定山渓天狗岳 (1144.9m)A
<熊の沢コース>  単独 11,5,31
94,9,18の「定山渓天狗岳」
 ワイルド且つハードな岩山で、何度も登りたいと思ったまま17年もご無沙汰していたお陰で新鮮な気持ちで登ることができた

登山
地点
下山
5:40
6:10
8:00
8:20
白井二股
登山道入口
ルンゼ下部
頂 上
11:25
10:55
 9:30
 9:10
[2:40]所要時間[2:15]

小天狗岳登山口へ移動
 定山渓温泉の北西側に位置する得意な姿を見せる岩山・・・全国的にも天狗岳というのは岩山のことが多いが、この山もまさにそんな山で、愛称で「定天」と呼ばれている(1)ただし、地図上にはただの「天狗山」と記載されているアイヌ語名は「キトウシヌプリ」(ギョウジャニンニクの多い山の意)とのこと。

  初めて登ったときに、「この標高で、しかも大都市の近くに、こんなに野生的で登山の醍醐味を十分に味わわせてくれる山があったのかとびっくりした。この山なら何回登っても飽きないだろうと思われ、花の季節に再訪したい山となった」と書いてあるが、それから17年もの年月が経っていた・・・。

 8時間爆睡して、快晴の朝を迎える。しかし、登山口のスタート時の気温は1℃と非常に寒かった。登りは日陰だったこともあり、頂上までパーカーを着たままで汗も掻かなかった。

 入林届けが設置された天狗小屋の建つ白井二股のゲート前をスタート。熊の沢コースの登山道入口までは白井川左岸の林道歩き・・・雪解け水を轟々と流す白井川を右手に見下ろしながら進む(1)。やがて、鮮やかな春紅葉の上に頂上の頭が見えてくる(2)。30分の歩きで、登山道入口到着(3)前回は、鍵を借りてきた先行者のお陰で、ここまで車で入ることがでした。

前半は、熊の沢沿いの踏み跡状の道を辿る。やがて、右手に岩壁が近づくと、滝が現れ、ワイルド且つハードな大高巻きを繰り返すようになる(5)危険なところにはロープが設置されているので怖くはない。

 水流が少なくなると両側から岩壁が迫ってきて狭い雪渓を詰めた沢となる(6)ここも急な崖状のところを登り、滝の続く沢を右手眼下に見ながら、どんどん高度を稼いでいく。

 やがて、700m付近で、水流のある沢を左に分け、急な涸れ沢を登っていく。ぐんと斜度が増し、ハードな登りが続く。

 目の前に岩峰が見えて、少し斜度が落ちてくると、涸れ沢に雪の詰まってくる(7)

 先ほど正面に見えていた岩壁が頭上に迫ってくると、押し潰されそうな圧迫感を覚える(8)

 この辺りからは、時期になると、この山ならではの花々が現れるらしいが、シラネアオイやイワハタザオのほかは、いわゆる早春のスプリングエフェメラルたちばかりで、まだ早すぎたようだ。食べ頃のギョウジャニンニクまであり、下山時には、少しばかり頂いて、当然ラーメンの具となった。 前回は秋だったので、やはり夏の花は見ることができていない。今度来るときは、夏にしなくては・・・。

 崖の下を左から巻くようにして、第T峰と第U・V峰の間のウエストコルを目指して登っていく。第U・V峰の崖の左側には、2本の雪崩れ跡のほかはまだ真っ白な余市岳が見える(9)

 その左手頭上には、第U・V峰の岩崖が迫ってくる(10)この第U・V峰も周りは全て垂直な崖になっていて想像もつかないが、地図や頂上から見ると、ギアナ高地のように上の方は平になっているのが面白い。




 いよいよ、核心部のウエストコルのルンゼの下に到達。予想通り、下2/3は残雪に覆われていて、ロープも雪の下だった(11)このときのために持参したピッケルが大いに役に立ち、スリリングながらも、雪に覆われていない垂直に近いルンゼに取り付くことができた。ここはロープが使えるので、ひと安心(12)

 登り切ったところが、反対側も崖になっているウェストコルだ。右手には下から見えていた岩峰がそそり立ち、平らな第U峰とやや丸味を帯びた第V峰の先には白井岳が見える(13)その先から頂上までも、周りがスッパリ切れ落ちた細い稜線なので、スリリングな感じだが、特に危険なところはない。


狭いながらも、頂上は灌木に囲まれて、平らになっている。しかし、周りは全て覗き込むのが怖い崖の上である。
展望が開けている東側には、さっぽろ湖(定山渓ダム)と、その左奧に連なって聳える烏帽子岳と神威岳、右端には下山後登った小天狗岳などの眺望が広がる(14)


北側には、垂直な崖の上に平らな面を見せる第U峰とやや丸味を帯びた第V峰が見え、その奧に白井岳と朝里岳(左奧)が見える。この両山もスキーで登っている(15)

  まだ8時を過ぎたばかりで、時間的余裕もあり、陽光を浴びながらのポカポカ陽気の中、珍しく50分ものんびりして下山開始。ルンゼ下の雪渓部分を慎重に下り、あとは順調な下山を続ける。下りてきたら、山菜採りの車で溢れていたが、山の往復では、結局誰とも出会うことのない静かな山だった。下山しても、まだ午前中だったので、近くの小天狗岳にも登ることにして、登山口のある定山渓ダムへ向かう。


シラネアオイ

岩山に多いイワハタザオ

滑滝の周りに咲くエゾノリュウキンカ



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