[85] 崕山(1057m)  [南尾根コース] 96,8,10
   
 あちこち迷いながら恐竜の背骨状の石灰岩塔の根元を辿り、特有の花を楽しむ。
 
4:30 中札内発
7:40 芦別、三段滝
8:20 林道入り口
 (あちこち迷う)
登山下山下山
10:10

11:20
登山口
庭園風の場所(休憩)
引き返し地点
12:20
11:35
11:25
13:30 桂沢湖温泉ホテル(入浴) 
16:30 札幌着 
 日高のカムエクに挑戦すべく夜を明かした雨の中札内から天気予報の良い上川方面へ抜ける。富良野西岳をと思っていたが、雲が懸かりすっきりしない天候である。それでは、どうせ札幌に戻るのだから、途中の畦山はどうかと芦別から南下する。
南尾根登山口への林道から望む崕山
 せっかく富良野のSさんから送っていただいた地図は持って来ていないが、何度か目にして記憶に残っているだけの情報を頼りに、途中三段滝に寄り、無事芦別ダムヘの林道に入る。その入口入山届けに名前を書いたまでは良かったが、その後が大変だった。 まず、途中の現在地表示の違う治山工事の看板のお陰で、とんでもない林道に入ってしまう。苦労して、乗用車が通られないようなところも強引に通り、それ以上進めないところまで行って、違うようなので戻る。その治山工事の看板の現在地を無視して、もっと奥に入ってみると、それらしい快調な林道が続いている。
大岩壁の根元を辿る
 自信を持って快調に走り、最後の二股で「惣芦別→」の表示の方に進むと、目指す崕山が半分ほど見える所まで走る。しかし、どうも山の北側に出るようである。Sさんらいただいた地図は南側の尾根に取り付くようになっているはずである。それでも、そのまま進むと、先に入っている旭川ナンバーの車が止まっていて、シートに『北海道百名山』の本を置いてある。その奥に強引に入って行くと、沢から登るらしい入り口に赤いテープが下がっていて、踏み跡も見える。先の二人はそこから入ったらしい。(ここが沢コースの登山口、2年後のここから再挑戦する)
 
 自分もそうしようと思い、沢登スタイルに着替えるが、せっかく資料を送っていただいたルートも確かめたくて、二股に別れたところまで戻って、「第一支線→」の方の林道に入る。最初は向きが反対の方へ進んでいて不安になるが、すぐにカーブし、目指す方向へ進む。 やがて、恐竜の背骨のような白い険しい岩稜や岩峰を屏風のように連ねた崕山の全容が見渡せる地点(1)を通過、自信を持ってさらに奥へと車を走らせる。
 
 ようやく南尾根の根元に到着。確かにその先は道がなくなっている。京都ナンバーのバイクが1台止めてある。「嵯山へ登山するみなさんへ」という看板も立てられている。ここに間違いない。 いよいよ登山道に取り付くが、暫く進んで、はっきりしていた道がいつの間にか消えてしまう。また迷ったらしい。行ったり戻ったりしながらうろうろするが、諦めて戻る途中、岩稜に向かって微かに踏み跡らしきものを発見、確か岩尾根の根元を歩くはずだからと思い、木の枝に掴まりながら登ってみると、はっきりとした道にぶつかる。どうやら、途中で尾根の方に登る入り口を見落として真っ直ぐ進んだらしい。ほっとして、その道を登る。
 大岩塔を見上げる
 垂直に切り立っ白い岩峰は遠くから眺める感じとはスケールがまったく違い、石灰岩の大岩壁である(2)。まず、大きな二つの岩峰の西側の根元を登り、切れ目から反対の東側に出る。 いろいろな花が姿を現すが、10日前に登ったやはり石灰岩の山・大平山とはとんど同じような花・・・・オオヒラウスユキソウ、アサギリソウ、ヱアオノカワラマツバ、ハイオドギリ、タカネナデシコ、イブキジャコウソウ、ハイオドギリ、ミヤマアズマギク、ミヤマアズマギク、トウゲブキ、モイワシャジン、カンチコウゾリナなどである。この他に、キンロバイ、オオカラマツソウ、シロバナニガナ、カセンソウ(4)なども珍しい。この山の固有種のミヤマビャクシン、ホテイアツモリソウ、キリギシソウなどは盗掘されてしまったらしい。貴重な山だけに残念である。
 
 東側には、恐らく芦別岳の頂上ではないかと思われる尖峰が見える。その他の山は地図もないので、指呼できないのが残念である。はるか眼下には惣芦別川が見える。 その後、ずっと岩壁の東側の根元の道を辿る。根元から見上げると大岩壁にしか見えないが、進む先に見えるいろいろな形の大岩塔(3)や鋭い岩峰を眺めながら、徐々に登って行く。どこが頂上なのか、どこから頂上に取り付くのか分からないまま、その踏み跡を進むと、下の方へ下りて行く地点に到着する。そこから戻ろうと決め、振り返ると丸味を帯びたかなり大きな岩の根元に赤いテープがあり、そこから岩の上の方に人が登ったような痕跡が見られる。無理してロッククライミングもどきで登ってみるが、高所恐怖症の自分にとって、それ以上は無理と思われるところで諦める。どっちみちこの山の頂上岩峰を極めることは無理であるし、ここが果たして頂上へのルートかどうかも不明であると納得させ、戻ることにする。それにしても、北側の沢から入った二人と同じコースから入ったバイクの人達はどこにいるのだろうと思うと、ちょっと悔しい気もする。
 カセンソウ
 引き返す途中、赤いテープが着いていて、岩壁の切れ目に向かった踏み跡を見つけ、辿ってみる。盆栽風の妙に落ち着いた広がりのある場所に出る。焚き火の跡や、テント跡など明らかに多くの人が休んだと思われる痕跡が見られる。岩の上に生えている矮小のアゾアカマツやダケカンバやハイマツなどの樹木やいろいろな花々、そして周りを囲んで林立する様々な形の白い岩峰・・・まさに、仙人が瞑想に耽るような、仙人でなくても一夜を過ごしたくなるような不思議に落ち着いた風情のある場所である。しばらくその雰囲気の中でしばし休憩する。
 
 その後、お花畑を楽しんだり、様々な形の迫力ある岩塔や岩峰を振り返りながら、下山を続ける。見落とした尾根への取り付きには、たくさんの赤いテープが下げられているではないか。悔しいからこの後にくる人が踏み込まないように間違って辿った踏み跡を遮るように木の枝や岩を積み上げてきた。
 
 登山口に戻るが、バイクの人はまだ戻ってきていない。その人はどこかの岩塔の上で登頂感を味わっているのだろうか。 こんなに迷った山も初めてであるが、個性的な山という点では、ナンバーワンでなかろうか。登頂感は無かったが、十分満足できる山であった。今度来るときは、もっと情報を集めて、頂上とする岩峰や、それぞれの呼称なども調べて、北側の沢コースから再訪したいものである。
           

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