三森山(842 m) 函館道有林管理センター刈り払いコース  単独行  
01,5,13(日)
 函館の東奧に端正な形で聳えるこの山に、昨年登山道ができたという情報をもとに、いろいろ試行錯誤の苦労の末に、ようやく頂上に立つことができた。

 <最新情報>
 2001年7月に、函館南茅部船の矢別トンネルを抜けたところから入る紅葉山林道に、函館道有林管理センター(2004年現在「北海道渡島東部森づくりセンター」に改名)により、この山までの林道の細やかな標識と登山口の標識が設置されていますので、私のように迷う心配はありません。なお、登山口は二つあり、登山道も二つあります。

 9:30 泣面山から下山
10:15 大船松倉林道からの分岐
    (林道ゲート閉鎖、
     徒歩でスタート)
11:15 途中断念し、戻る
12:10 大船松倉林道からの分岐
13:55 紅葉山林道
   (函館南茅部線矢別トンネル出口)
登山
地点
下山
14:30
14:37
14:55
登山口
岩崖下
頂 上
15:45
15:20
15:15
[0:25]所要時間[0:30]
西旭岡町からの三森山函館に住む人間にとっては、横津連峰の南側に名前の通り頂上部分に三つのコブを連ねたひときわ端整な形で聳えるこの山は、結構存在感のある山であり、函館山からの展望でも目に留まる山である(1)。

 しかし、この山にも登山道はなく、登山対象の山とは考えていなかった。ところが、今年になって、函館道有林管理センター(2004年現在「北海道渡島東部森づくりセンター」に改名)のHPに「昨年、林道から頂上まで刈り払いをして、30分ほどで登れる登山道を作成した」との紹介が出ているのを、インターネットの山仲間から教えてもらっていた。詳しい記述はないが、三森山の麓を通る林道を車で入っていけば、頂上のすぐ下にその入り口が見つかるであろうというアバウトな気持ちで向かうことにする。
青いキクザキイチゲ
10:15(大船松倉林道からの林道ゲート)
 泣面山を下山して、大船松倉林道を下りてくると、初めての?橋を渡る手前に林道案内の地図があり、「三森山へ」という林道の入り口に「熊出没注意」の真新しい看板が立てられ、林道ゲートが閉じられている。下の入山届ボックスの所に「5月9日、三森山付近の林班106経営道に子熊を2頭連れた親熊が目撃されています。十分な注意を!」と書かれた紙が貼られていたのが、まさにこの林道である。そのために、ゲートを閉じたのであろうと思ったが、ここ以外三森山へ向かう林道は知らないので、距離も見当付かないが見える山の距離からすると2時間も歩いたら・・・と軽い気持ちで、そこに車を置いて徒歩で向かうことにする。もちろん首から下げた笛を吹きながら・・・・・。

 途中目に付いたウドを採ったり、青いキクザキイチゲの群生(2)を眺めたりしながら急ぎ足で登って行く。1kmほどの地点で崖崩れがあり、その林道を完全に塞いでいる。例えゲートが開いていても車ではここまでしか入ってこれないということが分かり、腹を決めて、ドンドン進んでいく。1時間ほどすると、頂上が割りと近くに見えるがまだかなりありそうである。そのうちに、反対の方から入ってきたらしい山菜採りの人と出会う。ということは、ここに繋がる別な林道が開いているということである。
紅葉山林道途中から望む三森山
11:10(1時間歩いてUターン)
 登山口のことを聞いてみるが分からないとのこと、さらに「林道の一番高い所は頂上に近いところだけれど、まだ1時間くらいあるんじゃないかな?」と言う。どこの林道から入って来たか聞くと、「南茅部へ行く道々の矢別ダムのところから入って来た。」とのことである。これ以上歩くより、戻って反対側から入り直す方が得策とばかり、そこで断念段し、さらに1時間掛けて車のところまで戻る。2時間の無駄足であるが、登山口さえ見つかれば30分である。物足りなさをカバーするには丁度よい歩きであろう。

12:10(大船松倉林道からの林道ゲート)
 そこから車を走らせ、旭岡まで戻り、南茅部町へ向かう。臼尻漁港まで行って、先に登った泣面山の写真を取って戻る途中、間違って笹小屋林道へ入ってしまう。かなり奥まで入ってみるが、目指す三森山は遠くどうも違うようなので戻る。その入り口で入山届のチェックに来た道有林管理センターの職員に出会う。大船松倉林道から三森山へ向かう林道を往復2時間一人で歩いてきたことを話すと、「熊の目撃情報読みませんでしたか?」と聞かれる。正直に読みましたと答えたら、「その林道なんですよ。そのために昨日ゲートを閉じたのに・・・事故に遭ったらどうするんですか?」とあきれ顔で注意される。それでも、三森山へ繋がる正しい林道を教えてくれ、「登山道も今年はまだ笹刈りをしていないですよ。注意して登って下さい」とのうれしいお言葉・・・「昨年刈ったばかりだから、まだそんなに伸びていないでしょう。ありがとうございます。」と答えて、矢別トンネルの南茅部側の出口のすぐ横の「紅葉山線」へ入る。
ようやく辿り着いた登山口
13:55(紅葉山林道入り口)
 林道途中から目指す三森山を見ながら(3)、11kmも入った辺りで頂上が近くなるが、そこまでに30分で頂上へ繋がるような刈払い道はなかった。やがて林道のピークを過ぎ下り始め頂上が遠くなる。Uターンして1km程戻るところに頂上の方へ向かっていた林道があったことを思い出し、そこへ入って見る。300mくらい入ると逆光で真っ黒で不気味に聳える頂上の真下に、標識も何もないがきれいに刈り払われたまだ踏み跡も付いていない道のようなものが見える(4)。確かに30分ほどで頂上へ行けそうな感じである。多分ここだろう、駄目なら戻ればいいと・・・七信三疑で?入って行く。
岩場の上をトラバースする
14:30(登山口)
 まだ新しい植林地を通り、7分ほどで岩場の下にぶつかる。初めその岩場の切れ目を急登するのかと思い、その基部まで登っていくと、その道は、右側の岩場の上ををトラバースするように続いている(5)。怖々通過し、それを巻くように進むと、岩の上に苔むしたようなところを登り、林床に笹が生えていない頂上へ続く斜面へ出る。一面カタクリの花と太いギョウジャニンニクの群生である。そのうちに刈り払い道を見失い、そのまま灌木に掴まりながら、強引に登っていくと再び道に合流し、そのまま笹藪の中に続く頂上への道となる(6)。
頂上下のカタクリ花咲く登山道
14:55(頂上)  
 戻った林道に歩きで取り付いてから5時間もの試行錯誤の末の頂上である。一番先に目に飛び込んだのは、やや霞んだ感じの函館山とそこに続く函館の町並みの眺めである(7)。北側には横津岳と袴腰岳、さらにその東側には、午前中に登った泣面山、さらに東側には恵山まで見えている。笹藪がきれいに刈り払われた頂上に腰を下ろしたら、目の前に可憐なスミレ(名前不明)の花の株がたくさん点在しているのがうれしい(8)。
霞んで見える函館山と街並み
 考えてみたら、泣面山で朝食のパンを一個だけで、昼食も摂っていなかった。ようやく落ち着いてお湯を沸かし、昼食に持って来たカレーうどんにありつく。目の前に出ているウドの芽を千切ってうどんに入れる。途中のギョウジャニンニクを摘んでこなかったことを後悔する。携帯電話が通じるので、家へ予定の変更とおおよその帰宅時間を知らせる。

15:15(下山)
 陽射しも強く暖かく、もっとゆっくりしたいところであるが、午後3時に頂上という経験はこれまでの山でほとんど経験していない時間でもあり、下山を開始する。登りで見失った道は大きくトラバースしてきちんとカタクリの花に覆われた状態で続いていた。その上をスパイク付き長靴で踏んで歩くのは申し訳ないが、なるべく花を踏まないようにそろそろと下る。岩場の手前で登りでは見なかった物凄いギョウジャニンニクの群生に出会う。これまで人に採られたことがなかったせいか、どれも見事な太さである。これは、黙って通過するわけには行かない。なるべく葉の開いていないものを選んで両手で掴める程の量を頂戴し、怖々岩場のトラバース地点を通過し、登山口を目指す。
頂上に可憐に点在して咲く○○スミレ
15:45(登山口)
 本来であれば、午前中に泣面山とこの三森山をやっつけて、午後から台場山の一日3山の予定であったが、予定通り簡単に登ってしまっていれば、印象のない山になってしまうところであるが、往復2時間の林道歩き、あちこち登山口を探して右往左往した車での林道走りの末の登頂なだけにその思いもより一層強いものになったことに、充実感と満足感を感じ、長い林道を走り帰路に就く。 
 帰宅時間が遅くなるので珍しく途中の温泉はパスして、家の風呂で汗を流し、採ってきたウドの酢味噌あいと美味しいビールで喉を潤す。ギョウジャニンニクは醤油漬けとなる。


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