開墾山 (704.5m)/八雲町(旧熊石町)
 <相沼内川支流〜710ピーク〜南尾根ルート>   3名、 07,9,24

途中で二股を見落として直進し、30m大滝にぶつかったことがかえって幸いして、結果的に頂上を経由する循環縦走ができた。

6:00 八雲市街地発
7:00 相沼(Saさん合流)
7:15 林道終点     
登下山地   点
 7:25
 7:45
 8:35
10:05
11:05
12:15
12:50
13:25
14:35 
林道終点(入渓)
支流へ
30m大滝
710ピーク南尾根へ
710ピーク
頂上着
頂上発
505ピーク
林道終点
[7:10]所要時間
15:30 乙部温泉(入浴)

八雲町(旧熊石町)の相沼内ダムの真北に、北面に不気味なまでの断崖絶壁を巡らして聳える山である(1)〜(元小屋沢山への送電線尾根から撮影)。2年前にこの北面の岩崖の下を通って元小屋沢山へ登り、上から眺めたときには、この不気味な山の頂に立てるなんて考えても見なかった。

 なお、興味を惹かれる山名の由来は不明だが、険しい山容にもかかわらず、三等三角点の点名が「開墾地」となっているに至っては、ますます頭を悩ます。敢えて考えれば、昔この相沼内ダム一帯が開墾されたときに目印となった山だったのでは・・・・?

 さて、この山へ登ることになったのは、今夏、函館へ転勤してきた北海道700m超峰全山踏破に挑戦中のKo玉さんからの誘いである。やはり、昨年何度か道南の藪山を一緒に登ったSaさんも誘って挑戦することにした。Saさんに誘いの電話を入れたら、「あの山、登れるの?」との反応であったが、予てよりKo玉さんと地図で検討し計画していた相沼内川から頂上の東側のコルへ突き上げる沢を利用する予定である。
 
 日高帰りのKo玉さんとは前夜八雲市街地で、Saさんとは、当日の朝、国道の相沼内ダムへ道路の入口で待ち合わせて、ダムの前を越えて林道終点まで車で進む。

 広い河畔を蛇行して流れる相沼内川へ入渓して、予定の沢の合流地点を目指す。20分ほどで、そちらから流れ出る小沢の中を進む。大きな岩が行く手を阻むところや小滝が続くが(2)意外に広い沢地形なので容易に巻きながら登っていくことができる。360二股と400二股は右へ進む。しかし、後で判明したことであるが、頂上東側のコルへ突き上げる沢への420二股を見落として、そのまま直進してしまう。その先に待っていたのは、垂直の岩盤を流れ落ちる30mの大滝である(3)

 左岸は100m以上は切り立っている垂直の岩崖に取り囲まれている。なんとか高巻きできるところはないかと探し、右岸の崖状の斜面に取り付く。ロープを出して頑張ってみたが、さらに上に崖が続き、そこは断念。一度、沢へ降りて、更に下の方から挑戦する。ロープを出したりして苦労して途中まで登ると、滝の落ち口近くまでトラバースできた。滝の落ち口が見えるところまでは行けたが、沢へ降りることは不可能な崖である。そこで、沢は諦めてその右岸の急な尾根に取り付くことにする。滝の下からここまでで、すでに1時間30分ほどが経過していた。この時点では、頂上へ直接繋がる尾根だと信じていた・・・。

 灌木を頼りの急な尾根登りが続く。ネマガリダケがないのが幸いである(4)上に頂上が覗く頃、ふと樹間から左側に深い谷を挟んであるはずのない高いピークが覗く。どう見ても、それは目指しているはずの頂上である。ここで、ようやく420二股を見落として直進したことに気づく。そして、今登っている尾根は、頂上より少し高い東隣の710ピークへ繋がる尾根だということが判明。

 しかし、あとは尾根を辿り、吊り尾根を繋ぐだけでなんとか登頂できそうなので、間違えたショックは少なかった。それよりも、あの滝が現れずにそのまま進んでいたらと思う方がぞっとする。禍福の転とはこんなことであろう。

 その時点で、ネマガリダケのない山のようなので、下りは同じコースを戻らないで、頂上から南へ延びる緩やかな尾根を下ることに変更する。尾根に取り付いて1時間で710ピークに到着。笹藪の中に腰を下ろして15分ほど休憩。

 いよいよ、頂上への吊り尾根だけである。当初沢から登り詰める予定だった最低コルを目がけて下る。目の前にコルから50m登り返す頂上が見える(5)この登り返しは、灌木がなければ絶対登ることのできないほどの斜度であった。恐らく60度以上はあったのではないだろうか?

 スタートして5時間弱で、念願の頂上へ。探す予定の三角点は、先頭を歩いていた自分の足で踏んづけてあっさりと発見。苔にすっぽりと覆われていた。

 まずは、3人で無事登頂の感激の握手をする。そして、Ko玉さんが必ずする儀式の三角点の周りの笹刈りである。周りがきれいになったところで記念写真に収まる(6)木が邪魔で展望はあまりないが、南に相沼内ダムの湖面が覗く(7)

 昼食を摂り、ゆっくり休んで、今度は南に延びる緩やかな尾根下りである。まずは、方向を変える570ポコを目指して下る。時折尾根を外して軌道修正を迫られる場面もあったが、岩頭や崖にぶつかるような緊張場面もない。

南東方向に、一昨年の残雪期に登った端正なスルカイ岳(8)、東側の相沼内川の源頭方向にこちらに岩崖や岩峰を見せている道南で最も手こずりそうな難攻不落の沖沢山が見える(9)

 570ポコ付近で、3方向に延びる尾根を間違わないように慎重に読図を行い、真ん中の尾根を下る。そこから先も、時折背丈ほどの笹藪もあるが、だいたいは足で掻き分けて歩ける快適な藪漕ぎである。北面に巡らした断崖絶壁の険しい山とは思えないほどの穏やかな尾根である。

 やがて、スタート地点手前の相沼内川へ降りて、頂上からわずか1時間45分でゴールイン。結果論だが、ネマガリダケのないこの尾根を登った方が、手こずるところもなく、倍の3時間30分もあれば、容易に登頂できそうなルートである。

  ルートの間違いや苦労と緊張の大滝高巻きもあり、登りは予想より時間を要したが、変化に富んだ楽しい藪山山行であった。


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