毛無山(750m)(大野町) 毛無山山道入口ルート  単独 03,3,22

設計山(もっけやま)を下山し、江戸時代に箱館と江差を結ぶ江差街道がピークを通っていたという歴史的由緒のある山へ登る。

登山
地点
下山
 9:35
11:30
11:55
毛無山山道入り口
692ピーク
頂   上
13:05
12:25
12:12
[2:20]所要時間[0:53]
13:30 しんわの湯(入浴)
15:00 帰宅

大野町の北西に聳えるこの山は(1)、江戸時代に箱館と江差を結ぶ江差街道が通っていたという山である。頂上が峠で、その名残が微かに残っているという。ただ、標高750mもあるそのピークを道が通っていたというのはちょっと信じがたい感じであるが、その登り口には松前藩の番所があったことは事実である。この歴史のある山に今年の夏に登山道を造ろうという話が持ち上がっているので、その前に登ってみたくて挑戦することにした。

  国道沿いに「毛無山山道入口」(とは言っても、江戸時代の山道である)という史跡看板が立っていて、そこから大野川にかかる橋を渡って上川汲沢川沿いの林道へ入ると直ぐにワンマンバスの回旋所がある。その直ぐ上に「松前藩の番所跡、毛無山山道入口」の説明番が立っていて(2)、その奥に昔の山道の名残のような道が続いている(3)。今回は、ここから頂上へ繋がる尾根を辿るつもりで、GPSにルートを入れて置いた。そばのヤマメの養殖池で仕事をしていた方に「ここから入って行って頂上まで行けますか?」と聞くと、「行けるけど、昔の道ははっきりしていませんよ。」と答えてくれる。

 ちょっと昔の山道のような名残の道を少し辿るも直ぐに分からなくなり、とにかく右側の尾根に乗る。ちょっと進むと伐採道にはしてはやや狭い、真ん中に木の生えている道のような地形が再び現れ、番所跡のような広いところ抜け、それは尾根の上へと続いている。やがてそれも不明になり、20分ほどすると目の前に地図にはない立派な林道が現れる。とにかくその林道へ出ることにする。GPSに入れてきたルートはその林道の右側に続く尾根である。方向的にその尾根の下を通っているようだし、前日のものと思われるスノーモービルの跡や古いかんじきの跡が続いているので、尾根から離れたら上に登ればいいだろうと考え、そのまま進むことにする(4)。

 やがて、途中で合流する林道から、先行者と思われるつぼ足の足跡が現れる。こんな山にも先行者がいるなんて、さらには古いスキーのトレースまで見つかっては、かなり多くの人が登っている山なんだと認識を新たにする。スノーモービルは頂上へは繋がっているかどうか分からないが、先行者の足跡やときどきスノーモービルのトレースの横に見つかるかんじきやスキーのトレースは多分頂上へ繋がっているであろうと確信する。 

 大野の市街地から見てもこの毛無山の南隣に並んで聳える大きな無名峰(696ピーク)は、こちらから見ると上川汲沢川を挟んで目の前に大きく見え、登行意欲を掻き立てられる山である。その山を常に左前に見ながら、林道を進んで行くと、10時40分(スタートして1時間05分ほどの地点)に、下山してくる60代と思われる単独行の男性と出会う。プラスチックブーツのつぼ足であるが、リュックにかんじきを付けていた。7時半に登り始めたそうである。「このスノーモービルも頂上まで行っていますので、この跡を辿って行けば頂上へ行けますよ。」とのことである。私が設計山へ登ってきたことを話すと、「トレースが残っているだろうし、つぼ足でも往復3時間程度で行けそうなら、まだ時間もあるし、自分も行ってみようかな?」と話されていたが、その後行ったかどうか?

 その方と別れた後は、もうルート的には全く心配が無く、ルンルン気分で林道を辿っていく。やがて標高525付近で林道が顕著でなくなり、広い平らなところへ出て、そこからようやくスノーモービルのトレースも先行者の足跡も当初の予定だった尾根に乗ることになる(5)。その尾根に取り付く斜面も帰りの滑降が楽しみなおいしい疎林のブナ林である。

 尾根に乗ると、北側と南側の展望が開け、天候もよくなったせいもあり、二股岳や木地挽山越しに駒ヶ岳もくっきりと見えるようになる。眼下には国道227号線や砂利採取場なども見え、さらに南側には函館平野、その先には横津連峰が見えるようになる。

 目の前の692ピークが頂上かと思って、GPSを見ると、頂上はその陰になっているようである。692ピークに立つとようやく木のほとんど生えていない急斜面の上に頂上が見える(6)。そこから頂上斜面とのコルまで下がり、細い尾根を進み、最後の急斜面をジグを切りながら休み休み登っていく。周りの少ない木の枝に赤や青などのテープが付いているし、かんじきやスキートレースもはっきり残っている。予想以上にこんな山にも登る人がいるのだと改めて感心する。

 平らな頂上斜面へ出るが、先に南側や西側の展望も見たくて、頂上と反対方向へ行ってみるが、林が煩くて展望があまりよくなかった。向きを変えて平らな稜線の北側にある頂上方向へ進む。登りはじめから2時間20分で頂上着である。夏に登ると、測量の基準点を表す標識があるらしいが、雪の下ではどうにもならない。遮るもののない北側から東側には二股岳(7)木地挽山、その奥に駒ヶ岳(8)、さらに東側には横津連峰と眼下には函館平野や国道227号線が見える。風がやや強めで、汗が冷えてくるがフリースセーターを着て、それらの眺望を楽しみながら昼食を摂る。

  天候がよくなったせいもあり、設計山よりは展望も開け、思ったよりずっといい山である。この山に今夏、檜沢の滝、大石の沼経由で登山道が開かれる計画があるが、でき次第ぜひ再訪してみたい山となった。いよいよあとは下るだけである。692ピークの登り返しがあるので、シールを付けたまま下ることにする。南斜面だけに雪が腐って重いが、なんとかターンを刻み、あっという間にコルまで下ってしまう。

 692ピークでシールを外し、あとは重い腐れ雪の斜面を下り、林道にでる。林道も斜度があるので、結構なスピードが出る。最後は木の密度が濃い登りのトレースを辿るのを止めて、最後まで林道を下ることにする。車のデポ地点より1kmほど上の上川汲沢川沿いの舗装された林道へ出て、道の縁をずっと滑ってゴールイン。大野のしんわの湯に寄って、汗を流し、帰宅する。山スキーでの1日2山は初めての経験であるが、近間ということもあり、トータルで5時間ほどの快適な山行であった。


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