前夜 松前町原口で車中泊
登山 | 地点 | 下山 |
4:50
5:25
6:15
7:40
8:50
10:40 |
駆越山登山口
駆越山(304m)
467ポコ
570ポコ(尾根分岐)
581ポコ(尾根分岐)
頂 上 |
15:35
15:00
14:20
13:15
12:10
10:55 |
[5:50] | 所要時間 | [4:40] |
16:45 繁次郎温泉(入浴)
19:00 帰宅
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神ノ山・・・松前町原口地区の東北東方向に聳える奥深い山である。この原口地区は15世紀にはすでに和人が住み着いていて、道南十二館の一つ「原口館」が築かれた地域である。三角点は設置されていないが、いかにも、その住民に崇められてきたような名称の山である。
今回は、道内をあちこち転勤して歩く条件を生かしながら、北海道の700m超峰(680山ほど)の全山踏破を目指しているKo玉さんと二人で、彼の道南で最後まで残ったこの山にトライした。これで彼は道南地区の700m超峰を完登し、全道でも残りが50山になったそうである。まさに根性の人だ・・・。
このようなロングコースの薮山は積雪期に登ることが多い。しかし、シベリア下ろしがまともに吹き付ける海岸線なので、下の方は、冬でも雪付きが悪く、昨冬挑戦してみたがダメだった。そこで、日の長いこの時期を狙って、「昼までに届かなかったら撤退」の覚悟で臨んだ超ロングコースの薮漕ぎ挑戦であった。
もちろん登山道はないが、原口の直ぐ裏の駆越山と呼ばれる304mポコには、原口小学校の改築時の廃材で建てた山荘があり、そこまでは1kmほどのの古い車道跡がついているという情報を掴んでいた。
その先から頂上までの約4kmは、まったくの薮尾根で、アップダウンを繰り返す超ハードな往復であった。おまけに、途中から雨が降り出し、全身ずぶ濡れでの薮漕ぎとなった。
国道沿いの入口に標柱の立つ駆越山登山口からスタート(1)。急な道を35分ほどで、
山荘の建つ駆越山に到着(2)。眼下には原口の集落と日本海が広がる(3)。
ここで、一息入れて、この後辿る尾根を眺める(4)。嬉しいことに取り付く予定の尾根のコルまで別方向から上がってきていると思われる林道が続いていた
いよいよ急な薮斜面に突入。ビッシリと密度の濃い灌木帯を掻き分けながらの登りが始まる(5)。幸い、覚悟していたネマガリダケはまだなく、丈の低い笹だけであった。ときどき現れる満開のエゾヤマツツジに癒される。
思ったより快調に登り、467ポコ手前の尾根に乗る。下山時に尾根の方向を間違えないように紙テープを付ける。
密度の濃い笹藪と灌木を掻き分け、やがて467ポコへ到着。次のc500地点で、尾根が別れているので、下山時のためにやはりテープを付ける。この尾根には、よく見ると、昔、人が歩いたような痕跡が認められる。一帯には人工林もなく、何のために歩いたのか解らない。
しかし、周りが丈の低い笹とエゾヤマツツジの木で覆われた明るいc540ポコには、明らかに人が休んだり、仕事のベースにでもしたと思われる裸地に近い痕跡があり、そこに缶コーヒーの空き缶が3本が転がっていた(6)。
さらに、その先の尾根の分岐となるc540ポコには、360の数字のはめ込まれた標石が設置されていた(7)。何を意味する数字なのか分からない。同じ物をこの前後で目にすることはなかったし、この後には人の入ったと思われる痕跡はまったく見当たらなかった。
いつもこの様な薮山には重宝するGPSがなぜか電池の消耗が早く、充電してきたばかりの電池も直ぐに使えなくなる。下山時の目印のために、途中の笹や木の枝を折りながら進む。
次の539ポコを目指して進む(8)。やがて、ガスに突入する。もうすでに昨夜の雨の滴で全身ずぶ濡れだ。コル部分の幅の広いところは、覚悟していた背丈の倍もありそうなネマガリダケが繁茂し、それらに絡まるヤマブドウやコクワなどの蔓に悩ませられるようになる。
しかし、足元には、ときどき白いヤマシャクヤクが目に付くようになる(9)。
やがて、581ポコに到着し、休憩。ここまでで、すでに4時間を経過していた。幸い、Ko玉さんのリュックの中からないと思っていた単3電池が見つかり、GPSが再び復活。
しかし、確信を持って下り始めた尾根は、別の尾根だった。「ずいぶん下りが続くな〜」と思って、GPSで確認したら、違う尾根を下っていることが判明。慌てて581ポコへ戻る。10分くらいのアルバイトだった。ここは、90度以下の鋭角状に右の尾根に入らなければならなかったのだが、手前の背丈を遙かに越すネマガリダケとガスのために、その尾根を見逃し、581ポコのピークを少し越えてしまっていたのだった。そのために下る尾根を間違えてしまったのである。思いがけないところで電池が見つかり、GPSで間違いを確認できたのは、何かの救いかと思うほどのグッドタイミングだった。
やがて、雨が降り出す。雨の中の薮漕ぎくらい辛いものはない。しかし、ここまで来て引き返すわけにもいかない。
すでにずぶ濡れなのだが、寒さも感じるようになったので、カッパの上を着て、前進あるのみ(10)。
ガスの中に現れる高見を頂上と勘違いする糠喜びを何度もさせられて、スタートして6時間弱。
ようやく念願の頂上に到着(10)。
三角点のない山ではあるが、ひょっとしたら神ノ山だから、小さな祠でもあったりして・・・などど期待していたが、人跡を示すような物は一切なかった。いつの間にか雨は止んでいたが、寒いので、急いで腹ごしらえをして下山開始。
これまでの経験から、登りの尾根は外すことはまずないが、下りは、尾根を外すことが多い。折ってきた笹や木の枝や掻き分けてきた痕跡や紙テープなどを手がかりにしながら慎重に下る。それでも、登りではその存在にすら気付かなかった別の尾根を間違って下り、GPSで確認して戻るということも1ヶ所あった。アップダウンの少ない尾根なら、下りは楽だが、この山の尾根は非常にアップダウンが多い。疲れを段々感じることが多くなる。
それでも、登りより1時間早い4時間で、薮から解放される駆越山とのコルに到着し、ホッとする。雨は止んでいたが、ガスは登りよりずっと低くなっていて、駆越山からの展望すらなかった。
しかし、足元のウツボグサ(11)やシロウマアサツキ(12)や初めて目にするピンク色の花の小さいハマナス(13)などが、疲れを癒してくれた。
古い急な車道跡の下りで、二人とも脚の同じ部所に長い登山歴でそれまで感じたことのない初体験の痛みを感じる。膝裏の外側の腱の辺りで、急な下りでは、膝を曲げることができないくらい痛く、騙し騙しゆっくり下る。薮漕ぎは、手で掻き分けた薮を踏みつけたり、跨いだりするので、普通の登山より膝の持ち上げや曲げがきついことは確かだ。薮山の経験が多い二人だが、それだけキツイ行程だったということなのだろう。
車の陰で、ずぶ濡れの衣服を全て着替えて、帰路に就く。上ノ国の市街地で味噌ラーメンを食べ、江差の繁治郎温泉で汚れを落とし、疲れを癒す。入浴料は300円でも安いのに、さらに65歳以上は150円だった。
強烈なネマガリダケは思ったより少なかったが、あとは背丈の高い密度の濃い笹と灌木とそれらに絡まる蔓を掻き分けての往復だった。当然、展望はなし・・・。ひたすら目の前や頭上を越える薮を掻き分けての久しぶりの11時間山行だった。これまでもずいぶんと薮山を登ってきたが、今回は時間も疲労感も最大の超ハード山行であった。さらに、薮漕ぎは両手両足はもちろん、全身を使うので、身体中ゴキゴキ・バリバリ・・・帰宅後、妻に全身マッサージをしてもらってだいぶ楽になったが、明日は全身筋肉痛だろう。