北見富士(留辺蘂)(1291m)  北見富士林道コース  単独  02,7,29

登山道情報のほとんどない「北海道の百名山」(北海道新聞社)の山であるが、2年前に実際登ったTAMA@北見さんからの情報の記憶と赤いテープに頼りに、迷いながらもなんとか登頂・下山する。
留辺蘂富士見付近からの北見富士
 4:00 芽室町出発
 7:00 登山口確認
 8:00 温根湯温泉 (ガソリン給油)
登山
地点
下山
 8:40
 
 9:40 

10:00 
ブル道跡取付き
(登り、迷って15分ほどロス)
ブル道跡終点
(下り、迷って45分ほどロス)
頂  上
12:00

10:30

10:15
[1:20]
所要時間
[1:45]

13:30 層雲峡「黒岳の湯」(入浴) 600円
    (旭川北〜国縫間、高速利用)
20:30 帰宅
 同名の「北見富士」は丸瀬布町にもあるが、こちらは石北峠を越えた留辺蘂町のまさに富士山の様な端正な形をした山である(1)。北海道新聞社発行の「北海道の百名山」に選ばれているのだが、唯一詳しい登山道情報がない山である。

 前日、カムエクまでの縦走を諦めたために1日余裕ができる。芽室町で朝を迎え、ふと思いつき、2年前に伐採道跡を繋ぎ、最後は藪漕ぎの直登をして、実際に登った経験のある北見のTAMAさんからの詳しい情報の記憶を辿り、地図も持たずに、ダメモトで挑戦することにして、車で北上する。

 留辺蘂の厚和から丸瀬布町へ抜ける大規模林道(武利岳の登山口もこの途中から入る)を4.7km走ると、TAMAさんが写真で送ってくれた「北見富士林道」という標識がある(2)。そこには「林道決壊のため通行禁止」の看板がぶら下げてあるが、入れるところまで入ってみようと彼の情報通り6kmほど入ると、彼から送られていた写真通りのブル道跡の取り付きが見つかる(3)。
北見富士林道入り口(標識あり)
 安心して、温根湯温泉まで戻り、職場へ登山計画の変更を携帯メールで入れ、買い物とガソリンの給油をして、再び戻る。左足の親指の爪をテーピングして渓流シューズで一面フキで覆われたブル道跡に取り付く。いきなり二股になっているが、微かな鹿道か踏み跡か区別の付かないような痕跡のある右側を進む。
ブル道跡取り付き地点
 その後も全てフキや藪に覆われていて、それらを掻き分けての前進である。よくもこんなところにブル道を付けたと感心するほどの急な道である。しかも、微かな鹿道はついているが、人の踏み跡と思しき痕跡はいくら探しても見あたらない(4)。周りは下からずっと頂上までエゾマツとトドマツ主体の大木の密林状態の斜面である(5)。その中にダケカンバやナナカマドなどの大木が混じっている。

 とにかく上を目指して登っていくと、そのブル道跡が交差したり、二股に分かれたして、どちらへ進んで良いか悩んでしまう。どのブル道跡もみな同じような鹿道は付いているが、人の踏み跡らしきものは見つからない。ふと、先を見ると、赤いテープがぶら下がっているのを発見し、それを頼りに進むと再び交差するところで、赤いテープを発見。このテープを唯一の手がかりにして登って行くことに決め、帰りのためにその都度、手帳に記録をしながら登って行く。蕗で覆われたブル道跡

 高度を上げてゆくに連れて、道を覆うのはフキから灌木に変わるが、イバラを掻き分けて行くところがあったり、あちこちで行く手を塞ぐ倒木をまたいだり潜ったりの探検もどきの前進である。1100m付近まで行くとそのブル道跡の終点にぶつかる。しかし、いくら探しても、どこにも取り付き地点を示す赤いテープや人が取り付いたような痕跡が見当たらない。そこから藪漕ぎで直登するにも地図も磁石も持たないのでは、迷う心配がある。諦めて戻ることにして、200mほど下ると、登りで見落とした鋭角に分かれる道があり、その上に赤いテープを見つけてホッとする。間違った道がすぐ先で終わっていたからいいものの、ずっと先まで続いていたらと思うと、ぞっとする。
密林状態の林が続く
 そこから再び何ヶ所かテープに導かれて進むと、今度は正規の終点らしい。その先に頂上への取り付き地点を示す赤いテープが付いていて、微かな踏み跡が認められる(6)。そこから藪に入っていくが、再び、踏み跡は消え、とにかく藪を掻き分けながら頂上を目指して直登する。そのさきにも所々に赤いテープがぶら下がっているので、それを頼りに登って行く。やがて、藪の丈も低くなり、頂上へ続く小さな尾根に乗る。その尾根の末端から頂上までは踏み跡と思しきものが認められる(7)。

 頂上は、南北に延びた細い平らな尾根の上にあり、二等三角点と4本の木の幹を組んだ櫓のようなものが設置されているだけである。TAMAさんからの情報の通り全くの林の中であり、展望はまったく利かない(8)。せめて北側の武利岳くらいはと思うのだが無理である。覚悟はしていたが、やはりがっかりである。登りのルートもまったく面白味に欠ける魅力に乏しい山である。
ブル道跡終点
 ふと反対側を見るとやはり踏み跡のようなものがあり、その先にやはり赤いテープがぶら下がっている。ちょっと辿ってみると、東側から続いているルートのようである。あれだけ伐採道跡が入り組んでいる山なので、別のところから登ってくるルートがあるのかも知れない。
頂上下の尾根に続く踏み跡
 15分ほど休憩し、下山を開始する。丈の低いササの斜面での渓流シューズはミニスキーを履いているような感じで滑って何度も転びそうになる。赤いテープを見落とさないように藪に掴まりながらどんどん下り、ブル道終点に出る。

 そこから、来た道を下っていくが、かなり下がってから、いつの間にか記憶のないところを下っていることに気づく。この道にも鹿道はしっかりと付いている。高度計は、車のデポ地点より低い状態である。そう言えばしばらく赤いテープを見ていない。どこで間違えたのか? こんな人の入らないところで迷ってはいられない。「迷ったら、戻れ!」が鉄則である。とにかく最後に赤いテープを見たところまで戻ることにする。そうこうしているうちに、偶然カムエクから下頂上の様子りたというTAMAさんから携帯に電話が入る。今、TAMAさんの情報の記憶を頼りに北見富士に登っていることを伝え、お礼を述べ、さらに下りで迷っていることを伝える。「あのブル道跡はどこも同じような状態なので間違いやすいです。いざという場合はどこを下りても必ず林道に出ますから・・・・」とのことであるが、こちらも途中まで戻れば大丈夫だということを伝えて電話を切る。

 汗を吹き出しながら懸命に急な道を戻る。標高差200m、25分も戻ったところで、テープを発見。そこの地点の下の十字路で間違えたようである。手帳の記録を見ると下りは左へ進むようになっている。そちらを見ると道は見えるのだが、その繋ぎ部分が切れたような状態になっていて、上から下りてくると、絶対広くて鹿道がはっきり付いている道へ直進してしまいそうである。ここは絶対要注意である。

 一安心して、45分ほどもロスしたことを悔いながら、赤いテープの箇所では手帳の記録を確かめながら下るとわずか15分で車のデポ地点で到着する。順調に下りれば、1時間ほどで下りたであろうに倍近い1時間45分も掛かってしまう。それでも、余裕のある12時である。

 国道に出て、途中の層雲峡の「黒岳の湯」で汗を流しさっぱりする。旭川北から国縫まで高速道路を繋ぎ、途中で夕食を摂り、570kmもの道のりを一度も眠気にも襲われずに、8時間少々で無事帰宅する。



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