中岳を目指して、そして、下山
並河岳下から中岳と無意根山を望む
 シールを付けたまま並河岳とのコルまで下り始めると、目の前に自分が持ってきたのと同じカップヌードルが落ちているのが目に入る。まだ、濡れてもいない完全な物である。もちろん拾ってリュックに入れる。 それまで静かだった山にスノモが出現し、これから自分が辿るルートを物凄いスピードで登っていき、アッという間に無意根山方面へ消えて行く。
                           
10:30(並河岳のピーク下)
 並河岳のピークの下を越え、今度は中岳とのコルへ下り、3度目の登りに掛かる。北側から源頭部が切れ上がっている稜線の右側を巻くように、城壁のような岩頭を目掛けて緩やかな稜線が続いている(1)。 頂上に近づくに連れて、その迫力ある岩頭が迫ってくる。(2)
中岳頂上岩頭
11:20(中岳)
 「高所恐怖症の自分には垂直に切れているあの岩壁の上には立つことは無理であろう」と近付いて行くと細い稜線状の地形に乗る。そこを登っていくと、その正面にわずか3mほどの高さの岩の裂け目が階段のようになっていて人が登り下りしているような痕跡が見える。スキーを脱いでリュックを下ろし、早速そこに取り付いてみる。
頂上岩頭の上から無意根山を望む ついにその岩頭の頂上に立つ。これまで登ってきた周囲の真っ白な山々が見えるのがうれしい。あと1時間も歩くと着けそうなすぐ隣の無意根山も中山峠から眺めるのとは同じ山かと思うような鋭い整った形で見えるが(3)、今日はここをゴールとして、昼食を摂ることにする。ちょうどその岩頭が西から吹いてくる強風を避けてくれてぽかぽかと暖かいのがうれしい(4)。
頂上岩頭の陰で
12:00(下山開始)
  いよいよシールを外して帰路に就く。腐って時々前のめりになりそうな雪面を緩いところは直滑降、少し斜度のあるところはターンを楽しむ。並河岳と喜茂別岳への2度の登り返しは緩い斜面なので、シールをつけないまま登り切る。行きで1時間20分かかったところをわずか30分ほどで喜茂別岳頂上へ戻る。こんな春山日和なのに誰も見当たらないし、その痕跡もないのがちょっと残念である。
これから下る尾根と黒川の沢(右)
12:30(喜茂別岳)
 喜茂別岳頂上から楽しみにしていた一枚バーンのような大斜面の滑降を楽しみ、アッという間に源頭部を巻いて、南西に延びて黒川の沢へ下りる尾根に乗る(5)。左手に小喜茂別岳の岩壁を眺めながら林間を滑り下り、沢の合流地点へ下りると林道に出る。その林道を暫く辿って行くと、黒川沿いから離れていくような気がする。地図で確かめたら、国道へは出られるが、予定していたところよりかなり下に出るようで、歩く距離が長くなりそうである。500mほど戻って黒川沿いの沢へ下り、沢沿いに滑り下りる。
徒渉地点
13:20(徒渉地点)
  その黒川沿いに下りて行くと、右側が崖になっていて、どうしてもしなければならない所にぶつかる。2〜3mほどの幅であるが、雪解け水で水量が結構多い。あちこち探しているうちにピンクのテープが2本ぶら下がっているところを見つけ、そこを見ると、大きな岩や小さな岩があって、靴の上から水が入らないで済みそうな深さであるし、ストックでバランスを取れば越えられそうである(6)。今年の2月に富良野岳のジャイアント尾根の取り付きで初体験したスキー板を対岸へ放り投げての徒渉経験をここで生かすことになるなんて・・・・・。少し、隙間から水が染み込んだようであるが、無事対岸へ渡り切る。その後は、雪解けの中に花を咲かせているエゾノリュウキンカやミズバショウなどを愛でながら下り、国道230号線の霜月橋の札幌側へ出る。

13:40(車デポ地点)
  スキーを担いで、車の頻繁に走る脇をぶらぶら500m程歩いて、車のデポ地点へ戻り、およそ6時間に渡る天候に恵まれた誰とも出会うことのない静かな春山スキー登山行に終止符を打ち、札幌へ向かう途中の黄金湯温泉の新しい「まつの湯」でのんびりくつろぐ。                                      
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