老々快互登山・カムイエクウチカウシ山(1979m)C
2名 17,8,21〜24 八ノ沢出合停滞も含めて3泊4日

 B15.9,7〜9の「八ノ沢出合2泊3日山行」へ 
 A04,8,14〜17の「エサオマン〜カムエク〜コイカク縦走」へ
@96,9,14の「七の沢出合から単独行・日帰り」へ
4度目のカムエク・・・77歳になる神奈川のYaさんの案内を自ら買って出て、雨のため停滞もあったが、無事感激の登頂を果たすことができた

8/20 <移動日>
 4:45 自宅発
 9:00 千歳空港着
11:50   〃   発
15:00 中札内(買い物)
16:00 札内川ヒュッテ(泊)

8/21 <八ノ沢出合まで(C1)>
登山地点
 7:05
 9:15
11:35
札内川ヒュッテ前
七の沢出合
八の沢出合(C1)
[4:30]
所要時間

8/22<雨のため停滞>(C2)

8/23<山頂往復>(C3)
登山地点
下山
 4:30
 6:30
 8:40
10:30
八の沢出合
999m三股
八の沢カール
頂    上
15:35
13:35
12:00
11:10
[6:00]
所要時間
[4:25]

8/24<下山〜帰路へ>
下山地点
5:10
6:50
9:00
八の沢出合
七の沢出合
札内川ヒュッテ前
[3:50]
所要時間

10:00 中札内IC
15:35 大沼IC
16:15 ホテルラビスタベイ
16:40 昭和温泉(入浴)
17:15 帰宅

通称・カムエク(1)(1917峰から撮影)は、日高山脈第2の高峰だが、登って良し、眺めて良し、道内1の名峰に挙げる岳人も多い。
 
 日本三百名山を完登した自分にとっても、未だに「わたしの一名山」として君臨する山である。日本二百名山ではあるが、日本二百名山や日本三百名山巡りをしている人にとっては、最難関の山でもあり、この山で完登ゴールを果たす人も多い。

 自分の初登は、96年9月、帯広出張の翌日、八の沢コースの日帰り山行だった。当時は七の沢出会いまで車で入れたので、そのようなことができた。
 2度目は、04年のエサオマントッタベツ岳からコイカクシュサツナイ岳までの 3泊4日の 縦走途中に踏んでいる。八の沢カールまで下りて水の補給をしているが、 あいにくのガスの中だった 。
 3度目は、15年9月、オーソドックスな八ノ沢出合で前後泊の2泊3日の行程で、テン場で一緒になった苫小牧の3名と共に登っている。

◎プロローグ

 4度目となった今回は、1通のメールから始まった。4月に拙著『ほっかいどう山楽紀行』を購入いただいた旧知の77歳になる神奈川在住のYaさんからの、拙著に対する感想と共に届いたメールである。

 それは、「あと7座残っている日本二百名山を何としても踏破したい。しかし、最難関のカムイエクウチカウシ山は、単独ではちょっと不安である」という内容だった。「自分で良かったら案内方々同行します」と、こちらから買って出た計画だった。77歳を73歳が案内するという「老々介護登山」を覚悟して、なんとしても登頂させてあげたいというミッションを自らに課して周到な準備をした。

 装備計画や行動計画を何度もメールのやり取りをした。とくに、持っていないという渓流シューズの購入は、林道歩きから八ノ沢カール上の登山道歩きを1足で通すために、ラバーソール底のものを勧めた。テントは、熟睡するためにそれぞれで持つことにした。食糧計画に伴う食糧やアルコール類もすべてこちらで用意し、ガスやコンロも自分が背負うことにした。また、行動計画も無理のない十分余裕を持った計画を立てた。滅多に出すことのない登山計画書も北海道警察宛のメール様式を利用して提出した。

食糧計画に伴う食糧等

リュックに詰めた装備類

◎8/20、千歳空港で合流し、札内川ヒュッテまで


 前日にパッキングを終えた17.5kgのリュックやほかの装備を積んで(4)、9:45に千歳空港に到着する東京便に合わせて、家を4:45に出た。千歳空港に着いたのは9:00だった。ところが、その飛行機は1時間15分以上も遅れて11:10に就いた。 
 11:20、Yaさんが到着ロビーに姿を現す。多分10年以上ぶりの再会のはずだが、全然歳を取っていなかった。77歳にはとても見えない若々しい姿だった(5)この時点で、「老々介護登山」の負担感はぐんと軽くなった。

 中札内ICまで高速を利用したいので、空港のラーメン道場で昼食を摂った。 12:00に空港を出て、穂別むかわICから高速に乗り、中札内IC到着が15:00。中札内道の駅向かいの大型スーパーで買い物。この日の札内川ヒュッテでの夕食とするジンギスカンの野菜は妻に切ってもらってアイスボックスに入れて来たので、長沼ジンギスカンの肉やビール類、スポーツドリンクや翌朝のおかずなどを購入。
 札内川ヒュッテには水がないので、日高山脈センターで水を汲ませてもらって、ヒュッテへ向かった。幸い先客はおらず、2階に寝床を確保し、のんびりする。 駐車場には、日帰りでカムエクへ登って来た人や、山頂泊の人、1839峰から戻って来た人などがいた。

 17:00には、札内川ヒュッテ前で、ジンギスカン鍋で前祝いを始めた(6)。そこへ、1839峰から下りて来た2人連れが到着。話しているうちに、私だと分かり、感激の挨拶をいただいた。3年前に伏美岳でお会いしていたとのこと。その時に差し上げた名刺を見せてくれた(左の方の手に注目)。おまけに、拙著も購入していただいているとのこと。しかも、中央の方は、今回の1839峰で『北海道百名山』(山と渓谷社)を完登したとこと。それぞれに、感激と光栄の再会だった(7)

 ジンギスカンを食べ終えて、ヒュッテの中で、ビールを飲みながらお喋り。日が暮れた頃に、1839峰から1泊2日で下りて来たという若者グループが到着。町まで出てt温泉に入り、夕食を摂って、戻って来るという。20:00には就寝したが、21:00ごろにその2人は戻ってきて、静かに就寝態勢に入った。

◎8/21 八ノ沢出合まで


 5:00に起床。外は快晴の朝を迎えていた。ゆっくり朝食を摂り、出発の準備をする。リュックに350mlのビール6本が加わり、20kgほどになった。
 7:05、札内川ヒュッテを出発(8)。ゲート前から通行止めになっている「中札内静内線」を、7.4km先の七の沢出合を目指して歩く(9)30分に5分の休憩を取りながら歩いた。
 途中で7人グループが下りてくる。中にHYML仲間のトミさんがいて挨拶をいただく。拙著を買っていただいたお礼を述べる。ほかのメンバーも私の名前を知っている方が数人いらして、初対面のご挨拶をいただいた。みなさんに、私のリュックの大きさやビール6本も背負っていることに驚かれた。
 

 余裕の3時間の計画を組んでいたが、2時間10分で七の沢出合に到着。Yaさんは予想以上の健脚だ(10)ここを2時間で歩ければ、標準タイム以下で、山頂アタックもまず問題はないと、またまた安心してしまう。
 昨年来の記録を見ると、ここの木に「カムイエクウチカウシ山入口」と書かれた鉄板の標識があったが、見当たらなかった。探したら、そばに落ちていたので、忘れ物のピッケルが刺さった枯れ木の幹に結わえ直してカメラに収めた(11)


 15分ほど休んで、札内川へ入渓。水量は極めて少ない(12)歩きやすいところをねらって進んで行くと、みんな同じことを考えるようで、砂地のところに足跡が続いている。途中から左岸に踏み跡が続いていることを知っていたので、そこを歩くようにした。仲の沢出合で休憩してリュックを見ると、ぶら下げて来たパンの袋がない。後ろを歩いていたYaさんは袋は目にしたが、別の人のゴミだと思って通過したとのこと。それほど遠くではないとのことで、5分ほど戻ったら、落ちていた。ここで休憩とロスタイムを含めて25分ほど費やした。

 七ノ沢出合から正味2時間弱で、1日目のゴールである八ノ沢出合テン場に到着(13)まだ、昼前の余裕の到着だったテン場には、一つもテントがなく、貸し切り状態だった。昨夜泊ったグループが丁寧にフキの葉を敷き詰めてくれていたところを利用させてもらった。

 ここまでのタイムは、77歳でなくとも立派な健脚タイムである。この時点で、お互いに快適に登れる目安が立ったので、「老々介護登山」などという失礼な言葉を、「老々快互登山」に変えさせていただいた。
 

 ゆっくりテントを張り、時間が十分あったので、焚き火用の枯れ木集めをした(14)。17:00に夕食を摂り、その後、焚き火に火を入れ、そのそばでビールとウィスキーの水割りを飲みながら、日が暮れるまでのんびりお喋りを楽しんだ(15)
 その時点では、空に星が見えていたが、明日の予報では「曇りときどき雨」である。朝から雨が降っていたら停滞と決めて、19:30にはそれぞれのテントに戻り、就寝態勢に入る。

◎8/22 雨で停滞

 3:00起床の予定で携帯電話の目覚ましを掛けたはずなのに、目が覚めたら3:46だった。目覚ましをセットしたつもりが操作違いでセットされていなかった。慌ててYaさんを起こし、外へ出てみたら、霧雨が降って来た。明日の方が天気予報が良いので、明日に賭けることにして、停滞を決め込んだ。再びテントに潜り込んで二度寝しているうちに雨脚が強くなってきた。迷うことなく停滞を決め込んだことに安堵した。

 その後、夕方まで強い雨脚のまま間断なく降り続いた。朝食はそれぞれ適当に摂り、11時ごろまでそれぞれのテントで過ごした。その後、2人用のYaさんのテントへ移り、昼食と夕食は、テントの中で摂った。

 小止みになったときに、八ノ沢を見たら、朝の3倍以上の水量になり、水煙を立てて轟々と流れていた(16)そんな土砂降りの中、大阪からやって来たという2人連れが到着してビックリ。増水で、1人が八ノ沢の合流地点の渡渉で転倒して流されそうになったとのこと。

 彼らが着いた時に、自分たちが冷やしておいたビニール袋に入った缶ビールが流れて来たので、慌てて拾ってくれたとのことで、安全なところに移して置いてくれていた。感謝感謝!。

 夕方になると、雨脚が弱くなり、みるみるうちに川の水量が減って来た。ラジオの天気予報では、明日は全道的に晴れるという。安心して、ウィスキーの水割りを寝酒に、19時にはそれぞれ就寝態勢に入った。夜中にトイレに起きたら、星空が広がっていた。
 
つづく


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