兜岩・兜峰(670m)、藤野富士(651m)、藤野マナスル(316m)<札幌市>
単独 14、11,01
晩秋の半日、落ち葉を蹴散らしながら藤野界隈にある低山巡りを楽しむ

 札幌市藤野地区の南側、簾舞川とオカバルシ川との間には、火山性円頂丘で 標高500m〜600m前後の小山がボコボコと乱立している。
 その中で最も目立つ最高峰が、端正な円錐状の豊平山(焼山)(663m)で、それと隣り合ってやはり円錐状のピークを連ねる豊栄山と豊見山を合わせて「藤野三山」とか「藤野三豊山」と呼ばれている。
 その3山は、09年に登っているが、今回は、その周りにある兜岩・兜峰、藤野富士、藤野マナスルの3山に登った。 前回も今回も、この辺りの山に詳しい「老後楽しみ登山」の管理人Naさんのお勧めによるもので、その記録を参考にさせていただいた。

○兜岩・兜峰

5:50 豊滝除雪センター駐車場発
登山
地 点
下山
6:20
6:25
7:05
7:25
簾舞林道ゲート
フォレスト小屋分岐
兜岩
兜峰頂上
8:20
8:15
----
7:35
[1:05]
所要時間
[0:45]

藤野富士へ

 
 国道230号線からは目にできないが、舞川沿いに聳えるまさに兜を思わせる岩峰が「兜岩」で、その右の670m峰が「兜峰」と呼ばれている(1)昔からの踏み跡に登山標識やロープが設えられたこともあり、最近、登る人が増えて、ネット上での情報が多くなっている山である。


  国道230号線簾舞3条3丁目の信号機で左折し住宅街に入って十字路を 右折、あとは2.8km直進。人家が切れてすぐにゲートがあった。ここが舞林道の入り口のようである。そばの立木に「兜岩登山口」の標識があり、その先に目指す兜岩と兜峰が見えている(2)
 
 渡渉と急な登り下りに備えてスパイク長靴でスタート。5分ほど進むと、目の前に兜岩と兜峰が見えてくる。札幌近郊の山の登山口に多くみられる入山届記載所のログハウス風の小屋が建ち、「フォレスト小屋」と書かれていた。この小屋が兜岩の入山届記載所とは考えづらい。こちらから登る空沼岳のコースがあるらしいので、そのために設置されたものではないか?
 その手前にある分岐から古い林道跡を下って行くと、廉舞川の渡渉地点である(3)。砂防ダムのすぐ上を渡渉すると、その先の崖の右側の急斜面にロープが設置されている。この登りが一番の核心部だった(4) 

 尾根に乗ると、斜度が緩む。カツラの大木(5)や「倒木注意」の看板が付けられた枯れた大木も目に付く。踏み跡状の道は、兜岩と兜峰の間のコルへと続く(6)


 コルから、まず兜岩へ。5分ほどで岩峰の上に到着(7)。切り立った岩の上からは、すぐ近くの豊平山(焼山)とその両側に豊栄山、豊見山が見えたが、ほかの遠望は霞んでいた(8)


 コルへ戻って、真新しい標識に導かれて、兜峰へ(9)非常に急で、ロープや木の幹や笹を頼りの緩むことのない登りが続く。登りついたところが頂上かと思ったら、「見晴台」「お休処」と書かれた標識しか見当たらない(10)。「見晴台」ではあるが、残念ながら、遠望は霞んで良く見えなかった。


 頂上は、西側へ続く痩せ尾根の先のようである(11)。その先端まで行ったら、立木に「頂上標識」が付けられていた。その先の稜線の奥に札幌岳の頭の部分だけが見えていた(12)
 下山時には、男性リーダーに率いられた4名の女性のグループが登って来た。全員スパイク長靴だった。ちょうど2時間で、スタート地点へ戻って、次の藤野富士へ移動。



○藤野富士

登山
地 点
下山
9:00
9:10
9:50
藤野霊山園最上部駐車場
林道から歩道へ
頂 上
10:40
10:35
10:00
[0:50]
所要時間
[0:40]

藤野マナスルへ

 
 藤野霊山園のテレビCMで目にしていた端正な山である。ゆるやかにゆったりと裾を広げた形は、まさに富士の名にふさわしく、一段と美しい姿である。この霊園を造る際のデザインに組み込まれていたと推測したくなるほどのみごとなロケーションである(1)昔は『(やまか)の山』と呼ばれ、明治20年頃の所有者・加藤岩吉がこの山で造材をしたので、その屋号が名付けられた。その後三井に売られて『三井の山』と呼ばれたこともあったようだ。(風雪百年誌による。)
 ネット上では冬に登られているものが多いが、今回登ってみて、新しい夏山登山用の標識も充実し、登山道も刈り払いがされてはっきりしていることが分かった。  


 国道230号線の「藤野霊山園」の看板のある交差点から南へ続くオカバルシ川沿いの道を進むと「藤野霊山園」の入口がある。霊園の東側に続く道を最上段の右上の駐車場まで登り、そこに車を置かせてもらった(2)
 その上に登山口があり、頭上の木に「藤野富士登山口」の標識が付けられていた。情報によると、草ぼうぼうと書かれていたが、最近刈り払われたような感じだった(3)帰宅後、いろいろネットでこの山の情報を調べていたら、Naさんのブログに、9/26に7時間もかけて大きな鎌で刈り払いをしながら登ったことが書かれた。感謝!感謝!
 5分ほどで林道へ出た。この林道も9/26段階では、この林道も薮漕ぎ状態のようだったが、最近重機が入ったようで、快適な林道に変わっていた(4)


 さらに、5分ほど林道を進むと、右手に登山道入り口の標識があり、その先も刈り払いがされていた(5)その先も旧登山道というよりは造材の作業道跡といった感じの道が続いていた。
 林道跡と交差する地点から「頂上」の方向標高標識と「ここまでで約半分、これから急坂になります」と書かれた丁寧な標識が付けられていた。だが、距離的には3/4以上は来ている感じだが・・・?(6)
 

 やがて、尾根に乗り、木の生えていない急な登りとなる(7)。展望は開けるが、南側に恵庭岳と空沼岳が霞んで見えるだけだった(8)


東側には国道453号沿いの常盤地区と思われる市街地がやはり、霞んで見えている(9)そこから尾根の登山道に並行して薮で覆われているが、深く掘れて続く旧道状の痕跡が気になる。これだけ掘れるということは、頻繁に人だけでなく馬も歩いていたのではないかと思われる。やがて、石の積まれたケルンがあり(10)そこからその深く掘れた旧道の痕跡は頂上へ向かわずに、南西方向へ下っている。それは、地形図に記載されている道の点線と一致する。これは、旧登山道などではなく、山越えの旧道か造材作業道だったものと思われる。


 ケルン地点から尾根上の刈り払い道を頂上へ向かう。刈り払われた突き当たりに頂上標識が設置されていた。周りは葉のすっかり落ちた木で囲まれていた(11)。その右側の刈り払いの付き辺りにはコンクリートで造られた標石が設置されていた。三角点ではなく、★マークの下に一と彫られていた。初めて目にする標石である(12)

 この標識といい、旧道然とした深く掘れた道の痕跡といい、興味をそそられる山だった。それにしても、あまり登られていない山なのに、丁寧な標識が設置され、刈り払いもしてくれる人がいることにも興味がそそられた・・・しかも、標識の類を見ていると、先に登った兜岩・兜峰や前回登った豊平山(焼山)も同じ人の手によるものであることが分かる・・・「もしかしたら?」・・・感謝!感謝!


○藤野マナスル

登山
地 点
下山
11:15
----
11:35
小鳥の村入口
愛鳥広場
頂上
12:00
11:55
11:40
[0:20]
所要時間
[0:20]

 

 オカバルシ川の東側に、なだらかな姿で見られる「小鳥の村」の山である(1) 気になる山名の由来だが、昭和31年5月、日本マナスル登山隊が幾多の困難を克服して、世界第8位の高峰マナスル(8125m)の登頂に成功し、当時の国民に大きな感動を与えた。時を同じくして、「小鳥の村」を開いた小沢広記氏は、藤の沢小学校の庄司先生(前連合会会長)と相談し、次代を担う子ども達に夢と希望を持たせたいと考え、岡田の山と呼ばれていたこの山に「藤野マナスル」と名付け、子ども、そして大人達の手軽な登山、ハイキングの場としたとのこと。(藤野地区町内会連合会公式ホームページより)


 北海道文教大学短大部の体育館の奥に「小鳥の村」の入口があった(2)そこに設置されている説明板によると、藤の沢小学校の森林体験学習の場となっているようで、各種の表彰の歴史も記載されていた。
 きれいに整備された道沿いには、藤の沢小学校児童による「小鳥の村」に寄せる想いの標語がたくさん設置されていて、それを読みながら歩くのが楽しい(3,4↓)
 

 やがて、藤野マナスルと愛鳥広場への三叉路となる(5)。頂上への道は刈り払いされてなく、笹が被っているところもあった。トドマツ林を抜けると少し急な登りになる(6)


 スタートして、20分ほどで巣箱がたくさん設置された頂上に到着(7)。葉の落ちた樹間からは「藤野三山」が覗いていた(8)
 下山は三差路から、愛鳥広場を経由して登山口へ。ちょうど12時だった。霞んでいて、展望には恵まれなかったが、札幌出張ついでとはいえ、大好きな晩秋の落ち葉を蹴散らしながらの初ピークとなるマイナーな3山の低山巡りを終えて、それなりに大きな満足感があった。
 車の中で昼食を摂り、着替えて、芸術の森美術館で開催されている「光と影のファンタジー藤城清治の世界展」へ。

 



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