気軽さ                                
自分の都合とペースで
 一人歩きの一番のよさは、自分の都合だけで行動できるところにある。計画だって、自分の空いている週末や休日に、自分の行きたい山へ、天気が悪ければ止めればいいし、家から出るときでも、集合時間などというものは必要なく、目が覚めたら出発すればいい。登り始めたら、後は、まったく自分の世界、自分のペース、自然の中に同化する自分。休みたいときに休み、急ぎたいときに急ぐ。きれいな景色やかわいい花々など好きなだけ見て・・・・・。
 何と言っても、他人に気を遣わなくてもいい。他人と相談しなくてもいい。常に自己内対話だけである。日常何かと他人に気遣いの多い毎日である。自分で言うのも変だが、ついつい周りに気を遣いながらも周りを仕切ってしまう悪いクセ。時には自己嫌悪に陥ることもある。たまに、自分の世界だけで、自分の能力だけで、好きなこともしてみたい(単なるわがままなだけ?)。

一人歩きに向いている性格?
 一人歩きは気ままである。登るのも自由、休むの自由、当日の天候次第で出発したり、取り止めたり、目指す山を変えたり、体力に任せて予定を変更したり・・・つまり、発作的・衝動的で、気紛れ的・優柔不断な性格の人間に向いているのではないだろうか? まさに私がそうであるから・・・写真を撮る、高山植物に見入る、昼寝する、温泉に入る、テントで寝る・・・自分の気持ちの赴くままの行動が可能である。しかし、私は、今のところ目標を目指すとそれを成し遂げないと気が済まないピークハンターである。まだまだ、単独行のヒヨコである。昼寝したり、登頂しなくとも、気に入ったところで何時間ものんびりしたり、テントを張って何日も過ごすことができるようになったら一人前であろう。

気軽さゆえに 
 体力に任せて、ダブル登山(下山したあと、車で移動し、同じ日に近くの別の山に登る)をしたり、下山後に温泉の梯子をしたりなども何度かある。このダブル登山は、長万部岳とカニカン岳、余市岳と尻別岳、目国内岳とシャクナゲ岳、雌阿寒岳と雄阿寒岳、西クマネシリ岳と東ヌプカウシリ岳などがある。
 また、2日の予定で考えてスタートし、1日で歩いてしまった銀泉台から赤岳〜白雲岳〜北海岳〜北鎮岳(お鉢平回り)の往復、富良野岳〜上ホロカメットク岳〜十勝岳〜美瑛岳の縦走などもある。
 前日の天気予報で諦めていたのに、当日の朝起きて空模様を見て日帰天候に合わせてり可能な山にと飛び出す。登山口まで行って、山が雲で覆われていたので取り止めたり、別の山を目指したりなどは、一人歩きの気軽さの最たるものであろう。 

 4回目にしてようやく適ったチロロ岳は、登山口まで行って、天候に恵まれず、隣のペンケヌーシ岳に登ったり、日勝峠を越えて剣岳に登ったり、やむなく引き返したりを繰り返した。しかし、そのせいか、コースのおもしろさとタイプの違う二つの頂上に登頂できたときの嬉しさは格別であった。一つの沢を源頭まで詰め、尾根を乗っ越し、さらに雪渓に覆われた別の沢を源頭まで詰めると、そこは花畑。そこから、ハイマツに覆われた本峰へ、源頭まで戻り、さらに登り直す西峰は超塩基性カンラン岩の山で、いろいろな種類の花々が咲き乱れる美事な花の山であった。


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