神威岳(カムイ岳)(北日高)(1756.1m)
<北東尾根ルート>  単独 山スキー&つぼ足&アルミわかん 07,5,4〜5

      当初の予定の戸蔦別岳〜エサオマントッタベツ岳を繋ぐことはできなかったが、日高山脈主稜線上の1/25000の地形図に山名掲載の最後の山全山踏破が叶い、数多くの懐かしい仲間との出会いを楽しむ

登山
地  点
下山
 5:10
 7:35
 9:45
11:25
13:30
 9:30
 9:50
10:10
トッタベツヒュッテ前
北東尾根取り付き
1129ピーク
1488ピーク
神威JP(テント泊)
   〃
神威岳
1750ピーク
16:05
13:40
12:35
12:00
10:50
10:40
10:25
10:10
[9:00]所要時間[5:55]
 南日高の有名な神威岳と区別するために、カムイ岳と書かれることが多いこの神威岳(1)(伏美岳から2006,6,14撮影)は、日高山脈主稜線上のエサオマントッタベツ岳と戸蔦別岳の間に位置する山である。しかし、登山道もなく、ハイマツが濃くて主稜線上の踏み跡もない山である。したがって、戸蔦別林道の雪解けが進むGWごろの残雪期に北東尾根を利用して登られることが多い

 今回、この山を選んだのは、この山を登ると日高山脈主稜線上の佐幌岳〜豊似岳間の1/25000の地形図に山名が掲載されている全山踏破(25山)が叶うことと、神威岳にテントを張り、戸蔦別岳とエサオマントッタベツ岳間をそれぞれ1日掛けて繋ぐことにより、伏美岳〜ペテガリ岳間が繋がるからである。しかし、結果的には天候に恵まれなかったことなどから、神威岳を1泊2日でピストンしただけに終わった。

○5/3、函館から戸蔦別林道まで

 8:00に函館を発ち、高速も使わずに450kmを走り、16:00過ぎに戸蔦別林道に入る。4月末日の偵察情報をもとに、最終人家からの13kmの林道歩きを覚悟していたが、雪解けが進み、トッタベツヒュッテまで入ることができた。残り8kmの林道歩きで済むことになり、気持ちが少し軽くなった。

 それにしても、その周辺に止まっている車の数が凄い。数えてみたら、15台もあったのには驚いた(2)さすが、この時期ならではの人気の山である。情報収集のためにHYML(北海道の山ML)に流したメールに、3パーティ4人から「前日に同じルートに入っています。再会を楽しみにしています。」とのメールをいただいていたのだが、入山届けを見たら、もう一人増えていた・・・・彼らとの再会も楽しみである。

 時間的余裕もあるので、25kmほど戻り、いつも利用する260円の入浴料が魅力な芽室町の国民宿舎新嵐山荘で、入浴し、長距離運転の疲れを癒す。再び林道を目指すが、途中の洒落たトイレのあるポロシリ高原パークゴルフ場で夜を明かす。天気の心配はなさそうだ。今晩、稜線に泊まりたかったほどの月明かりである。

○5/4、8kmの林道歩きの末、北東尾根から神威JPを目指す

 5:10、トッタベツヒュッテ前を出発。氷点下まで下がったためにつぼ足でも楽に歩けそうだったが、溶けているであろう帰りの歩きやすさを考えて、スキーを履く。これまで、夏に何度も車で走ったことのある林道だ。ところどころに雪が切れるところもあるが、行く手に八ノ沢出会いから主稜線上に延びる尾根の向こうに戸蔦別岳の頭と1967峰〜ピパイロ岳間と思われる稜線が見える(3)。更に進んでいくと、今度はこれから辿る北東尾根と神威岳が見えてくる(4)

 7:40、2時間半で北東尾根取り付き地点到着。だいたい予定通りだ。スキーが7台デポされている。自分もスキーをデポし、15分ほど休憩。今日のゴールの神威JPまで標高差1000mの登りだ。1400付近までは我慢の急登が続くはずだ。

 トレースを辿り、ところどころに笹が顔を出す尾根に取り付く。この取り付き地点からしばらくがもっともきつい登りだ。久しぶりの縦走装備に身体があえぐ。常に妙敷岳を背にしながらの登りである。登るに連れて、左手にエサオマントッタベツ川を挟んで、まだ真っ白な札内カールを抱く札内岳が見えてくる(5)。時間的余裕があるので休み休みゆっくり登る。

 ゆっくり昼食タイムを取った1488ピークを越えると森林限界を超え、右手には戸蔦別川の源流部を巻くような主稜線の1967峰(中央)〜ピパイロ岳(6)、そのさらに右に伏美岳と端正な姿の妙敷岳などの稜線の山々が(7)、さらに、左手前には、札内岳〜札内JP〜大きな北東カールと噴火口のような北カールを抱いたエサオマントッタベツ岳の大展望が広がる(8)





 1488ピークをを越えて、目の前に見える神威JPまでのすっきりとした尾根を辿る(9)この辺りから、テントがぽつぽつと立っているが、どれも空である。左手に見える北カールに圧倒されながら、最後の急登を登り切り、13:30、カムイJPに到着。主稜線に出ると、日高側からの風が非常に強い。

 予定通りであれば、明後日に辿るはずのエサオマンまでの稜線がすっきりと見渡せるが、その距離とカール壁の細さが気に掛かる(10)

 さらに反対側にはやはり北側へ延びる主稜線上の神威岳と隣の1750ピークが見えているが、その先は薄雲が広がってはっきり見えないのが残念である(11)

 稜線上にもっと多くのテントがあると思ったが、手前に1張りと神威岳の前峰の手前に1張りが見えるだけである。上にはもっとあったらしい。下山やエサオマンまでのピストンを考えると、このJPからなるべく離れたくない。その先を眺めても雪庇が続くだけで、テントを張れそうなところが見当たらない。そこで、JPから100mほど神威岳寄りに下ったコルの北風を少しでも遮ってくれそうなコブの下をテン場に決める。
○ganさんとTaさん登場

 天候悪化を思わせるような不気味な雲に覆われた新冠川から吹き上げる強風の中、雪を掘って周りにブロックを積み上げてテントを張り終えたら(12)15:00を過ぎていた。そこへエサオマンを越えて札内JPまでピストンして来たという、これまで10年以上のお付き合いで、何度となく同行しているHYMLメンバーの沢のスペシャリストganさんが下りて来る。風が強くて、カール壁の細いところは彼でも怖かったという。3時間もあれば行けるだろうとのこと。そこへ戸蔦別から戻ってきた犬連れの単独の男性。往復で10時間要したという。やはり風とアップダウンがきつかったそうだ。

 その間も、天候が悪化の兆しを示し、暖かい強風が積み上げたブロックをどんどん溶かして行く。彼らが去った後それを直しているところへ二人連れの戸蔦別から戻って来たTa@上川さんが登場。Taさんも今回の山行の予定を知らせてくれていたHYMLメンバーである。彼とは、札内岳の登山口で出会って以来5年ぶりの再会だ。上にテントを張っているU-CANさんたちもYaさんたちも戻ってきたそうだ。

 ブロックの溶けるのを諦めてテントの中に落ち着く。ウィスキーの水割りで喉を潤し、ラーメンを主体とした夕食を食べる。ブロックが溶けてきて北西の風がようしゃなくテントを襲う。ただでさえテント内では熟睡できない体質である。その内に雨が降り出し、雷までが・・・まさに暴風雨の大嵐。ひたすらテントの支柱が折れないことだけ祈りながら、まどろむことさえなく朝を迎える。

翌日へつづく

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