黒松内岳(739.8m)  1998,9,12

急峻な山容と北限のブナ林が魅力の静かな穴場の山。町営温泉「ぶなの森」もゴージャス。

5:45 自宅発(函館)
7:50 黒松内・狩場駐車場公園
           (林道入口)
登山地点 下山
8:20
9:15
9:35
登山口
頂稜コル
頂 上
10:25
9:55
9:40
[1:15] 所要時間 [0:45]

11:00 黒松内温泉・ブナの森
                (入浴)
14:15 帰宅
国道5号線からの長万部岳と黒松内岳(右)
  いつも国道5号線をニセコ方面から長万部方面に走るときに、長万部岳の右側に、荒々しい山肌を見せ、鋭く聳える名前も知らない凄く気になる山があった(1)。この山が黒松内岳だと分かり、登山道があるという情報を目にしたのは今春(1998) である。「北海道夏山ガイド」にもまだ載っていない山であり、早速役場へ電話をして確かめて見る。
 
 「国道5号線から長万部の蕨岱で分かれ、黒松内に向かう国道を少し入ったところに狩場山駐車場公園があります。その北側の端から林道があり、登山口まで続いています。登り1時間半ぐらいの山です。登山道はしっかりしています。」という、役場の方の情報だけを手掛かりに家を出る。

 この夏は、天候と仕事とのタイミングが会わず、珍しくひと月半近くも山に登ってなく、苛々が募っていたにもかかわらず、天候は曇り。目指す山の姿も見えず。 駐車場公園の北側に確かに林道の入口があり、「黒松内岳登山道5km」(実際は5.5km )の標識あり。快適な林道を3km程進むと、分岐があり、突然新しい舗装道路が出現、思わずそちらの道を進んで行くとまもなく行き止まり。戻って、未舗装の沢ぞいの林道を2.5km 進むと立派な登山口の標識があり、駐車スペ−スも作られている。登山届には、札幌や室蘭近辺の人が多い。ツルリンドウの花

 目指す山は、ガスに覆われたままであるが、ひと月半ぶりの山である。雨の心配は無い。多分誰にも出会うことのない静かな山にるであろう。勇んで、取り付きから、トドマツの植林地の中に木の階段が続く急登をスタートする。傾斜が緩むこと無く、ブナ林の小さな尾根道へと続き、どんどん高度を上げて行く。汗が拭き出て止まらない。鳥の声も無く、展望も無いだけに余計道の辛さだけが気になる。それでも道端のツルリンドウの花(2)とキノコが秋の山を感じさせてくれる。
快適なブナの稜線の道
 30分程も急な登りが続き、ちょっとの間傾斜が緩み、展望が少し広がる小さなピーク状のところで一息つく。まだ青々としたブナの大木が目につく。その後、笹藪を抜け、再び美事なブナ林の中の細い稜線の急な登りに入って行く。右側に深い谷がガスの下に覗くも、それ以上の展望はない。やがて、傾斜が緩み、ブナ林の細い稜線歩きとなる。このコースで一番快適なところかもしれない(3)。

 そこまでの急な登りがきつかっただけに、気持ちのよい稜線歩きである。ただ展望が広がらないのが残念である。下り気味になり、とつぜん視界が開け、左側に深い谷地形が覗き、正面に頂上はガスに覆われているが、荒々しく岩肌をさらけ出した、急な頂上斜面が眼に入ってくる。下の国道から眺めると気になる急峻な荒々しい山容の頂上部分が目の前に現れるのである。そして今歩いている道は細い稜線から、急な尾根へと続いている(4)。耳を澄ますと、沢水の流れが聞こえてくる。
ガスに覆われる頂上と尾根道
 ブナ林を抜け、その急な頂上尾根に取り付く。両側は雪崩斜面なのであろう、深い谷底まで落ちたら止まらない感じである。岩が露出し、夏には花が咲いてきれいなところかもしれない。今は、コガネギクとアザミの仲間くらいの花であるが、そんな高山の様相を楽しみながら、ジグを切って登って行く。やがて、すぐ上に頂上稜線が覗く。

 最後は丈の短い笹薮の中の道がそのまま頂上へと繋がる。展望がないのが残念なのと、頂上標識の根元がハネアリの巣らしく、休みたくとも身体に群がって来て、とてもその気になれない。写真だけ撮って早々に退散である。天候がよければ、頂上の下の谷底が見える快適な斜面で休みたいのだが、そのまま急な道を駆け下りるようにして下る。

 頂上斜面の取り付き部分で一息つき、つかの間の快適なブナの稜線を楽しみ、あとは、急な下りの道である。登りは、展望のないはじめての急な道だったので、長く感じたが、帰りはあっという間である。45分で登山口へ下りる。予想した通り、誰にも合わない静かな山であった。林道で、それらしい人の乗った車とすれ違う。

 あとは、新しくできたばかりという「黒松内温泉・ぶなの森」へ直行である。市街地の手前にすばらしい建物があり、周りは公園の造成中である。中の作りも、浴場や露天風呂のゴージャスさは公営温泉では超一級品である。




「山行記目次」へ  次へ「七ツ岳」    HOMEへ

inserted by FC2 system