稀府岳(まれっぷだけ)(702m)  単独  02,12,01

ポカポカ陽気に恵まれ、「尾根沿いのそれほど深くない藪漕ぎで・・・」という情報だけを手がかりにこの時期ならではの夏山モードの最後の山として挑戦する。下りにその威力を認識したGPSデビュー登山

3:30 函館(自宅)発
登山地点下山
7:15
7:33
8:38
9:05
車デポ地点
林道跡終点
621ピーク
頂   上
10:30
10:10
 9:30
 9:15
[1:50]所要時間[1:15]
伊達紋別岳登山口へ移動

 11月の晩秋登山の対象として、最近登山道が整備されているが、まだ登っていない伊達紋別岳を考えていたが、その山一つだけでは物足りないので隣の稀府岳の登山の可能性を探って、「稀府岳」と検索を入れたら、登別山岳会の11月の記録が見つかった。「登山道や踏み跡はないが、頂上までそれほどきつくない笹藪こぎで登頂できる」という情報とそのルート(頂上の南側から南西に伸びる尾根)を参考にトライする。

  一度、ひと月ほど前の11/5に標高350m附近まで登ってみたが、林の中の尾根が広くなる地点で、天候も悪いし、下りが不安になり、赤テープ持参で出直そうと途中断念し、次の挑戦のチャンスを待っていた。その後、GPSも購入し、赤テープも用意し、好天に恵まれ、雪のまだ少ない最高のチャンスが訪れた。当然、伊達紋別岳との一日2山の計画で出かける。 家を、満天の星空の下、3:30に出発。一路伊達を目指す。早く着きすぎて、道の駅「歴史の杜」で夜明けを待つ。やがて、稀府岳の東側の裾から太陽が顔を出す前に(1)、登山口を目指す。
 
  このルートの登山口となるのは、伊達市街から国道37号線を室蘭側に向かい、稀府駅への道との信号を左折し、まっすぐ山に向かう。やがて、道央自動車道を潜り、400mほど進むとその舗装道路は左側へカーブし、大規模な養鶏場に向かう。そのカーブから300mほど進むと右側に25000の地形図にも載っている林道への分岐がある。そこを100mほど進むと行き止まりになっているので、そこに車を置いて、スパイク長靴で出発する。

 はっきりした道は、あの先の個人の作業場ですぐ消え、昔住居が数軒があったと思われるところまで地形図に出ている廃道を進むが、この藪が結構ひどい状態で、笹藪に入るとその痕跡すら見えなくなるが、強引に掻き分けながら直進する。10分ちょっとで廃屋の側を通る。その上のこじんまりとしたトドマツの植林地へ入っていく。その林の右端に微かな踏み跡が続くので、それを辿る。その植林地を100mほど進む、その踏み跡は、右側の尾根に続く比較的はっきりとした伐採道跡へと続くので、それを辿ると、まもなく尾根の中央辺りでそれも消える。

 いよいよ、そこから踏み跡もない林の中の笹藪漕ぎが始まる。こんな山でも私と同じ物好きがいるようで、初めのうちは微かな踏み跡らしき部分が見えるが、それもだんだんはっきりしなくなる。標高350m附近までは笹藪も比較的密度が薄く、その丈は顔から胸くらいでそれほど苦にならないで歩ける(2)。尾根の中央を意識的に直進する。GPSは持っているが、帰りのためにところどころ赤テープを付けていく。古いものも所々には付いている。だんだん笹の密度が濃くなってくる。390m附近で何の目的で作られたのか分からないきれいな刈り払い道が横切っている。

 そこに赤テープがぶら下がっているのを確認して、再び笹薮へ入っていく。400m辺りから尾根が広くなり、傾斜も増し、笹の密度が濃くなってくるし、笹の丈も高くなってくる。それを足で掻き分けながらの登りが続く。幸い顔より高いところはないが、笹の表面の雪で覆われはじめる。変化のない同じような登りで、やや気が滅入ってくる。

 450m附近で5分ほど休憩。林も薄くなり樹間から室蘭から伊達の海岸線とその町並みが覗く。カッパのズボンを履いて、さらに密度の濃い凍った倒れて膝頭くらいの笹薮を膝で掻き分けながらだんだん狭くなる尾根の登り続ける。480m附近で林から抜け、上に530附近の露岩の尾根ピークが見える(3)。振り返ると、噴火湾の向こうにはうっすらと白い駒ヶ岳が見える(4)。

 530mピークに出ると、表面にこれまで見えなかった621ピークまでの稜線が見え、笹の丈も足首くらいの表面がうっすらと雪に覆われた笹原で、稜線沿いに微かな踏み跡らしきものが認められる(5)。右側には伊達の街並みと有珠山と昭和新山が見える(6)。細い稜線の東側が笹の丈も低く、雪も少ないので、そこを登っていく。621ピークまでは稜線沿いに岩が見え隠れし、笹の中の小さな岩に躓いて、一度転ぶが、このルートの中でもっとも快適な歩きである。621ピークへ到着すると、ここから初めてポンと突き出た頂上が見える。頂上までの稜線は細く、西側がダケカンバ林で、東側が笹の急な斜面である(7)。その細い稜線のピークの腰くらいの高さの密度の濃い凍った笹を足で掻き分けながら、途中一つピークを越えて、最後は急斜面は笹に掴まって頂上に到着。

 頂上は三角点の周りだけがきれいに刈り払われていた(8)。そこから、西側の木が邪魔で、この後登る予定の紋別岳がみえないので、少し先へ進むと紋別岳の全容とその向こうに白い羊蹄山が見えている(9)。頂上の稜線は鋭く聳える岩頭で遮られ、それ以上進むのは高所恐怖症の私には無理である。

 次の予定もあるので、10分ほど休んで、すぐに下山を開始する。下る稜線の向こうには室蘭方面が太陽の光を海が反射してまぶしく見える(10)。530ピークまでは、細い稜線沿いであるし、自分の掻き分けて来たトレースがはっきりしているので、迷う心配は全くない。その先からが問題である。左側の斜面に笹原が広がるので、どうしてもそちらへ下りたくなる。林から抜けたところに赤テープをぶら下げておかなかったことを後悔し、GPSを取り出して登りのトレースを辿ることにする。それでも最大傾斜線の左側へ下りがちである。

 案の定、その後GPSを切ったら、途中2本ぐらいぶら下げた赤テープを見失い、刈払い道を横切る地点では、最大傾斜線に引っ張られ100mほど東側にずれていた。赤テープのあるところまで刈り払い道を西側へもどる。その後、林道終点までは、GPSを頼りに下り、赤テープも回収しながら下る。

 日高の山や知床岳の藪こぎに比べればたわいのない藪こぎであるが、踏み跡もない広い尾根の林の中の藪こぎは冬山と同じで、方向を見失いがちであり、GPSの威力を確認できたうれしいGPSデビュー登山となった。

 後日談〜帰宅して、次の日、リンク仲間の「北海道大秘境の滝とのんびり登山」のTAMさんから、「同じ日に別ルートから登ったら、頂上の反対側から登った形跡があったが、あれは坂口さんだったのですね。」という掲示板への書き込みがあり、びっくりした。まだ20代のバリエーションルートを専門にしている、彼らの自ら地図を見て開発した牛舎川支流ルートからのワイルドな最短距離の記録をどうぞ!→「牛舎川支流ルートからの稀府岳」

続けて登った「伊達紋別岳」へ


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