熊見山(1175m)熊越山(1328ピーク)
 日勝峠・三国の沢シェルター入口ルート  

単独(山スキー)  03,5,05 
夕方までに函館へ帰らなくてはならない早朝登山に選んだ日勝峠の手軽な一周登山

4:10 清水町発
4:30 シェルター入口
登・下山地点
4:45
5:30
6:20
6:40
6:48
シェルター入口
熊見山
1328峰
(休憩)
シェルター入口
「2:03」所要時間

10:00 壮瞥ふれあいセンター
             (入浴)
14:00 帰宅 

 これらの山は、冬期間や残雪期に、日勝峠の日高側の大きくカーブする三国の沢シェルターの入り口から簡単に登れる山であり、結構人気のある山であるが、いつも話題になるのは、「名前の付いている熊見山が稜線途中のわずかに高味のピークであるのに比して、その稜線上のすぐ北西に聳える立派な山体で頂上感や存在感のある1327.9に名前の付いていないのがおかしい」ということである。山岳会によっては1328峰の方を熊見山と呼んでいるところもあるらしい。従って、熊見山だけ単独で登られることはあまりなく、1328ピークとセットの一周登山をされる山のようである。
 
<2010,6,15追記>
 いつもお世話になっているサイトの管理人からの情報であるが・・・この1328峰に設置されている三等三角名が「熊見山」で、大正4年の「点の記」によると、「俗称・熊越山」であることが判る。現在は、労山熊見山とも呼ばれているが、本来の「熊越山」が普及してほしいものである。

 前日、下ホロカメットク山と境山の下山途中に出会ったHYMLの仲間と、トムラウシ温泉の大雪荘でゆっくりくつろいだ。その際、翌日函館に葬儀のために15時までに帰宅しなければならないので、帰路途中でどっか手軽に登れる山はないかと話をしていると、彼らが前日登ったこの山が候補に挙がってきた。地図をもらって見ると、確かに2時間もあれば一周登山できそうな山である。「滑りを楽しむなら熊見山から1328へ向かった方がよい。」とも教えてもらう。

 前夜、日勝峠手前の清水町で車中泊をして早朝に備える。うっすらと明るくなった4時に目が覚め、登山口となる日勝トンネルの日高側の沙流川の源流部を大きく迂回する三国の沢シェルターの日高側の出口を目指す。出口の駐車場に車を置いて、スキーを担いで国道を渡り、シェルターの左側から陰の方に入っていくと(1)、雪が現れるのでスキーを着ける。 昨日のものと思われる1328ピークから下りてきているトレースが賑やかである。すでに標高960m地点からのスタートである。東側に稜線が見え、その微かに一番高いところがまずは目指す熊見山である。

 スタートしてまもなく川にぶつかる。スノーブリッジを探しながら登っていくと、10分ほどでとスノーブリッジが見つかる(2)。そこを渉って、トドマツとアカエゾマツ林の斜面を登っていく。林を抜けるとハイマツが出現する。振り返る右側になるほど存在感のある1328峰が見え、昨日のものと思われるたくさんのスキートレースがはっきりと見えている。頂上の右側のコル附近をねらってまっすぐ登っていくが、背丈の高いハイマツ帯にぶつかる。右側へ移動しながら雪の繋がっているところか、ハイマツの薄いところを探す。

 稜線まで雪が繋がっているところはないが、ハイマツがなく膝丈位の藪が見つかる。昨日登ったメンバーもそこをスキーを担いで歩いたとのことだったので、自分もそうすることにする。わずか5分ほどで、右側に稜線へ繋がる雪が見つかる。再びスキーを付けて稜線へ出ると、霞んだ十勝平野の上に登って間もない真っ赤な太陽が見え、日勝スキー場や山肌を縫う日勝峠の車道が見える。日勝峠の方から登ってくる人もいるらしく稜線上にはツボ足やスキートレースが続いている。頂上は北側で、朝日を横から受けて輝いている。十勝側に雪庇が発達して、それが今にも崩れ落ちそうに口を開けている(3)。歩き始めて45分ほどでまずは熊見山ピークである。

 西側には1328峰がゆったりと聳え(4)、そこまで、一端下って登り返す稜線が繋がっている。南側の稜線の向こうには、ピラミダルなペケレベツ岳やその奥に芽室岳と思われるピークも覗いている(5)。南西方向には沙流岳の鋭峰が存在感をひときわ目立たせている。標高差50mほど下ると、あとは、割と広い稜線を1328を目指して登るだけである。

 時間的な余裕もあるし、まだ斜面が堅いままなので、サクサク登れる。のんびりと散策気分で1328ピークを目指して沙流川の源流部を大きく巻くような変化のない広い稜線を登っていく。左手下には蛇のように曲がりくねった青いシェルターが見える。歩き始めてから1時間30分で1328ピーク到着である。頂上は、南側がハイマツで遮られ、その北側の稜線上にここより高くどっしりとした1389ピークが聳えている。このピークには双朱別岳という名前が付いているらしい。1時間半ほどで行けそうな感じで、時間的余裕があれば行ってみたい気がする山である(6)。

 先ほど登ってきた熊見山は稜線の一部でしかないような感じである(7)。風をハイマツで遮りながら、軽い朝食を摂って20分ほど休憩する。かなり物足りない感じであるが、多分これが、今シーズン最後の滑降であろう。そう思うと、滑り出すのが惜しい気がしてならない。結構おいしそうな斜面であるが、昨日の多くのシュプールが凍り付いたままで残っているのがちょっと邪魔な感じである。その下側の斜度のある誰も滑ったあとのないまだ全く緩んでいない斜面を豪快に飛ばす。まだ7時前の滑降である。こんな早朝時刻に滑りを楽しむのは初めての経験である。楽しみだった森林限界上の斜面もあっという間に終わり、林に入り、木々の中を縫うように滑り降りる。シェルターのそばまで下りて、時計を見ると、わずか7分でゴールインである。

 まさに朝飯前の早朝登山はこれで終わりである。あとは帰路に就くだけである。どこか温泉に入りたい気分であるが、こんな早い時刻では無理である。時間的にも余裕があるので、高速を使わず、千歳経由で美笛峠を越えて、壮瞥の蟠渓温泉まで行ったら、ちょうど10時になる。国道沿いに町営のログハウス風の壮瞥ふれあいセンターという新しいこじんまりとした温泉があるので、そこの玄関を覗いたら、うれしいことに休日だけは10時から営業している。そこで、休憩も兼ねた一番風呂をご馳走になり、あとは一路函館へ向かう。

 その夜は5/1に急逝した友人の通夜の葬儀委員長である。その会場始まって以来という600人もの会葬者に驚きながらの務めを無事果たして、ようやく下山したような気分になる。


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