崕山(1066m)B <自然保護モニター登山会> 
<扇沢コース>  30名 13,6,23
@96,8,10の南尾根コース
A98,6,14の西側の沢コース
    モニター登山会の抽選に当たり、14年ぶり3回目で念願のホテイアツモリソウを見ることができた

「この登山会のことをネット上に公開するに当たっては、何の制限も注文もないので、ありのままを公開してください」というお言葉をいただいたので、他の山と同じように記載する。 
  
7:00 芦別道の駅発
登山地点下山
 8:30
 9:25
10:40
11:20
登山口
扇沢出会い
頂上手前コル
頂上岩頭直下
13:15
12:35
----
11:30
[2:50]所要時間[1:45]
14:45 芦別道の駅着
15:00 反省会(星の降る里記念館)
17:00 ハイランドふらの(入浴)
20:00 富良野駅横駐車場(泊)

夕張山系の芦別岳の西側に位置する崕山(きりぎしやま)は、恐竜の背中のような切り立った石灰岩の岩峰や岩頭を連ねる奇異な山容の山である(1)(林道途中から)

 石灰岩土壌のために、キリギシソウやホテイアツモリなどの特異な植物が多い山だ。それゆえに、盗掘や踏み付け等で貴重な植物が激減してきた。その対策として、1999年から入山規制をし、人数限定の自然保護学習モニター登山会を年3〜4回行ってきた。現在、一般登山者がこの山に登ることができるのは、このモニター登山だけである。

 自分は、規制前の96年と98年の2回、南端からの尾根コースと西側からの沢コースで登っている。それから14年の入山規制の成果や保護団体の取り組み等をこの目で確かめたくて、今年初めて申し込んでみた。抽選の結果、今年最後の3回目が当たって申し込んで1回で参加することができた。

 昨日の事前学習会で顔を合わせた26名の参加者と山岡会長以下の引率スタッフ4名が、マイクロバスの乗り合わせて、芦別道の駅を出発(2)

 足回りはスパイク長靴は禁止なので、沢h靴の選択もあったが、普通の長靴にシュロ縄を巻きつけた「崕山スタイル」を試してみた(3)(しかし、登りで切れてしまい、下りは外したが、会長以下スタッフはシュロ縄を付けない長靴のままだった)

 長い惣芦別林道を走り、林道終点まで入った。登山口となる恐竜の背中のような尾根の南端の根元だが、16年前にここから岩峰の根元を辿った懐かしい場所だった。




 登山口で、南端の岩峰を見上げて出発(4)林道奥からさらに奥の東の沢沿いに進む。ここ10年間は、その奥で合流する扇沢コースで行っているとのこと。登ってみて分かったが、直接頂上直下のコルへ詰めるので、長い尾根の根元の植生を痛めないで済むコースのようだ。自分が過去に登ったコースとは違うので、期せずして3コースから登ったことになる。
 小沢を渡渉する手前に靴に付いた植物の種や泥を落とすための装置もある(5)この効果はその手前と先で比べても効果抜群とのこと。


 最初の渡渉地点は思ったより水量が少なかった(6)途中、目印を付けてくれている白花ノビネチドリやミドリニリンソウなどの変わった花を目にし、扇の沢出会いから右の扇の沢へ入る。その先の川底に露出した、貝の化石が混じった石灰岩になりきれていない岩があった。会長のこの山の成り立ちを説明してくれた(7)。徐々に沢は細く急になり、になり、源頭を目指す(8)


 この登山会のためにロープの設置された泥壁の源頭を登りきったら、まだ雪渓の残る頂上直下のコルへ出た(9)そこで、昼食タイムとなる。そこから花の多い頂上岩頭の下(10)に3班に分かれて登った。チシマフウロ、エゾノハナシノブなどの咲く藪の中に最初のホテイアツモリソウを教えていただく。頂上岩頭の根元やや岩壁には多くの花々が咲いていた。初めて目にしたヒロハヘビノボラズを初め、わずか一株だけのレブンコザクラのほかに、ミヤマアズマギク、ミヤマハンショウヅル、これから咲くオオヒラウスユキソウ、シロバナミヤマムラサキなどなど・・・(花はまとめて下段へ掲載)。

 登るにつれて、青空が広がり、夕張山系の山々をすべて眺めることができた。左から昨年の5月下旬に登った夕張小天狗の北峰と南峰、中央奥に夫婦岩から芦別岳までの北尾根の連なり、右手には、小天狗の翌日に登った中岳(惣芦別岳とも言う)が見られてうれしかった(11)


 頂上岩頭の根元を頂上として記念撮影(12)岩頭の上へは岩肌の植生を痛めるので、登らせてもらえなかった。14年前に登ったときにはこの山の岩峰や岩頭が上から眺められたので、残念だが、仕方がない。多くの花々を観察したり、カメラに収めて、そこから右へ下るとすぐに、一番の目的だったホテイアツモリソウを全部で10株ほどを目にすることができた(13)北海道の山では現在おおっぴらに目にできるのはここだけだ。これも14年間の入山規制の成果だそうだ。

 今回は、多くの花を目にできたのはこの頂上岩頭直下だけだったが、今は歩くことができない岩尾根の根元などは、かなり回復しているらしい。そこも見たい気持ちはあるが、またこれだけの人数が歩くとせっかく回復し植生が荒れてしまうので残念だ。自分としては過去2回、迫力ある岩峰や岩頭の根元を辿って、多くの花々を見ることができただけでも満足しなくてはならないだろう。下山途中、下の方でセイヨウタンポポの花や蕾の駆除作業もした。

 林道の途中で、この山の岩峰や岩頭が見られるところで、それらをカメラに収めた。中央岩峰群の鋭い岩峰は針天峰、その左が雄雲峰、右が青月峰(14)残念ながら、頂上は見えなかった。

 2日間に渡る崕山自然保護協議会・山岡会長を初めとするスタッフのこの崕山のすばらしい自然とその保護活動を理解してほしいとう熱意が十分に伝わる登山会だった。

 下山後、昨日と同じ会場で反省会が開かれ、一人一人感想を述べ合った。全員、今の入山規制は続けるべきという意見だった。自分も、この崕山は、今後の自然保護の意識を高め、全国の山へ広げていくための象徴の山として存在し続けてほしいと願っている。遠いところに住んでいる自分としては、何もお手伝いできないので、ただ感謝して会場を後にした。

 「ネット上にこの登山会のことを公開するに当たっては、何の制限も注文もないので、ありのままを公開してください」というお言葉をいただいたことがうれしかった。 




<目に付いた主な花々>

ホテイアツモリソウ


白花ノビネチドリ

ミドリニリンソウ

チシマフウロ

エゾハナシノブ

アポイアズマギク

レンブンコザクラ

ヒロハヘビノボラズ

ミヤマハンショウヅル

モミジカラマツ

オオヒラウスユキソウ?(花の咲く前)

シロバナミヤマムラサキ(花が咲く前)
左がオオヒラウスユキソウの蕾?

  




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