◎吊り尾根を越え、石狩岳へ石狩岳とそこまで辿る吊り尾根の道
 音更山頂上で、水とおにぎりを口にして、標高差の大きなコルを隔てて眼前に聳える石狩岳(1)目指して出発。尾根の左側はガスで覆われ展望なし。右側の深い谷を眺めたり、丸い音更山を振り返りながら(2)、コマクサの咲く大好きな岩礫帯の道を下る。やがて吊り尾根の稜線に出る。

 シュナイダーコース分岐を過ぎた辺りから、見上げるような急な斜面をジグを切りながらどんどん高度を稼ぐ。頂上の下の左側は急崖となって落ち込む源頭部である。これは十勝川の源流部になるのであろう。この尾根は石狩川と十勝川の分水嶺でもある。わずか数センチしか離れないで降った雨が、一方は日本梅へ、もう一方は太平洋へとまったく反対側の海へ注ぐわけで、そんなことを感慨深く考えてみたりもした。
 音更山を振り返る
 周りには遅いハクサンフウロが咲くお花畑が広がっている。そんな目の前だけの展望を楽しみながら、再びガスに覆われたケルンの積まれた狭い頂上(3)に、出発してから6時間で到着。頂上には、シュナイダーコースを登ってきた50代の女性と十勝三股コースから登り、十石峠から常に前を歩いていた40代の男性が待っていた。そして、まもなく同じコースを前後しながら進んできた登別の夫婦が到着。いろいろ話しながら、簡単な昼食をとる。帰りまた同じ道を戻ることを思い、始め考えていた通り、十勝三股コースから登り、シュナイダーコースを下るといったコースにすればよかったと少しばかり後悔する。ガスが晴れる様子もなく、帰りの時間を考えると余りゆっくりもできない。20分後に下山開始。
ガスの中の石狩岳帳上
◎もと来た道をひたすら戻る
 下山開始してまもなく雨が降ってくる。雨具上下に身を固めて急な斜面を下る。音更山に戻るころには、その雨も上がる。 音更山を下る辺りから周りのガスが切れて、ユニ石狩岳やそれに続くピークが時々見えてくる。来たときの印象を反芻しながら黙々と歩を進める。やがて、急な斜面の眼下にプヨ沼キャンプ地が見える。来るときにはなかった青と黄色のテントが見える。
 
 プヨ沢の向い側には来るときには見えなかったユニ石狩岳の全容がはっきりと見える(4)ちょうど中間地点となるブヨ沼キャンプ地でテントを張っている人たちとおしゃべりしながら15分程休憩し、再び越えなければならないプヨ沢ピークを目指して出発。ブヨ沢ピークまで戻ると、頂上部にガスを絡みながらも石狩岳へ続く稜線や音更山への稜線がはっきり見える。下から登ってきて休憩している人達とまたおしゃべりしながら、もっと晴れるのを期待しながら腰を下ろしてのんびり休憩するも、それ以上は晴れなかった。
ブヨ沼付近からユニ石狩岳を望む
  しかし、来るときにはガスの中だった眼下にくっきりと見える十石峠とそこまでの二つのピークに続く道やユニ石狩岳、その左側から覗く大雪湖を眺めながら、後はほとんど下りだけの道を進む。十石峠であと1時間弱との安心感もあり、またのんびり休憩。 「小崩れ」「大崩れ」の岩の上を進む。ブヨ沢の湧き水は伏流水となり、再び流れとなって姿を現し、由仁石狩川となり、やがて大雪湖へ注ぎ、石狩川となる川沿いの道を下る。「鳴兎園」前後の苔むした景観の中を過ぎて河原に出る。いよいよ11時間近い行程に終止符を打つ登山口の手前で、靴とスパッツの泥を洗い流す。水は手が痛い程冷たいのに改めてびっくりする。
 
 登山口に着いて着替えを済ましたところへ、登別の夫婦も到着。お互いの健闘を称え合い、別れる。林道を抜け、さらに国道273号線を南下し、宿泊予定地の糠平温泉に到着、大雪ホテルでビールを飲みながら入浴。昨年ニペソツに登るためにテントを張ったキャンプ場はびっくりするほどの混み様で、テントを諦め、公共駐車場での車中泊の用意をし、近くの食堂で十勝特有のブタ丼とビールの夕食をとる。
 
 展望には恵まれなくて残念だったが、上川と十勝の境界線となる石狩川と十勝川の分水嶺の上を往復する長い行程を予定通り完歩できた満足感で眠りに就く。

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