久山岳(1410m)  [剣山下コース]  99,7,28

見た目よりきつい登りも、次々と現れる自然の造形物に対するネーミングの表示板が癒してくれる。

登山地点下山
10:40
11:00
12:00
13:00
13:10
車デポ地点
登山口(入林届ポスト)
木石見返り坂
高王山二の森
頂上
15:00
14:55
14:08
13:30
13:20
[2:30]所要時間[1:40]
北日高の芽室岳と剣山の間の芽室岳寄りに地味な形で聳えるこの山(1)に登山道ができ たことを知ったのは、「夏山ガイド・日高山脈編」の増補改訂版を書店で立ち読みしたときである。剣山(左)と芽室岳の間に聳える久山岳(中央)

 1839峰を下りた次の日、「午後から雨」の天気予報で、エサオマントッタベツ岳を諦め、この山に向かう。まったく、情報もなく、立ち読みしたときの記憶では、剣山登山口の下から右側に入っていくと登山口があるらしいということだけである。

 剣山へ向かう下の商店で、登山道の入り口を聞き、そこまで行ってみると、剣山登山口の下に、同じ宗教団体の看板が立ち、「久山岳・高王山登山道→」と書かれた立派な標識が立っている(2)林の中に新しく作られたような道をその方向へ車で入れるところまで入ってみる。
登山道入口の看板
  それ以上は無理と思われる林道分岐のようなところに車を置いて、標識にしたがって登山開始。標高差900mくらいの山である。往復5時間もあれば登れるであろうと高を括りのんびり歩き出す。どこが登山口か良く分からないコースであるが、昨日にでも入ったのであろうか、登山靴の跡がいくつか見られる。10分程、新しく切り開かれたような道を進んで行くと、突然、いつも車が走っているような立派な林道にでる。この林道への入口が分かれば、20分ほどの歩きから解放されるのだが・・・。

 その林道を、さらに10分程登って行くと、「国有林境界」という看板があり、「入林届ボックス」が設置されている。ここが登山口なのだろうか?
その中に記されている入山時刻と下山時刻を見ると、5時間前後の人が多いようである。記帳して、林の中の笹藪を広く刈り払った中にオオバコが敷き詰めたようなごく緩やかな道を30分ほど進む。その途中にも「虹の川」「極楽の宮通り交差点」などといったネーミングの標識がつけられている。
木石見返り坂からの望む清水の畑地
  「日輪釈迦如来」という標識が大きな木の幹に付けられた辺りから、本格的な登山道の急な登りになり、その後緩むことのない日高の山らしい急登が続く。気温がかなり高いらしく、ぼたぼた汗が滴り落ちる。 「木石見返り坂」からは振り返ると清水の幾何学模様の畑地が広がる(3)。屏風岩その後、「安産岩母の胎内」「安産岩父の胎内」「極楽鳥森の小鳥」「高王山神の重岩」「石松安山岩」「屏風岩」(4)「根性の松」「大蛇の通り道」「カエル岩」「高王山釈迦涅槃座石」「末広の木」など、岩と樹木の織り成す自然の造型物に対する仏教関係のおもしろいネーミング標識が次々と現れてきて、それが楽しみで辛さを忘れて急な登りをどんどん進ませられる。足元には、ツルリンドウがずっと付き合ってくれる。
頂上下の様子
 遠目にはおっとりした山のように見えるが、緩みのない急登の登山道の雰囲気は芽室岳に似ているが、結構露岩があちこちに配され、そういう感じは剣山に似ている。その両山が右側と左側に望まれる。上空はだんだん曇ってきて、天気予報通りの感を強くする。 高度が上がるにつれて、傾斜もきつくなりジグを切るようになってくる。やがて、頂上かなと思うようなところへ出るが、「高王山二の森」「頂上まで後10分」とい
う標識が付けられている。

 ここから頂上までは岩をや大きな木の幹を跨ぎと結構ワイルドな歩きである。苔むした岩、矮生のアカエゾマツやダケカンバやツツジ類の灌木と、ちょうど然別湖近くの東ヌプカウシリ山の途中の庭園風の景観と非常に似ている(5)。 やがて、木で造った梯子を登り、大きな岩がいくつも積み重なった頂上へとでる。ところが、途中の標識や仏教の修行の山ということから、何か石仏か小さな仏閣でもあるのではないかと期待していたが、そんな面影は何にもなく、あたらしい立派な頂上標識が立っているだけだったのは意外であった(6)。剣山には頂上に逆さ剣が岩に埋められて天を向いていたのとは、だいぶ違う雰囲気である。
山頂
  北日高の山々もすっかり雨雲に覆われてきてその峰は隠れたままである。ちょうど雨もぱらついてきたこともあり、簡単なものを口にいれてお茶を飲んですぐに下山する。登りが急だと帰りもきつい。ただ、道がまだ新しいせいか、ステップ状ではなく、斜めのままの平らな道である。どうしても、足の裏全体を付け、足首を延ばしてのスタスタ走り状態になってしまう。前日の1839峰の15時間もの行動のつけが腿に来て結構きつい下りである。。

 傾斜が緩んで林道状態になる辺りから、雨が本降りになり、雨具も持たないできたので、涼しさを味わうような気持ちでずぶ濡れになりながら、30分くらい歩き続けてゴールイン。

 帰りに剣山登山口の方へいってみたら、この山の説明板が設置されていた。要するにこの宗教団体の神の山が「剣山」で、仏の山が「久山岳」なのだそうである。


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