漁岳(1318m)  漁川林道ルート 同行者1名    
01,02,25
夏道のない念願の山に、天候に恵まれた厳冬期に山スキーで登ることが出来、23年ぶりに凍結した支笏湖を上から眺めることができた。
 
登山地点下山
8:30
8:45
9:45
10:20
11:35
11:55
12:35
オコタン分岐駐車場
漁川林道入り口
尾根取り付き
900m稜線
本峰下コル着(昼食)
  〃   発
頂 上
13:50
13:35
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
12:45
[4:05]所要時間[1:05]

14:30 支笏湖いこいの村国民宿舎
    温泉入浴 700円

参考になるぺージ
 『北海道のクロカン事情紹介』(漁岳)
 『サトシンの北海道の山スキー』(漁岳)

 山と渓谷社発行の『北海道百名山』を2年前に全山一人歩きで完登した後に、北海道新聞社から発行された『北海道の百名山』の完登(今度は実力的にも一人歩きにはこだわらない)が、現在の新しい目標になっている。この漁岳は残り10山の中の一つであった。昨秋に沢から挑戦しようと沢の取り付きまで行ってみたが、ガスのため目指す山が見えず撤退し、この冬か天候の安定する早春に狙いをつけていた山である。
朝日に輝く漁岳
 たまたま、この日を挟んで前日の土曜日は小樽に、次の日の月曜日は札幌に出張が入り、その中日の日曜日に、天候が良かったら一人ででもと計画する。家を出る前に偶然このことをメールで『北海道のクロカン事情紹介』で道内あちこちの山スキールートを開拓して公開している栗山町のHaさんに知らせたら、「しばらく行っていないのでお付き合いしますよ」とのこと・・・思いがけない心強い味方を得て、勇気百倍となる。
入山届けに記入するHaさん
 オコタン分岐より200mほど支笏湖寄りの駐車場が集合場所である。半ば天気予報から諦めていたのだが、札幌から向かうと、なんと支笏湖周辺は快晴状態の朝である。少し早目に出て支笏湖畔から朝日に輝く漁岳の写真を撮り(1)、駐車場でHaさんの到着を待つ。

 8:30、駐車場から漁川林道入り口までテクテク15分ほど歩く。入山届けに記入し(2)、スキーを付けて、先行するパーティのトレースを辿って進む。正面には目指す漁岳が青空の下にくっきりと見えているのがうれしい(3)。おまけに無風と来ている。この冬こんな条件に恵まれた山行は初めてである。それだけでも幸福感に満ちた元気が出てくる。
林道の正面に望む漁岳
 途中、林道が大きく迂回している所をショートカットすべくトレースを外し、急な林の中を結構悪戦苦闘しながら登る。その下の方に、コンクリート造りの建物が建っているのに驚く。鉱山の跡なのであろうか? 再び林道に出て、やがて尾根に取り付く。
尾根に登り始めたところから本峰(中央)を望む
 しばらく登ると、右手に目指す本峰が見えて来る(4)。「行き着くまで晴れたままでいてくれ!」と祈りながら進み、先行する7人パ−ティを追い越す。「もうすぐでオコタンペ湖が見えますよ!」と言うHaさんの声に励まされながら、900m付近の稜線に乗る。果たして念願の恵庭岳の鋭峰とその裾にオコタンペ湖と23年振りに凍結した支笏湖が・・・欲を言えば、逆光なのが残念である(5)。
稜線からオコタンペ湖と支笏湖を見下ろす
 そこから少し上の急な登りの前で、その後の960m付近のポコや1060m 付近のポコの間の急なアップダウンに備えて、一休みをし簡単な腹拵えをする。後ろのパーティも前に出たくないのか、同じように休憩している。

 そこからはしばらく尾根を辿るのだが、クラストした上にさらっと積もった雪の急斜面が続き、ジグを切るのに苦労する。前夜の飲み過ぎと寝不足が祟り、年寄りの権利で「ちょっと休憩!」を連発しながら、若い彼にブレーキを掛けて進む。 1060m付近のポコは右側を巻き、 1175mポコの手前に出る。そこからは正面に大きな漁岳山頂がすっきりとした形で待っていてくれるのがうれしい(6)。次は転んだら谷底まで人間雪崩になりそうな1175ポコの急な南東斜面をトラバースするのだが、ここもクラストがきつく、途中でついにツボ足で突破する羽目になる。やがて、狙いすましたように頂上斜面下の広いコルに出て、ホッと一息つく。
1175ポコ手前から頂上を望む
 頂上ははっきり見えているが、周りがガスり始め、風も少し出てきたようなので、そのコルで昼食をとることにする。体も冷えてきたので、20分くらいでいよいよ頂上アタック開始である。かなりのクラストが予想され、Haさんはスキーアイゼンを付ける。持っていない私は厳しくなってきたところでツボ足に切り替えてスキーを担いで登る。途中、熱風でも出ているのであろうか・・・ポッカリ50cm程の穴が開いて周りの雪が明らかに溶けていて覗くと1.5m位下に地面まで見えている。活火山でもないのに不思議な現象である。

 やがて、頂上下の雪庇の下のハイマツ帯でズボッと腕の深さまで埋まりびっくりする。、そこからスキーを再び履いて、雪庇の下を右側へ巻いて凍り付いたハイマツ帯の頂上稜線に乗る。Haさんはそのまま頂上の右側のピークの方へ向かっていく。彼の先を見ていると、コルで昼食の時に耳にしたスノーモービルの新しい痕跡が見える。しかも、明らかにハイマツを帯状に蹴散らした跡まで見えている。スノーモービルの暴挙を許すまじと全道的に「スノーモービル対策ネットワーク」を展開している彼は、早速それを写真に収めている。
 頂上のハイマツ帯の様子
 エビの尻尾が発達したスカブラ状のボコボコしたハイマツ帯の上を越えて(7)、夏道も無いのに立派な頂上標識の建つ頂上へ到着(8)。風もそれほどないのだが、だんだん周りがガスって来て、下を見ると恵庭岳を挟んだように支笏湖が二つに別れてぼやっと見えている。

 滑りを楽しみたい二人は早速シールを剥がし、滑降モードに入る。雪庇から下りて、彼の後に続いて滑り出したのだが、3つほど気分良くターンをしたら、クラストした雪にスキーの先が刺さり見事に顔面から大転倒する。起きて、再び滑り始めたら同じようにまた頭から転倒・・・ゲレンデでは絶対無い転倒スタイルである。山スキーはプロ並の彼も手こずり同じように転んでいる。初めは西側の沢を滑り、少し登り返して・・・という計画だったが、あまりの悪雪に登ってきた稜線をそのままコルまで下ることにする。
頂上にて
  1175mポコをかわしてからの、まだ30歳台前半の彼は水を得た魚のような勢いで、バキバキッ、バシバシッ、ビシビシッ・・・と木の枝やブッシュを体全体で掻き分けながら潜りながらの猛スピードの薮漕ぎ滑りで、あっという間にどんどん下って行く。立ち木のない斜面はともかく、ゲレンデでの滑りが長い自分はその藪や立ち木が怖くてとても彼のような滑りはできない・・・後ろからエッチラオッチラ滑り下りて行く。何かの拍子に、内腿の筋肉が引きつって痙攣を起こし、激痛が走る・・・しばし休憩・・・なかなか痛みが去らず我慢して滑っていくうちにいつのまにか痛みが引いてホッとする。

 林道に出て、のんびりと下り、最後は歩くスキーモードで漁川林道入り口に到着。スキーを脱いで駐車場まで、充実感と満足感に浸りながらのテクテク歩きでゴールイン。彼に先導してもらい、初めて目にする支笏湖いこいの村の国民宿舎の前で彼と別れ、私は温泉に漬かり、札幌へ向かう。温泉から上がったら、登山中の天候が嘘のような吹雪状態に変わっていた。                                  

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