ニセコ周辺や洞爺湖周辺からは、直ぐにその山だと指呼できる天を突く独特のピークの一等三角点の山である(1)(尻別岳から撮影)。山名は、アイヌ語でトコンポ=ヌプリ(小さなこぶの山)に由来するらしい。あの独特のピークをアイヌの人たちがトコンポと呼んだのは納得できるが、それに海の産物である昆布という漢字を当てたので、由来を知らないと頭を悩ますことになる。
この山に登ってすでに12年の月日が経っていた。360度遮る物のない展望が魅力のこの山に、原点を振り返る山巡りの一環で再訪を決める。ただし、新鮮な感覚で登りたいので、自分の前回の記録も見ないで、地図さえも持たずに印象だけでの再訪である。
昨夜は、涼しい内の早朝登山狙いで豊浦の道の駅での車中泊であったが、二度寝してしまい、目が覚めたら6:30であった。2時間以上予定が狂ってしまった。道路の分岐に必ず設置されている標識に導かれて登山口を目指す。
すでに、朝から気温が29℃にもなっている中、
農家の物置のそばの登山口(2)をスタートする。入林届けには、昨日は平日にも関わらず3名が登っているようである。前回は2時間掛からなかった記憶があるが、「頂上まで5.6km」と書かれているので、2時間半の予定でスタートする。
ずっと林道跡を辿る登山道であったという印象が強く、何気なしに歩いていると、いつの間にか畑に出てしまう。どうやら分岐を見落として直進してしまったらしい。慌てて戻るが、10分ほど余計な時間を喰ってしまう。
5合目まで変化のないダラダラ登りの林道跡の登山道を進む。辺り一帯は伐採されたままなのであろうか、太陽を遮る樹がなく、おまけに両側の笹薮の背丈も高く、風も通らないので、暑くてしょうがない上に、アブにずっとつきまとわれてイライラしながら汗だくの登りを続ける。5合目付近には伐採作業の土場跡と思われるところが点在している。
5合目を越えて少し下ると、このコース唯一のチャームポイントである「めがね岩」との再会である(3)。
そこから一度下って登り返すが、5合目からはダケカンバ林の中の歩きとなるので、涼しく感じられてうれしい。時折、樹間から頂上とその西に連なる西昆布岳が覗くようになる。7合目でどうやら林道跡は終わり、尾根の上への急登となる。しかし、尾根に乗ったら、またダラダラ登りが続き、さらに8合目までは下りとなる。
8合目からは頂上とそこまでの登山道の続く尾根が見えてくる(4)。ここからがギアチェンジの必要な本格的な登りである。9合目からは、岩場や崩壊地などもあり、細い尾根に乗ると、
道端ではハイオトリギの花が迎えてくれ(5)、頂上はもう直ぐである。
2時間15分で、
一等三角点と支柱だけが新しく変えられた特色のある頂上標識に迎えられて頂上へ到着する(6)。ところが、天候はいいのに、期待の遠望は霞んで近くの羊蹄山やニセコの山々だけが微かに見えるだけである。
涼しい風が吹き抜け、周りにはトンボの大群が待っている。汗だくの登りが嘘のような爽やかさの中で独り占めの頂上を楽しむ。
西隣に連なる西昆布岳は、最近、素晴らしいという山スキーでの報告を目にすることが多い。確かに、滑りを楽しめそうな斜面である。今度は、山スキーでの再訪を誓う(7)。もっとのんびりしたかったが2時間以上の寝坊のツケは大きい。午後からのニセコ連山巡りの予定もあるので、25分ほど休んで下山を開始する。
土曜日なのに、なかなか登ってくる人に出会わないと思いながら下山を続けると、単独の男性と女性4人と男性一人のグループがやってきた。みんな、「暑いですね〜!」が合い言葉であった。
帰宅後、前回の自分の記録を見て、これまた「登り1:30,下り1:20」に自分で驚いてしまう。よく「タイムが速いですね。走っているのですか?」と聞かれることがあるが、自分でも信じられないタイムであった。確かに、もっとスタスタ歩いていたという記憶があるが・・・暑さと加齢のせいかも?