雌阿寒岳(1499m)  
<雌阿寒温泉コース> 単独 アルミかんじき  14,3,3 
B13,7,6の「阿寒湖畔コースからの剣が峰と雌阿寒岳」
A04,6,3「雌阿寒温泉コースからの雌阿寒岳と阿寒富士」
@94,8,6の「オンネトーコースからの雌阿寒岳と阿寒富士
初めての積雪期に挑戦したが、天気は良いのに、ものすごい強風と闘いながらの登頂

6:00帯広発
登山
地 点
下山
 8:30
 9:15
10:35
11:10
登山口
森林限界
8合目
頂 上
12:35
12:05
11:40
11:25
[2:40]
所要時間
[1:10]

12:45 野中温泉(入浴)
 阿寒の活火山で、古くはアイヌ語でマチネシリ。阿寒の名を冠する山は他に2座あり、雌阿寒岳のすぐ隣の阿寒富士(1,476m)、少し離れて雄阿寒岳(1,371m)がある。何れも火山である。雄阿寒岳と阿寒富士は今のところ静かだが、雌阿寒岳は現在もさかんに活動している。登山家の深田久弥が訪れた1959年には火山活動中のため登山禁止で登ることができず、雄阿寒岳のみ登っている。ただ、知名度は今なお盛んに噴煙を上げる雌阿寒岳の方が高く、日本百名山巡りをする人は雌阿寒岳だけを登る人が多い。深田氏は「日本百名山」では、阿寒岳としているが、この両山のことを指しているので、2山とも登ることが正しい百名山ハンター?であろう。

 登山道はオンネトーコース、雌阿寒温泉コース、阿寒湖畔コースの3本ある。それぞれ1回ずつ登っているので、次回は冬にと思っていた。帯広で開催された「十勝大平原クロカンスキー大会」の翌日、好天に恵まれた。帯広を早朝に出て雌阿寒岳コースの登山口を目指した。足寄町の茂足寄の国道から朝日に輝く雌阿寒岳と阿寒富士が神々しい姿で迎えてくれた(1) 

雌阿寒温泉(野中温泉)登山口(2)の入山届をみると、前日までの土日だけでも10数人が入っていた。さすが人気の山だ。すでに5:30にスタートした先行者もいる。

 このコースはスキー登山には適さないと思われたので、アルミかんじきをリュックにくくりつけてツボ足でスタート。スノーシューで踏み固められ、ツボ足でも歩けるトレースが続いていた(3)さすがにスキーのトレースは見当たらなかった。

  針葉樹林を抜ける前に、早朝にスタートした先行者が下山して来るのと出会う。「風がものすごく強くて、とても寒かった。カメラのシャッターを押すのも大変だった」とのこと。林の中は、まったく無風で、こちらは温かくてヤッケを脱いで歩いていたが、彼はフードも被っての完全防備だった。
あまり早いので、「これから雄阿寒岳も登るのですか?」と聞いたら、「いいえ、冬は初めてなので、どのくらいかかるか分からなかったので、早く出ました。温泉に入って帰ります」とのことだった。


針葉樹林帯を抜けると、吹きっさらしの斜面にハイマツや溶岩が頭を出す荒涼とした景観が広がる。目指す頂上も見えている。とてもスキーで登れる状況ではない(4)しばらくツボ足で歩いていたが、沢地形を横切る辺りから風で飛ばされてトレースが分からなくなるところやハイマツの周りで埋まるのでかんじきを履く。風も強くなってきたので、ネックウオーマーを着け、ヤッケを着た。振り返ると、抜けて来た針葉樹林帯とその下の景色が広がっている。右奥に昨年3月下旬に長い尾根を辿ったイユダニヌプリも見えていて懐かしい(5)


 だんだん風が強くなってきて、トレースが分からなくなるところがある。ずっと夏道通りにトレースが続いていたので、GPSの夏道を辿って進む。ところどころに見える夏道のピンクテープや岩の赤いペンキなども頼りになる。6合目の標識の立つところを過ぎると、左側に岩崖とその奥に昨年の3月下旬にスキーで登ったフップシ岳、その右にちらっと阿寒湖も見えている(6)。上を向くと荒々しい谷地形が見える。右の尾根を登って行く(7)

 8合目の標識を確認し、頂上稜線を目指す。やがて、火口の縁を回り込むように、堅くしまったトレースを辿る。右横から強烈な風が吹き付け、体感気温はかなり低い。手袋を3重にして、耐風姿勢をとり、かんじきの歯を利かせながら一歩一歩登って行く。青空が広がっていなかったら、リタイヤしたかもしれないほどの強風だ。


 こんな時に限って、カメラの電池とGPSの電池と携帯の電池が立て続けに切れた。頂上手前の大きな岩陰に佇むと風を避けることができた。そこで、それらの電池交換をする。風が当たらないと素手でもそれほど冷たさを感じない。落ち着いて、一番ほしかった噴煙を上げる中マチネシリ火口越しの凍結した阿寒湖と雄阿寒岳をカメラに収めることができた(8)。さらに反対側のポンマチネシリ火口越しの阿寒富士(9)カメラのシャッターを押すのも素手でするわけにはいかないのでひと苦労だった。


 ポンマチネシリ火口の赤沼火口を覗きこむと冬ならではの迫力ある眺めだ。底の赤沼は氷が張っていた(10)。さらに登って行くと、頂上標識の立つ頂上に到着(11)風が強くてのんびりできる状況ではない。風がなければ阿寒富士も登る気だったし、すぐ先の青沼も覗いてみたかったが、とてもそんな気は起きなかった。頂上標識をカメラに収めて早々に退散。

 少し下の風をかわせる大岩の陰で温かいスポドリを口にしただけで下山。ところが、正面からまともに風が吹きつけて前を向いて歩けない。後ろ向きに会って歩いたところもあった。火口を回り込んで尾根の下りになると、風は横風になるので、少しは楽だったが、ネックウオーマーで顔を隠さなくては凍傷になりそうな感じだった。それでも、冬山の下りは速い・・・針葉樹林帯から2時間で登ったところを40分で下ってきた。林の中へ入ってようやく一息ついて、腹ごしらえをする。

 下山後、良く利用する200円の野中温泉別館で体を温めて、翌日の藻琴山に備えて、弟子屈の摩周道の駅まで走った。 


 
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