前千軒岳(1063m)  大千軒岳旧道コース  単独  04,8,07

旧道コースから花の稜線を歩き、その後微かな踏み跡を覆う藪を掻き分けて前千軒岳へ
 
3:30 函館発
5:15 松前(松前・石崎線へ)
6:00 旧道登山口
登山
地点
下山
6:15
7:30
7:50
8:05
8:40
登山口
前千軒分岐
花畑(1630m付近)
前千軒分岐
前千軒岳
10:30
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9:30
8:50
[2:25]所要時間[1:40]
12:00 吉岡温泉(入浴)
14:00 函館着


 この山は、大千軒岳の南の稜線上に位置する山で、道南1000m峰25座の内未踏の2座(この山とオコツナイ岳)のひとつでもある。大千軒岳は何度も登っているのに、分岐からのこの山への踏み跡がすっかり藪で覆われているというのが大儀で今まで訪れることがなかった。しかし、最近藪漕ぎにすっかり慣れてしまっていることもあり、今回の挑戦となる。

 今年になってずっと通行止めになっている道々604号線(松前石崎線)がどうなっているか、前日に渡島西部森づくりセンターに電話で問い合わせると、運がいいことに「数日前に松前の方からの途中の茂草大曲林道(これまでも近道として利用)を利用することによって通行可能になった」とのことである。ただし、上の国の石崎の方からはまだ通行止めだそうである。

 夕方から会合があるので、まだ暗い3:30に家を出る。松前の及部川沿いの松前石崎線に入り、監視小屋から7km弱で林道標識が新しくなった茂草大曲林道との分岐になる。道々604号線松前石崎線はゲートで閉じられたままである。12kmほどで再び松前石崎線に合流する。そこの分岐にも新しい「茂草大曲林道」の標識が立っているので、帰りも間違うことはない。しかし、春からほとんど車が走っていないようで、例年より路面はかなり荒れた状態であるが、走行には支障ない。タイヤの跡も昨日入った一台のものだけしか見当たらない。

 途中、知内から見たときには大千軒も前千軒もうっすらと見えていたが、登山口は濃いガスに覆われたままである。視界が限られたブナ林の中のつづら折りの登山道を進む。この登山道はいつもブナの枯れ葉の絨毯の上を歩くようで好きな道である。やがて、ダケカンバが出現してくる。いつも気になる枝を広げたお化けみたいなダケカンバの大木が目に入ってくる(1)。途中から見えるはずの大千軒も前千軒も濃いガスに中である。1時間15分ほどで前千軒岳分岐に到着するが、ここまででこの登山道で熊の糞を一度も見なかったのはこれまでで初めてである。いつもは必ず5ヶ所以上は目にするはずなのだが・・・。

 分岐の先は深い笹で覆われたままであり、微かに笹藪の低く見えるところが踏み跡なのであろう(2)。時間が遅い方が晴れてくる可能性があるので、先に十字架の立つ千軒平の方へ向かい、大千軒岳への稜線沿いの花畑を見てくることにする。千軒平までは5分である。いつも来る6月上旬のピークの花畑はすっかり花の種類が変わっていて、一面、北海道ではこの山でしか目にすることのできないハクサンシャジンが斜面を覆い(3)、その中にタチキボウシ、シラネニンジン、コガネギク、カワラナデシコ、ダイモンジソウ、シオガマギク、トウゲブキ、ハイオトギリ、ナガバキタアザミ、ハクサンボウフウなどが咲いている(ページ下)。

 千軒平から20分ほど歩き、戻ることにする。視界は相変わらず10〜20mほどである。前千軒岳分岐まで戻り、ガスで濡れている藪漕ぎに備えて上下カッパを身につけて、藪に突入する。踏み跡ははっきりしているが、背丈を越す笹薮に覆われ、それが入り組んでいて、手で掻き分けながら足下の踏み跡を確認しながら進まなくてはならない。やがて、笹薮から顕著な稜線となり、灌木やオオイタドリなどの藪に変わる。細い稜線なので、多少踏み跡を外しても迷う心配はない。

  ひとつ目のピークを越えるとこの稜線の核心部であるキレットに下りる。この辺りからガスが晴れてきて展望が少しずつ広がってくる。キレットの先は日高の細い稜線を思わせる鋭さである(4)。怖々キレットを越え、次のピークへの細い稜線の急登となる。稜線の藪の中に踏み跡を探しながら進むが途中で踏み跡を見失う。しかし、そのまま稜線の中央部の藪を進むと稜線をはずれた踏み跡にぶつかる。目指す方向に前千軒岳の頂上が見えるようになり(5)、振り返ると大千軒岳が見えている(6)。その後のピークをかわすようにトラバースしながら進むと、頂上手前のコル付近も背丈ほどの笹薮である。
 
 その笹薮を漕ぐと、頂上標識と今まで見たことのない標石が埋設された頂上に到着である。残念ながら再び海側からのガスで覆われ、大千軒岳の頂上は見えなくなっている(7)。頂上の少し先の方が高そうで、そちらへ行くと袴腰岳が見える。

 10分ほど休んで下山開始する。だんだんガスが濃くなり、視界も再び10〜20m位となる。帰りは来るときに見失った踏み跡を見つけスムーズに歩くことができるが、最後の笹薮は分岐の方向を間違い、踏み跡も見失い、猛烈な藪漕ぎを10分ほど続け、ようやく分岐へ戻る。少し下っている内に千軒平の稜線が見え、知内川コースから登ってきたと思われる数人の姿が見えるが、大千軒も前千軒もとうとうその頂上は見ることができなかった。

 分岐からちょうど1時間で登山口に到着する。登山口にも車はなく、新道コースの登山口まで向かったタイヤの跡もなく、今日この林道を走ったのは自分だけのようである。帰路、福島の吉岡温泉で汗を流し函館へ向かう。


大千軒岳稜線に咲く花たち

ハクサンシャジン

コガネギク

シオガマギク

トウゲブキ

ハイオトギリ

ナガバキタアザミ

カワラナデシコ

ハクサンボウフウ

























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