神威岳(1600.2m)B  
ニシュオマナイ川コース  単独 14,9,17
A03.8、6「ソエマツ岳への縦走」
@94,6,12の単独行
11年ぶり3度目のトライ・・・すっきりとした天候には恵まれなかったが、周りの展望はまあまあ

5:00 神威橋発
登山地   点
下山
 6:00
 6:35
 8:10
10:30
神威山荘
440二股
尾根取り付き
頂 上
14:00
13:35
12:00
10:40
[4:30]所要時間[3:20]

17:00 むかわ道の駅(入浴・泊)

 語源のカムイヌプリは、アイヌ語の「神の山」の意である。道内に神威やカムイを冠した山が18座ほどあるらしい。その中でも、端正な美しさと貫録を備えたこの神威岳は(1)その盟主に相応しい山である。自分が完登した日本三百名山にも選ばれている。

 ピリカヌプリとソエマツ岳と合わせて「南日高三山」と呼ばれ、その険しさを誇っている。その中で登山道があるのはこの山だけである。この山に現在のニシュオマナイ川から北西尾根を登る登山道ができたのは昭和42年である。

 この山に初めて登ったのは、一人歩きの山を始めた3年目の1994年、初めて日高の山に足を踏み入れてアポイ岳、楽古岳に次いで3山目だった。そのときに地図を忘れて、林道跡のある440二股までを勘違いして登山靴で川の中を進んで、さらに、440二股からは中ノ岳へのルートへ迷い込んだという苦い経験を持つ山である。

 2度目は、名寄のOさんとソエマツ岳〜ピリカヌプリへの薮漕ぎ縦走を目論んで、この頂上で一夜を明かしている。翌日ソエマツ岳までは行ったが、日高地方に洪水で多くの死者を出した台風に追われてピリカヌプリは断念、ソエマツ岳の肩から大雨の中の薮尾根を下るという自分の登山史の中でもっとも凄惨な経験をした山行である。それから11年が経過しての3度目の挑戦である。


 前夜、暗くて長い林道を走るのが嫌で、神威橋を渡ったところで夜を明かした。薄明るくなってから登山口へ。後ろからきたキャンピングカーは、ペテガリへ行ったようだ。登山口となる林道終点に建つ神威山荘の前に一台の車が停まっていた。
 6:00、その車の方に先駆けてスタート。すぐに、山頂部に雨上がりの雲をまとった神威岳の姿が見える(2)
 
 最初の渡渉地点が一番水量が多かった。石を伝って渡ろうとしてが中ほどで滑って転びそうになった。転びたくないので、じゃぶじゃぶと走った。スパッツが効を奏し、靴の中は濡れなかった。考えてみれば、20年前は、間違ってこの手前の右の林道跡を進んでしまい、川に下りて、川の中を進んだのだった。


  渡渉の先に続く林道跡を進むが、前回より笹や薮が茂って狭い道となっていた。雨上がりなので、上下カッパを着ける。440二股の渡渉地点に到着(4)この沢は支流で、中ノ岳へのルートである。自分も最初のときに間違ったが、これを本流と勘違いして、そのまま川の中を進んでしまう人は多いらしい。そちらにも踏み跡やピンクテープがあるから紛らわしい。(この日一緒になった男性も同じ間違いをしたとのこと) 

 支流の向かい側の踏み跡を辿って、本流に下りる。ときおりきれいなナメ滝もあるが(5)、ほとんどは大きな石がごろごろ転がる川である(6)ピンクテープに導かれて渡渉を繰り返し、川に沿った踏み跡を辿って行く。


 川に沿って歩くこと1時間半で、大きな石に赤いペンキで矢印が書かれた地点に到着。ここが800m地点で、北西尾根への取り付き地点である(7)前回は2回ともこの矢印がなかったのか?通り過ぎてから気付いて戻っている。
 ここからの尾根は、標高差800mで、コイカクシュサツナイ夏尾根と道内で1.2を争う急登尾根である。心して登り始める。きつい登りだが、高度をぐんぐん稼げるのがうれしい。
 1200m付近で一度斜度は緩むが、左手に主稜線上の通称ニシュオマナイ岳(1493m)が見えてくる(8)。 


 右手には、ニシュオマナイ川の源頭部を挟んだ荒々しい岩肌むき出しの岩尾根が覗く(9)。少し登って行くと、頭上に主稜線上のピークが見えてくる(10)
 この辺りで写真を撮ったり、寒くなったので、カッパを着ていたりしていると、後ろからやって来た男性に追い越される。


 主稜線に近づくと、左手には荒々しい稜線とその右奥にペテガリ岳東尾根のポンヤオロマップ岳が見えてくる(11)。 右手には、迫力を増したニシュオナマイ川の源頭部の岩壁が迫る(12)


 1400m付近まで登ると、正面に鋭く尖った双耳峰が見えてくる。ソエマツ岳だ。その手前に11年前に強烈な薮を漕いで歩いた細く険しいナイフリッジノの尾根が見えている。よくあんなところを歩いたものだと、我ながら感心してしまう(13)
 左手には主稜線上の1493峰〜中ノ岳〜ペテガリ岳までが見えている。その先は残念ながら雲で覆われている(14)
 

 1450mで主稜線に乗る。ハイマツの中を進んで行くと、斜度が緩み、左奥に目指す頂上が見えてくる(15)。 10:30、途中で追い越して行った男性に迎えられて3度目の頂上に到着(16)
 この男性が迷うことなく「ホームページやブログをアップされている方ですよね。いつも参考にさせてもらっています」と挨拶された。帯広のKaさんという方だった。こちらがエサオマンの帰りに一時停止違反で捕まったことまで知っているほどの愛読者だった。


 20年前に登った時にすでに設置されていた特色ある頂上標識は割れて下に置かれてはいたが、まだ健在だった(17)。頂上から南の方を望むと、低い雲の下に、ソエマツ岳〜山頂部に雲を被ったピリカヌプリ〜トヨニ岳や野塚岳辺りまでの連なりが見えた(18)
 過去の2回とは違って、低い雲が垂れこめて、すっきりとした青空には恵まれなかったが、風もなく、これだけの展望が得られたら、良しとしなくてはならないだろう。これで、初夏、夏、秋の3回季節を変えて登ることができたことにも満足だった。
 下山は、週末が勤務なので、嫌でも平日の単独行が多いというKaさんといろいろお喋りをしながら下った。
 
下山後は、『Ho』の無料クーポンが使える温泉が併設されているむかわの道の駅四季の館まで走って、車中泊し、翌日帰路に就いた。 


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