[30] 神威岳(1601m) [ニシュオマナイ川コース]94,6,12 天候 晴れ

初めから道を間違え、沢に取り付き苦労したが、日高の険しさとすばらしい展望に酔う
ペテガリからの神威岳
登山地点下山
4:00
4:50
6:20
8:00
登山口
440二股
尾根取り付き
頂上
11:30
11:10
10:00
 8:50
[4:00]所要時間[2;40]
12:00 登山口発
13:00 三石温泉(入浴)
18:40 帰宅 (八雲)
いよいよ、「夏山ガイド」で数少ない「上級」と評価される南日高の盟主とか秀峰とか称される神威岳(1)への挑戦である。 眠ったような眠らないようなよく分からないまま朝3時を迎え、行動開始。上空はガス模様であるが、晴れつつある。

 4時予定通り出発。体調よし、昨日の疲れもなし。 まもなく、渡渉をし林道を進む。また川にぶつかる。その先に林道が続いているし、目印の赤いテープもある。しかし、昨日登ったグループは、沢歩きの用意はいらない、と言っていたのに、絶対水の中に入らなければならない箇所であり、変だなと思ったが、無理やり漕いで渡る。(帰りに分かったのだが、ここからが、間違いの始まり、渡渉する前に、よく確かめると、そのまま、林の中に立派な登山道が続いていたことに気づいたのは、下山時である。)(また、日高の山は、いろいろな沢登りをしているグループが、あちこちの沢にテープを残しているので、この赤いテープは当てにならないということが分かったのは、ずっと後のことである。)

  間もなく川を渡った先に続いていたその林道がぶっつり途絶える。いくら探せども、道なし。かなり下に沢が見える。良く見るとその崖を降りたような跡がある。同じく迷った人もいるらしい。とにかく沢を登るのだからと思い無理して沢まで下りる。 その後、440 二股と思われるところまで、高巻きしたり、岩に抱き着いたりしながら、道のない沢の岸を、かなりの時間と苦労と不安の連続をして、ガイドブックではわずか20分とあるところを40分以上かけて到着。ところが、その二股で、赤いテープを見付けて、再び、間違って支流の方へ入ってしまう。道を見失って笹藪を漕いでいるとき、昨日神威に登ったという4人連れの一人の姿を発見。「こっちでないですよ。こっちは中ノ岳へ行くコースです。あと300m程戻って二股を本流の方へ行くのです。」と言われて別の沢に入ってしまったことに気付く。「もし、この人に出会わなかったら、」と思い、改めて運のよさに感謝。そして、地図の必要性を実感する。(どういう訳か、楽古と神威の地図を買っていなかった。)
稜線まで切り上がる直登沢源頭部
 440二股まで戻り、沢をとにかく無理やり登って行く。まもなく、川岸にかなりはっきりした踏み跡を発見。振り返ってその道を見ると沢をかわして来る立派な登山道が付いていたである。(帰りに、そこを辿ると、なんと、そのまま登りで苦労した沢や迷った二股をはるか眼下に見下ろしながら林の中を通り、わずか20分ほどで林道に出たのである。考えてみると、沢登の用意もしないで、このコースの一番大変なところをアタックしたのである。)
  
 その後は、目印のテープと踏み跡を辿りながら、それ程きつくない沢登りである。それでも、テープや積んである石前の人の足跡を見つけるとほっとするものである。また、地図がないので、尾根取付きまでの距離がわからず、目印だけが頼りである。 そろそろ尾根取付きと思ったところで、ガイドブックに右岸と書いてあるので最後のテープから100mくらい上まで進むが、人の歩いた形跡もないので戻ると左側に尾根のほうへ登ってい道が見付かり、ほっとする。(沢の右岸、左岸というのは、上流から見ていうのであることも、この後帰宅してから判明)ようやく落ち着いて一息入れる。
中ノ岳越しの中日高の展望
 後の登りは、体力任せでこっちのものとばかり、楽古よりややゆるい感のする直登尾根に取り付く。昨日の疲れは残ってないのか、昨日よりきつさが感じられないほどいいペースでどんどん高度を稼ぐ。 1100m辺りからいったんやや傾斜が緩み、右上に凄味さえ感じる迫力で突き上げる直登沢源頭部を囲む岩壁が望まれる(2)

 また急登が続き、まもなく国境稜線に出、頂上が見える。振り返ると、まだ山ひだに雪を詰めたペテガリ、ヤオロマップ、1839と続く憧れの中日高の山々が見える(3)。もう少しで頂上というころで、中日高の山々に雲がかかり始め、急いでカメラに収める。 その辺りで、前を登っていた釧路から来たという40代の男性を抜き、国境稜線をたどるとまもなく頂上
隣にすっきりと聳えるソエマツ山
 一番乗り。立派な標識と一面に咲く満開のキバナシャクナゲが迎えてくれた。 神威とともに南日高三山といわれる直ぐ南隣の尖って形のよいソエマツ岳(4)、さらに南の美しいピリカヌプリはカメラに収めるとまもなく雲の中に、その南に連なる昨日登った楽古岳などは見えず。だんだん雲に覆われだしたが、鋭く尖り細く屏風のように連なる尾根、深い谷など日高特有の険しい展望を、後から到着した釧路の男性と札幌( 30代) の男性といろいろ話しながら、50分程楽しむ。
楽しい頂上標識
 雲が掛かって風が強いのとで寒いことや帰りの運転の時間のこともあり、晴れそうになってきたが、一通り目に収めたので一足早く下山開始。まもなく、ペテガリ方面の山がまた晴れてきたので休憩しゆっくり眺める。その後、昨晩到着した4人連れとすれ違う。1時間程で沢に出る。喉を潤しながら休憩。

 沢下りは、迷う心配が無い。登りと違ってルンルン気分である。上から見えるせいか、テープや踏み跡が以外と簡単に見付けられる。迷った440m二股からは、登りで見つけておいた林の中を進む立派な正規の登山道を下る。登りの苦労や不安が悔しいくらいの快適な道である。 予定通りの時刻に登山口に到着。登山口近くで蕗を取りながら、長い林道を帰路に就く。途中、神威岳の見える神威橋から振り返ったが頂上部分は雲に覆われていた。

 人のあまり入らないと言われる南日高からだんだん北上する予定だが、楽古と神威の二つだけでも、長い林道、頂上に繋がる尾根取付きまでの不安な深い谷の沢登り(ル−ト探しに夢中になり、切り立った両岸の急崖や豪快な滑滝や険悪な函などの展望を楽しむ余裕もないが)、細い急な直登の尾根登り、頂上からの迫力ある展望、どれをとっても、やはり日高は凄い。表大雪や十勝連峰は公園のような感さえする。日高に登って登山一人前と言われるが、まさにそんな感じである。 これから、ますます展望がよくなり、人が多く入っている中日高の山々が楽しみである。


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