前夕、17:00 林道ゲート前集合
登山 | 地 点 | 下山 |
5:00
6:30
8:20
9:20
9:55
11:20
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11:40 |
林道ゲート前
尾根取り付き地点
吊り尾根合流地点
カスベ岳
吊り尾根合流地点
c970地点(リュックデポ)
(二人の登頂待機)
メップ岳直下(c1050) |
15:30
14:20
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13:45
13:00
12:10
12:00 |
[6:40] | 所要時間 | [3:30] |
16:00 今金あったからんど(入浴)
19:30 帰宅
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この2山は、狩場山の南西方向に位置し、吊り尾根で繋がっている1000m超峰である。狩場山から望むとカスベ岳の端正な山容が印象的である。
また、今金町市街地からもよく見える(1)(2001年撮影)。
登山道はないので、積雪期に登られることが多いが、夏の沢からの記録もある。気になる山名であるが、カスベについては、魚のカスベを思い浮かべるだけで、その由来は不明である。しかし、メップはアイヌ語のメム(湧泉のある池の意)の転訛であるらしい。
8年前に単独で一度登っているが、今回は
安平町のエバさんご夫妻の山行に同行しての再訪となった。ルートは、今金町とせたな町の境界をなしている利別目名川沿いの林道をカスベ沢出会い(名水橋)まで詰めて、その左岸の尾根を登り、両山を結ぶ吊り尾根に合流し、それぞれをピストンするルートである。
前日17:00に林道の除雪最終地点で待ち合わせたが、行ってみたら、林道の入口に立派な新しいゲートができていて、林道にすら入ることができなかった。そこからだと4kmの林道歩きが待っている。前回は1.5kmで済んだのに・・・。
○まずは、4kmの林道歩き
前夜は、エバさんの大きな車の中で、私の誕生日祝いを兼ねての酒宴・・・楽しい山談義・人生談義も早朝出発に備えて、20:00には切り上げる。長い林道歩きに備えて、夜明け前の5:00に山スキーでスタート。朝ぼらけの中に目指すカスベ岳が見えて、心配だった天候も大丈夫のようだ。
ゲートの先も、除雪はされているが、ゲートが開いていたとしても、最近の降雪で車の走行は無理である。
やがて、右手に朝焼けの雲とその下のメップ岳頂上稜線も見えてくる(2)。目指す山が見えるのと見えないのとでは、モチベーションが全然違う。ぐっと気持ちが軽くなる。計算通りの1時間30分で、尾根取り付き地点となるカスベ沢出会いの名水橋に到着。そこが除雪終点となっていた。
○吊り尾根に繋がる南尾根を登る
前回の記録を参考に、カスベ沢左岸の林道跡を少し進み、トドマツ林の急斜面に取り付く。狭い木立の中をジグを切りながら登り、尾根の上に乗る。尾根の上は、ブナ主体の疎林帯で、幅広で斜度も緩く、気持ちよく歩けるのがうれしい。
高度を上げていくと、右側にはメップ岳(3)、左側にはカスベ岳(5)が見えてくる。それらを眺めながら春の朝日を浴びながら高度を稼ぐ(4)。
○吊り尾根をまずはカスベ岳へ
吊り尾根合流地点まで1時間50分で到着。目の前に飛び込んできた北側は低い雲が立ち込め、見えるはずの狩場山塊も雲の中。その雲が徐々にではあるが、こちらの上空へと押し寄せてくるのが気に掛かる。
山が見えているうちにと、カスベ岳をバックに記念写真を撮影後、リュックをデポして、空身で、
まずは近い方のカスベ岳を目指す(6)。
前回も印象が強かったが、吊り尾根の上の向きを交互に発達させる雪庇は今回も健在。その雪庇の発達した尾根は結構怖いものがある。
ここ数日間で積もった新雪のお陰で、尾根の右斜面をトラバースしながら進むことができる。頂上近くになったら、周りがガスで覆われ始める(7)。「今日の天気もこれまでか・・・」と思いながら、1時間でガスの中の頂上に到着。
ところが、頂上に着いた途端、ガスが取れて、暖かい陽射しに恵まれる。無風なのがこれまたうれしい。青空をバックに記念撮影(8)。眼下に広がるせたな町の海岸線の展望を眺めながら休憩し(9)、10分ほどで下山開始。
頂上から眼下に見える辿ってきた稜線の雪庇とその北側斜面に残るスキーのトレースが迫力満点である(10)。前回は、シールを外して下ったが、今回はシールを着けたまま滑り降りる。
○今度は、メップ岳を目指す
カスベ岳を後にし、次に目指すメップ岳を見ると、頂上部分は雲の中・・・。「メップ岳はガス中登山になるのか?」と危惧しながら、南尾根との合流地点まで戻る。
しかし、そのころから上空のガスも取れ始め、目指すメップ岳の頂上も見えてくる。その地点まで戻ってくるので、少しでも荷を軽くしようと思い、前回はなんの問題なくスキーで頂上まで登っているので、自分だけそこに重いアイゼンとピッケルをデポした。それが、この後、大きな間違いとなる・・・・。
最低コルまで滑り降り、カスベ岳への登りに掛かる。ここの尾根は細い上に、雪庇が交互に発達しているので、その根元をハラハラしながら繋いで歩を進めなくてはいけない(11)。そんな緊張の細い尾根を通過しホッとする。広い頂上斜面の付け根部分のc970地点にリュックをデポして頂上を目指すことに・・・。
○予期していなかったアイスバーンの出現・・・・
尾根部分は、アイスバーンが顔を出しているので、
新雪に覆われたその左側の広く急な斜面を大きなジグを切りながらカスベ岳をバックに高度を稼いで行く(12)。
しかし、c1050付近まで登ると、斜度が急になり、新雪の下はアイスバーンとなっている。エッジが利かなくなりズレ落ちる感じで危ない。ツボ足で試みるが、キックステップも利かず、下るとなるともっと怖い。
エバさんご夫妻は、リュックデポ地点まで戻って、アイゼンに履き替えるとのこと。自分は、アイゼンを合流地点にデポしてきたので、スキーアイゼンで・・・とも思ったが、前回登頂しているので、無理せず、そこで二人の帰りを待つことに・・・。この時期とはいえ、雪山を侮ることはできない・・・良い勉強になった。
初登頂を目指す二人を下から眺める(13)。暫くして、上の方から、何やら大声が・・・。
彼の指先の方向を眺めると、先ほどまで雲に隠れていた狩場山塊がスッポリと姿を現している(14)。これで、思い残すことはない・・・。ご夫妻は、50分ほどで、登頂の感激とともに戻ってきた。
○余韻に酔いながらの下山
昼食を摂っているうちに、それまで暗い雲をバックにしていたメップ岳の上に青空が広がり、頭上から春の陽光が差してくる(15)。ずっと無風のままだったこともあり、これ以上ない天候のプレゼントはない。大満足のお二人に、自分のミスの小さな後悔は吹っ飛んでしまった。
シールを着けたまま細い尾根の上を慎重に下り、最低コルから合流地点まで登り返す。少しばかりの悔いの残るアイゼンとピッケルを回収し、シールを外す。二人はシールを着けたままだが、下りの尾根は、すでに新雪が溶けて重くなり、思うようにターンをすることができないのが残念。最後のトドマツ林の急斜面はスキーを脱いで、ツボ足で下り、林道へ出る。
林道は斜度がない上に、雪がグサグサで、シールを外しても外さなくても滑りは同じ状況だった。それでも、登りより20分速い1時間10分でゴールイン。
長い林道歩きや、戻ってのアイゼン履き替え等の時間もあり、トータルで久しぶりの10時間30分の長丁場となった。前回は、林道歩きも短く、全てが順調だった単独行の6時間5分は夢のようなタイムである。今金あったからんどの温泉で疲れを取って解散。それぞれの帰路に就く。