標高差1100mのこのカタルップ沢はYaさんが一度遡行しているのが心強い。次々と小さな滝が現れ、気の休まることのない斜度のきつい沢である。ルートファンディングはYaさんお任せだが、恐がり屋の自分は、すこしでも易しいところを選んでもらえるように、後からついつい口出しをしてしまう。3ヶ所ほどお助けロープで引き上げて貰ったが、ほとんどは直登できた。しかし、2ヶ所は大高巻きを余儀なくされたところがあった。
その一つ目は、2時間ほどして、先行グループに追い付いたこの沢でもっとも落差の大きな15mほどの滝である。5人がロープを利用して横を登っていたが、我々はその待ち時間がもったいないので、左岸を大きく高巻いて、彼等の前に出た(2)。
2ヶ所目は、さらに2時間ほどして現れた狭いルンゼ状の連続する滝。下の方は直登したが、上の方は左岸を高巻いて、ロープを掛けて下りた(3)。ここを突破した後は、水量も少なくなり、それほど難しいところはなくなった(4)。しかし、斜度は益々きつくなり、振り返ると高度感満点である。その先には端正な妙敷岳や伏美岳が見える。
水流は、c1650を越えた辺りでなくなったが相変わらず急な涸沢が続く。やがて薮へと入っていき、ハイマツの茂る稜線に出る。そこは頂上の少し東側のコルだった。Yaさんは、「確か踏み跡があったはず」とハイマツを漕いでいくと、案の定踏み跡が出て、360度の展望の広がる頂上へ到着。 スタートして6時間35分後であった。
この神威岳は、
一昨年の積雪期に北東尾根から単独で登頂して以来2度目である。そのときは、Yaさんが1日先に入っていて、翌朝、テン場で下山していく彼等と会ったことを思い出す。それぞれにテントを張った場所を特定して楽しんだ。まさか、夏山にこの様にして再訪できるなどとはそのときは全く知る由もなかった。
そのときは真っ白な厳しい山並みだったが、今度は雰囲気の違う眺めが広がる(5,6)。このときは、まだ目指すつもりだったナメワッカも見え、その遠さに驚く。
頂上で休んでいると、見たことのある顔の青年が到着・・・なんと函館のSuさんである。昨夜仕事が終わってから函館を出て車を走らせて来たとのこと。ほとんど寝ていないことになる。YaさんもIさんも顔なじみで思わぬところでの再会に感激。日帰りなので、また同じ沢を下らなければならない・・・沢は登りより下りの方が絶対難しい。良く単独でやってきたものだ。
○新冠川へ下り、C1地点を目指す
エサオマン北カールをバックに、彼に4人の写真を撮ってもらい(7)、いよいよ本日の第2ステージ、新冠川への下りである。

頂上から真っ直ぐハイマツやミヤマハンノキを漕いで下って行く。
まもなく沢型にぶつかり、そのまま辿っていくと顕著な沢になり楽に下れるようになる。カタルップ沢より斜度が緩いの非常に助かる(8)。
やがて水流が現れるが、まったく滝ややばそうなところがなく、快調に下ることができた。

このままずっとこの調子でいてくれたらと思ったが、こちらの都合に合わせてくれるはずはない。
案の定、1時間30分ほど下ると、岸を歩くことができない滝にぶつかる。まずは高巻いて、上からロープを垂らして下りることができた(9)。

その後は、まったく緊張場面はなく、徐々に広くなっていく沢歩きとなる。しかし、15:00を過ぎても、c1000を切ることができない。この時点で、C1予定地点の740二股への到着はかなり怪しくなる。16:00を過ぎたらテン場を探しながら歩くようになる。
そんなころになって、予想すらしていなかったゴルジュにぶつかる。何段もの滝が続いているようだ。この下り最大の核心部である。
初めは岸をなんとか通過できたが(10)、この直後、Soさんが足を滑らせて、大きな釜に落下。足が届かないようで懸命に泳いで岸に上がることができた。

その先はいよいよ右岸を大高巻きするしか方法がなくなった。薮を登り、
下りはロープを頼りに突破する(11)。
時間的に遅くなり、やや焦りも出てくる。 ここを突破して安心した頃、Yaさんが、標高的に、入ノ沢出会いが過ぎていることに気付く。みんなうっかりしていて気付かなかったが、だとすれば、戻るときにこの核心部を通過しなくてはならないことになる。
そこからはテン場探しの歩きとなる。17:00ちょうど、c900付近で河原に整地すれば最適なテン場になりそうなところを見つけて、整地し、草を敷き詰めてテントを張る。
○ナメワッカ登頂断念
着替えてテントに入り、それぞれ好みのアルコールで乾杯。ほとんど下戸のSoさんはわずかばかりの梅酒、Yaさんはウィスキー、Iさんは日本酒、自分は最近凝っている芋焼酎・・・・まずの話題は、予定のC1予定地の新冠川730二股まで着けなかったことから、明日以降の予定の検討である。まだ、そこまでは4kmもある。急いでも2時間以上は必要。少ない記録をみると、ナメワッカ西面直登沢のピストンは日帰り装備で12時間は掛かりそう。到底日帰りは無理となる。予備日を使っても難しい状況である・・・・ついにナメワッカは断念し、明日、ここから戻り、エサオマン入ノ沢から北カールを登り、エサオマントッタベツ岳に登って、途中で1泊して下山することに決定。
夕食は、Yaシェフの献立による「マーボ春雨(肉・野菜・うどん入り)」のボリューム満点の美味しい料理で満腹・・・・。