[92]カムイヌプリ(摩周岳)( 857m) [第一展望台コース] 97,8,8(金)
  
摩周湖を見下ろしながら、長いカルデラ壁の長い稜線の道を辿り、火口壁の岩峰に立つ。

7:00 藻琴山第二展望台
7:40 摩周湖第一展望台
登山地点下山
 7:50
 8:50
10:05
登山口
683mピーク
頂 上
12:50
12:00
11:00
(2:15)所要時間(1:50)
13:30 弟子屈摩周温泉
      (入浴・昼食)
21:00 札幌(日勝峠経由)
藻琴山を下山し、カムイヌプリ登山口になってい る摩周湖第一展望台を目指す。いつのまにか心配していた雲の広がりも晴れ上がり、素晴らしい天候に なる。しかし、摩周湖の湖面だけは屈斜路湖と同じ ようにガスが覆い隠したままである。
摩周湖とカムイヌプリ
 登山口となる駐車場の管理人から登山者専用の駐車場を教えられ、そちらに車を置いて出発する。靴は昨日の武利 岳でずぶ濡れになっているので、藻琴山と同じく長靴である。軽いし、濡れる心配は無いし、底は滑らないし、昨日の日本1000山の男性ではないが、結構癖になりそうな感じである。
快適なカルデラ稜線の道
 登山道は、標高差わずか300mほどであるが、カムイヌプリの頂上に繋がる摩周湖のカルデラ壁の尾根を辿る 7.2kmの道程である。刈り払いなどの整備が行き届いた快適な道が続く。周りの樹木はシラカバとミヤマハンノキがほとんどだが(2)、どういう訳か3〜5mくらいの高さになると立ち枯れになっているのが不思議である。

 周りの木々が高いところになると、アブが凄い。歩いている後ろから黒い固まり状態でついて来る。立ち止まると何匹も体に止まり、刺そうとする。防虫スプレィはまったく効き目なしである。気を付けていても数箇所刺され、直ぐに薬を塗る。そんな繰り返しをしながら、標識からしておよそ中間地点と思われる683mピークに到着する。
花々が咲き乱れる草原状の斜面
 ガスに覆われていた摩周湖も湖面を見せ始め、青い湖面に湖岸の稜線や空の雲を映している。ぽつんと一つ浮かぶカムイ島もでべそのようで妙におもしろい。目指すカムイヌプリの火口壁がちょうど表面に見えるようになる。 683mピークを越えると草原状になり、その右側に広大な根釧台地の展望が広がる。この草原にはいろいろな花が咲いている。モイワシャジン、タカネキタアザミ、トリカブト、トウゲブキ、チシマセンブリがちょうど盛りを迎えているようである(3)。アブも少なくなり、左側に摩周湖を、右側には西別岳を眺めながら(4)、表面のカムイヌプリを目指し、快適な草原歩きを楽しむ。
西別岳と立ち枯れのダケカンバ
 やがて、西別岳分岐に到着する。西別岳への道を覗くと結構整備されているようで、往復6kmほどであるが、山の形からしても、あまり登行意欲は湧いてこない。そこを過ぎると少し丈の高いシラカバの林に入って行く。木の間から覗く頂上と迫力ある火口壁を見ながらそこに続く火口壁の上を進む。途中からカムイヌプリの火口が底まで覗け、火口壁全体が見渡せる所に出る。今まで表面に眺めてきた火口壁は灰色の岩や火山礫剥き出しの迫力満点の急斜面であるが、火口底からその反対側の火口壁は針葉樹などに覆われ、上部のところどころ真っ赤な地肌を見せているのが不思議な眺めである。

 一度火口壁から離れ、林の中の急な斜面を登る。ここから頂上までの10分程度が、このコースで最もきつい登りである。 登山口から2時間15分で、誰もいない狭く高度感のある岩場の頂上へ飛び出すように到着。摩周湖の湖面の青さが凄い。展望台からは見えなかった北側から東側の湖岸もはっきりと見える。頂上から繋がる荒々しい火口壁のこちらより高いと思われるピークもあるが、そちらへは行くことは不可能である(5)

 リュックを置いて、怖々カルデラの深い火口底を覗く。水でもたまっているかと期待したが、針葉樹が生えていて、その倒木が見えるだけである。隣には、緑一色で覆われた西別岳、北東の方向に頂上を雲で覆われた斜里岳、その左奥にはじめ知床連山と勘違いした武佐岳と標津岳、さらに東側から南側に広がる根釧台地、反対側には阿寒の山々・・・そんな道東の大展望を独り占めにしながら、お湯を沸かし、コーヒーを啜り、カレーうどんを食べる。
カムイヌプリの火口壁と摩周湖
 無風でかんかん照りのためか、異常に暑く、裸になっても汗が拭き出るほどである。また、今度は羽蟻が煩い。いつのまにか数箇所噛まれている。 食べていると下から若い人達の声がして、まもなく女性1名と男性2名のグループが到着。本州からの登山を主体とした旅行者らしいが、素晴らしい展望に大喜びである。みんな途中のアブには驚いたらしい。自分一人のときは頂上でのアブは気にならなかったが、その人達について来たのであろうか、いつのまにか数が増えていて、さらに2箇所ほど刺される。さらに、男女二人連れが到着し、賑やかになる。

  ちょうど1時間寛いだので下山を開始する。途中数人と出会うが、683mピークを下り、登山口から30分くらいのところで、先日出会った日本1000山の男性がやってくる。今日の午前に雄阿寒に登り、その後この山に来るだろうと思っていたので、ひょっとしたら逢えるかも知れないと期待していただけにうれしかった。こちらから声を掛けると、昨日帰ると言っていたのでびっくりしている。色のさめたTシャツとジャージと長靴にナップサックを背負い、手には「北海道百名山」の本を丸めて持っただけの相変わらずのスタイルである。帰るはずの予定を変更してこの山に来たこと、多分逢えるだろうと期待していたこと、こちらも同じ長靴スタイルであること、自分の要した登山口からの時間、アブが煩いことなどを話し、別れる。通り過ぎて振り向くと、その男性は、立ち止まって昨日と同じように大きくゆったりと手を振ってくれている。

  残りの道を辿り、車で溢れている展望台登山口に到着。いつの間にか空は濃い雲で覆われ、雨がぱらついてくる。車を出すところにちょうど頂上で一緒だった3人連れが到着する。

 汗を流すべく弟子屈の摩周温泉へ向かう。缶ビールを買った酒屋さんで温泉の銭湯を教えてもらう。湯船に漬かる前に、まず缶ビールを一気に飲み干す。山で飲むのは山の水が、里に下りたらビールが最も旨い。極楽、極楽・・・時間的余裕もあるので、温泉をのんびり楽しみながら疲れを癒す。

 明日の天候は、全道的にかなり悪いらしい。もし、天候がよければ、途中、ダム工事で5年間夕張側から登れなくなるという夕張岳でもと考えていたが、今日中に帰ることにし、温泉を出て、近くの食堂でかつ丼を食べて帰途に就く。途中、阿寒湖で御土産のまりも羊羮とわかさぎの筏焼き、足寄でラワン蕗の塩漬けを買い、一路日勝峠経由で札幌に向かう。


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