[1] 駒ケ岳(砂原岳) (1,118m)) [砂原コース]92,5,17
 
一人歩きのスタートの山、大沼側から登るより、ずっと野生的なコース。
 
登山地点下山
5:45
7:40
登山口
砂原岳
9:15
8:15
[1:55]所要時間[1:00]
10:00 鹿部温泉・寅の湯(入浴)
11:30 帰宅(南茅部)
 
2002年情報 
 今年も小噴火の影響で全山登山禁止です。


小さいときからは大沼公園とセットで眺め続けてきた道南の秀峰・駒ケ岳(1)中学校の遠足で初めて登って以来、幾度となく 登ってきた身近な山である。
 
 ずっと昔は、列車で銚子口の駅で降りて、大沼湖畔を歩き、1合目から歩いたものであるが、ごく最近までは、森の駒が岳の方から車で6合目までは入れるようになっていた。
 (※平成10年現在、森町の大沼レイクサイドゴルフ場への入り口から入り、その中を抜けて6合目まで車で入コースに変わっている。ゲートがあり、朝の8時ごろからでないと開いていない。しかし、噴火の影響で剣が峰へ登ることは禁止されている。)
砂原岳への稜線から見上げる剣が峰
 この一人歩きの記念すべき第1山目に、この駒ケ岳を選んでみた。 しか し、これまで何度も歩いたコースを辿るだけでは一人歩きの ドキドキ・ワクワク感に欠ける。そこで、まだ歩いたことの ない砂原側から剣が峰の対峙峰である砂原岳を目指すことにする。

 森林公園として造成中の登山口付近からは、噴火湾特有の海霧のため頂上見えず。し かし、上空は晴れているはずと誰もまだ入っていない登山道 を進む。朝露と霧でズボンが濡れる。樹林帯から抜け出た辺りの火山灰地で、道を見失いうろうろするが、尾根取り付きへ続く足跡を見つけて安心する。

 尾根道の最初は火山灰のため歩きづらい。高度200mくらいのところでようやく海霧から抜け出る。上空は嘘のような快晴である。 駒が岳の南斜面に比べて北斜面のせいか植生も余り進まず荒々しい火山地形だけが目に着く。駒が岳側から登るよりずっと迫力があり、登山の醍醐味が味わえる。噴火前は見事な針葉樹林だった所なのであろうか、炭化した巨木の根元だけが斜面にニョキニョキ広がっているのが印象的である。
砂原岳頂上をバックに
黒い岩で構成されている剣が峰(2)や砂原岳側の対峙峰を見上げながら尾根道を登る。やがて、このコース最大の難所である岩稜帯への取り付き部に到着。遠目にはどのように登るのだろうと思うようなところも、近づくとルートはあるものである。ペンキの標識にしたがって、急な岩の割れ目状態のところを緊張しながら這うように登る。

 高山植物は季節が早いためか、花は見られない。灰緑色に輝く岩稜の苔が印象的である。噴火湾一帯の下界は真っ白な真綿のような雲海で覆われてまったく見えず、上空は素晴らしい快晴という、生まれて初めての眺めに感激しながら頂上への岩稜帯の道(3)を進む。やがて火山灰が堅く締まったやせ尾根の稜線に出る。両側は落ちたら下まで止まらないだろうと思われる急斜面で足がすくむ。
はるかなる横津岳(浅地達夫氏画)
 誰もいない木杭の標識だけの稜線上の頂上に到着。駒が岳の噴火口が連なる広い火口原には人影すら見当たらない。この広い山に「お山の大将われ一人」・・・生まれて初めて味わう充実感と満足感と快い孤独感に酔い知れながら、眼下に広がる雲海と噴煙の上がる駒が岳の広い火口原やその向こうに見える横津岳(絵)などを眺めて簡単な朝食をとる。気温が高く、裸になっても寒さを感じない。

 35分後、下から誰も登ってくる気配のない頂上を後にして下山開始。下りは、初めての一人歩きで緊張した登りと違ってルンルン気分である。火山灰地はずり落ちるような感じの足取りである。尾根道の下の方から5人程の一行が登ってくるのが見える。他人より早く登って、下りる時に、登ってくる人に出会うというのも優越感にも似たうれしさがあるものである。擦れ違って挨拶すると、一行はかつて一緒に勤務したF氏のグループである。しばし歓談し、別れる。

 帰り、鹿部の温泉「寅の湯」で汗を流し、午前中に帰宅する。

その年の9月23日(日)に初秋の砂原岳を再訪した。快晴の下、顔を出したばか りの太陽を真横から浴びて輝く姿を眺めながら、秋の朝露でびしょ濡れになって登 った。下山途中で摘んだアキグミはおいしい果実酒になった。 結果的にこの年の最後の登山で、初めて一人歩きに挑戦したこの山が登り始めと 登り納めの山になった。

※(情報)
 砂原岳から火口原へ下りるようにして行くと剣が峰への踏み跡もはっきりしている。大沼側への縦走も可能。しかし、平成10年現在は、噴火の影響で剣が峰への登頂や火口原への進入は禁じられている。(解禁の見通しは立っていない。)
(新情報)
 平成10年10月25日、小噴火し、平成11年度の規制の解除は、4月現在、まだ不明である。


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