発(1)。3年前の6月の早朝に一度歩いているが、そのときも平日にもかかわらず多くの登山者と出会って驚いたが、今回も週末かと錯覚するほど次々と多くの登山者に出会った。しかし、足元が泥んこで、それを避けながら歩くのに忙しい。原始林然とした林や前回記憶に残ったハルニレやカツラの巨木などを楽しむところではない。ちなみに靴は、快速歩行に備えてのトレランシューズだった。
やがて、「砲台跡」と呼ばれているコンクリート製の遺構が目に付く(2)。砲台跡にしては、吊り橋の台座のフックのような金具が不自然だ。気になって帰宅後、調べてみたら、志賀高原と同年に造られた「
進駐軍専用スキー場のわが国最古のリフトの台座」とのことである。ただし、
ここには実際に高射砲台があったという史実もあり、その砲台跡をリフトの台座に活用したという説もある。
そばに青いシートで覆われた説明板と思われるものが立っていた(3) 思わず、この山の歴史に触れることができてうれしかった。
馬の背の尾根に向かって木の階段がジグザグに続いている(4)。そこを登り切ると、この日2回目の馬の背分岐に到着。10:15、さらにやはり2回目のT6分岐から小林峠コースへ(5)。
頂上まで一番距離の長いこの小林峠コースだが、地図で見ると、T6分岐と小林峠登山口の標高差がわずか50mほどしかなく、途中で406ポコを超えるなど、アップダウンもあるコースのようだ。
T6分岐辺りから眺める藻岩山は端正な形をしていたが、、こちらからは少しいびつな形に変わってくる。頂上のアンテナのほかに展望台も見えて来る(6)。
登山道は慈啓会病院コースとは違って、まさに登山道といった感じで泥んこもなく、快適に整備された道が続いていた。5コースの中でもっとも快適に歩け、個人的には一番好きな道だった(7)。
このコースの最高地点の406ポコを登り切ったところで、腹ごしらえをしていると、下から登って来た男性も休憩したので、いろいろお喋りをした。「このコースはもっとも自然豊かで、植物も多く、新緑や紅葉の頃がとてもきれいで、もっとも好きなコースです。冬もこの辺りを良く歩いています」とのことだった。「今月末の山楽紀行に、この藻岩山のことを書く予定です」と話したら、「楽しみにしております」と言っておられた。
やがて、ジグザグを切って下って行くと、車の音が大きくなり、眼下に小林峠が見えて来た。もうすぐ?と思った所で、峠の方へ下りないで右上の方へどんどん登って行く。GPSの地図の登山道とは違うので、不安になった。途中で追い越した人に確認したら、「昔は峠の方へまっすぐ下りれたのですが、私有地の関係でコースが変わったのです」とのことだった。
11:10、小林峠登山口へ到着(8)。慈啓会病院コース登山口から1時間25分だった。11月11日11時11分11秒を車道の小林峠で迎える。朝の内に確認済みの3.3kmの車道歩きで、北の沢コース登山口を目指す。ずっと下りなので、距離が気にならない。峠から下り切った車道の途中からこれまでとは違う形の藻岩山とその頂上が見えた(9)。
○北の沢コースを登り、頂上経由でスキー場ゲレンデの中を下ってゴール。
11:50、北の沢コース登山口へ到着(10)。10分ほど昼食タイムを取る。ちょうど下りて来た人と出会う。「幌尻岳に登りたいが、シャトルバスの予約とかで面倒くさくなりましたね」と言う。そこで、自分が好きな北戸蔦別経由コースを教えてあげたが、テント泊は経験がなさそうな感じだった。
5コースで頂上まではもっとも短いコースである。尾根を越えて下るまでは林道状の広い道だった。正面に頂上のアンテナと展望台が見えていて、いかにも近そうだ(11)。30分で3回目の馬の背分岐へ到着。さらに30分で頂上へ。
12:50、2回目の頂上へ到着。軽量化を図り、変化に富んだ歩きだったこともあり、ずいぶんと歩いた割には、疲れはあまり感じない。あとは下るだけである。
展望台の下にある登山者休憩所の中や(12)外のベンチにも多くの登山者でにぎわっていた。時期的なこともあり、観光客より多い感じだった。
新しくなった展望台の上に上がって、市街地を見下ろす。円山は、都会の海の中の島か岬のように見える(13)。
展望台には、「恋人の聖地・愛の鐘」が設置されていた。夜景を楽しめるデートスポットとして人気らしい(14)。
兎平ゲレンデの上までは登りと同じコースを下ったが、そこからは、ゲレンデの中の登山道を下った(15)。この急斜面の兎平ゲレンデや下のゲレンデは昭和46年にスキー準指導員検定に合格した懐かしスキー場である。44年も前の青春時代の思い出に浸りながら下った・・・今も青春のつもりだが、元気の良さと勢いが違う。
13:30、ストートして、6時間30分で、予定の「全コースひと筆書き縦走(21km)」を満足の内に踏破。しかし、今回は歩くことが目的だった。この山の魅力でもある豊かな自然をもっと楽しむためにもには、新緑の頃か紅葉の頃に同じコースをもう一度歩いてみたい。
朝は自分の車1台だけだったが、20数台の車が停まっていて、次々と下山して来る登山者が目に付いた。
まだ夕食には間に合う時間なので、そのまま帰路に就き、途中、200円の留寿都温泉に入って、19:00には帰宅することができた。