狩場山(1520m) [茂津多コ−ス]  99,9,5

海抜0mからの秋色漂う片道12kmもの長い尾根をピストンする。

2002登山口情報
現在のこのコースの登山口は、茂津多トンネルの瀬棚側の出入り口から「日本一高い茂津多灯台」への新しく作られた道を2.2kmほど車で進むと、新しいトイレと駐車場が設置されているところになっています。

3:00 函館発
登山
地点
下山
5:40
6:15
6:50
7:30
8:40
9:25
10:30
登山口(茂津多トンネル手前)
登山道との合流点
木の階段下
水 場
小 沼
前 山(1260m)
頂 上
15:15
14:50
14:20
13:50
13:10
12:35
11:45
[4:50]所要時間[3:30]

15:50 瀬棚温泉(入浴・300円)
19:00 帰宅
道南の最高峰で、「日本300名山」に選ばれているこの山には、現在、4本のコ−スが開かれている。まだ唯一歩いたことのないコースが、昔国体コースに使われたという片道12.4km、珍しい海抜0mからの標高差=標高の 1520mのこのコースであった。

  この7月に取り付いたが、余りのブッシュの凄さにわずか200m地点でギブアップしたコースでもある。 「8月30日に、整備を終えました」というありがたい情報が、毎年11年間もこの時期に登山道整備にかかわってきたという瀬棚町のKさんからのメールで飛び込んでくる。もう少し秋が深まってからという思いもあっったが、刈り払い済んだばかりのまさにバージンロードを歩きたいのと、天気予報がよかったのにつられて決行であるが、秋晴れに恵まれ、今年一番の好天の山行となる。
作業道から茂津多トンネル入口と登山道のある稜線を望む
  往復25kmの日帰り山行ではあるが、『夏山ガイド』での登り6時間は、雨竜沼湿原経由の暑寒別岳往復やユニ石狩岳から石狩岳の往復、カムイエクウチカウシの日帰りなどの経験に比べたら、そして、この夏の1389峰の2日目の15時間もの行動時間に比べたらずっと楽なはずと、登り5時間、下り4時間の時間設定で計画する。

  3時に自宅を出発。星空を眺めながら走る。夜明けを迎えた瀬棚からの狩場山は、先夜のKさんからのメールの通り、上半分に低い雲が掛かっている。「すでに5度も頂上に立っている山である。無理してガスの中を登らなくても、行けるところまで行ってみよう」と気持ちを切り替えて、Kさんから、教えていただいた正規の登山口より少し近道となる茂津多トンネル入り口手前の駐車場に車を置く。

  どうやら『夏山ガイド』の地図に載っている旧林道を合流点まで辿るらしい。現在、整備工事が行われていて400mほど舗装されている林道からスタートする。振り返るとトンネルの入口とこの後その上を辿る登山道のある稜線が見える(1)。その舗装が切れたところから旧林道に入る。初めは雨裂が走り、かなり荒れた暗い道であるが、10分ほどで、ナンバープレートの無い廃車同然のジープが駐められてあり、その先にその轍のはっきりした林道が続く。どうやら、そのジープはその先の登山道整備の機動力となったらしい。歩き始めて25分で、正規の登山道へ合流する。どうやら25分程近道だったらしい。正規の登山道の灯台への分岐の十字路の少し上の地点である。
きれいに刈り払われたばかりのブナ林の中の登山道はエアわれたばかりの
 その先も木の階段地点までは、刈り払いのされた快適な広い林道跡が登山道である。標高差のほとんどない森林浴コースのような感じで、途中に木製の古いベンチが設置されている。茂津多トンネルの上の稜線を辿るコースなので、途中から眼下に国道と駐めてある自分の車が見える。少しでも止まると蚊が群がってくる。防虫スプレーも全然利き目なしである。何箇所か刺されては薬を塗りながら進む。

  1時間10分で、木の階段下に到着。木の枝に整備に携わった人達が下げたと思われる黄色のテープに「下から1:10」と書かれている。まさにぴったりである。その地点から 80mほど木の階段の急登が続き、あのあともちょっとの間急な登りが続き、さらに、刈り払いの済んだばかりのきれいな道が続く(2)。ブナの大木がいやでも目に着く。傾斜が緩んで、楽しみにしていた水場に到着。もっときれいな水だと思ったが、水量も少なく、ごみや砂が入り、そのまま飲むにはちょっと気が引ける水である。昼のラーメン用にポリタンに汲んで休憩する。

 上空が晴れて、標高800m辺りから林相が変わり、ハイマツが出現し、ダケカンバやナナカマドの目立つ低い林となる。急な登りもなく、いつの間にか標高が上がって行くという単調な道である。ほとんど歩く人がいないのか、土の部分がなく、草の上にさらに刈り払われた笹や草が覆っている上を歩いて行く。
静かな佇まいの小沼
 950m付近で、後ろの展望が広がり日本海や登山口の上の灯台が見える。 1050m 付近で小沼が出現、唯一のチャームポイントである(3)。やがて、前山とその奥に頂上稜線が望まれ、右手に須築川の深い谷を、左側にはフモンナイ岳を見ながらの歩きが続く。途中ずっと1kmごとの古い鉄製の標識が励みになる。

 3時間45分で、待望の前山(1260m)に到着。目の前には、秋色漂う形のいいピラミダルな頂上とそこまで続く稜線上にはっきりとした登山道が見えているのがうれしい。新道コースから登ると緩やかなだだっ広い稜線の先に頂上感のない頂上が見えるのとは、全然違う斬新な眺めであり、まさに雄姿である(4)。瀬棚などの南の方はどうやら雲海の下らしく、そちらの方から流れてくるガスが時折ベールになって頂上までの眺望を隠す。露岩の上に座り、それらの眺望を楽しみながら、最後の急な登りに備えて少し腹拵えをする。
前山から頂上までの稜線を望む
 いよいよ「あと1時間」と決め、このコースで一番歩き応えのある2つのピークを越える頂上への最後の登りに着く。前山から下ると左側にカールのような地形が広がり、稜線まで岩壁がせり上がっている。その大きな岩場に今にも崩れそうな亀裂が入っている。来春には多分崩れ落ちていることであろう。そんな変化のある稜線の2つの急なピークを越え、頂上への最後の急登に取り付く。これまでの変化のない淡々としたコースでは味わえなかったちょっとした岩場や岩の間を潜ったりの変化がうれしい。足元には、ゴゼンタチバナの赤い実がいやでも秋の訪れを感じさせる(5)。
ゴゼンタチバナの実
 10:30 5時間の予定に10分のお釣が来て、だれもいない快晴の頂上へ到着。南側と東側は雲海が広がり、羊蹄山だけがその上に頭を出している。西側には日本海が広がり、北側にはフモンナイ岳の横に寿都湾が広がる。まもなく、青森から来たいう青年が到着。「新道コースは、崖崩れで、林道の途中にゲートがあり入山禁止の看板があるが、そこを開けて進み、崖崩れの手前に車を置いて、登山口まで15分ほど歩いた。あとから追い抜いてきた6名程が来るはず」とのことである。珍しく用意してきた野菜を入れたインスタントラーメンを中心とした昼食でしっかり腹拵えをする。その男性が下山し、後から来た七飯町に退職後住んでいるという単独行の男性と山談義をしながら1時間15分ほど寛いでいる間に6人程が到着する。
形のいい大平山
 下りる頃になると、ようやく大平山が、形のいいオプタテシケ山に似た全容を現す(6)。それをカメラに収めて下山開始する。今度は日本海を眺めながらの歩きである。これから辿る前山までの稜線上の道を見下ろしながら下る(7)。途中、水場では、生では飲まないと思ったが、やはり汗をかいた体には、これが一番旨い。おもわず500ml ほど飲み干してしまう。
頂上から前山方面の稜線を見下ろす
  4時間の予定だったが、3時間30分で下山完了。往復の歩き9時間20分ではあったが、頂上と前山の間以外はきつい上りや下りもなく予想したより楽な歩きであった。Kさんからの情報は「クマの痕跡が凄い」とのことで、笛を吹きながらの歩きであったが、それらはみんな刈り払われた草や木の下に隠され、その上の新しい痕跡は皆無であった。クマもやはり彼等の努力に敬意を表しているのと、私のために用意されたバージンロードを汚したら悪いと思ってのことであろう。町民登山会が予定されているという 9月19日まではどうであろう。

 早速Kさん宅にお礼の電話をして、新しくできたという瀬棚温泉(公営 300円)で汗を流し、帰路に着く。いつのまにか上空は曇っていて、狩場岳はその姿を隠していた。


新道コース1回目へ  新道コース2回目へ  旧道コースから新道コースへの1周登山へ


「二股岳(道南)」へ


「北海道百名山紀行」目次へ   次へ「遊楽部岳」   HOMEへ

inserted by FC2 system