石狩沢〜石狩岳1967m)〜川上岳(1894m)〜ニペの耳(1895m)〜ペテトク沢 
 <石狩沢〜夏道〜ペテトク沢>   単独  06,8,6
95,8,11の「ユニ石狩岳〜音更岳〜石狩岳」へ

石狩岳への最短ルートである石狩沢から石狩岳へ登り、夏道を川上岳〜ニペの耳と辿り、最低コルからペテトク沢へ下る

8/5
17:00 石狩沢林道終点(泊)
            (1138m)
8/6
登山
地   点
5:10
6:05
7:00
7:40
8:05
8:15
8:20
林道終点(入渓)
1250二股
1540二股
1720二股
稜線
石狩岳本峰
石狩岳頂上
[3:10]所要時間
下山  地  点
9:20
9:30
9:50
10:15
10:50
11:10
12:40
12:50
13:20
石狩岳頂上
石狩岳本峰
小石狩岳
川上岳
ニペの耳(昼食)着
   〃     発
最低コル(1289)
ペテトク沢
入渓地点
[4:00]所要時間

層雲峡・黒岳の湯
    (入浴・車中泊)

 石狩岳に至る登山道は3コースあるが、いずれも長く、ハードなコースばかりである。前回登ったのは、11年前、由仁石狩川コースからユニ石狩岳〜音更岳〜石狩岳で登りに6:00、下りに4:30を要した日帰りの長丁場以来である。

 今回は、石狩岳から沼の原へ続く川上岳〜ニペの耳を経由するコースを歩きたいこともあり、石狩岳への最短ルートで、非常に易しいという情報が多い石狩沢から登り、登山道を辿り、ペテトク沢へ下る循環縦走の計画である。

 石狩岳の山名は石狩川の源流部に由来し、語義は様々な説があるが、上川地方ではアイヌ語の「イシカラペツ」を「美しく作りたる川」と伝えているという。また、ニペの耳の由来は、この山は双耳峰でニペソツから見るとネコの耳のように見えることによるらしい。

 前日のうちに入渓地点となる石狩沢林道終点を目指す。高原温泉への道を進むと、「高原温泉まで6.3km」の看板の立つ分岐にゲートがある。前もって森林管理署で聞いておいた番号で開けて通過する。さらに6.3km先の橋を渡ってすぐの分岐を左に入り、2kmで終点である。そこは、広い土場跡でキャンプ地にも適し、焚火跡も多い。
 
○穏やかな石狩川本流の源流 
 
 これから遡行する沢は、流域面積で国内2位、長さで3位の石狩川本流のまさに源流である。それだけでも感激ものであるが、意外なほど穏やかな沢である(1)入渓点から坦々とした沢の中を歩く。流れのすぐ脇は背丈を越えるフキなどのブッシュである。しかし、右岸、左岸と結構踏み跡がある。

 徐々に高度を上げていくと、階段状の上流らしい流れになってくる。左は涸れ沢の1250二股は当然右を進む。両岸に踏み跡もなくなり、川の中を歩くことが多くなる。

 標高1350m付近で両岸が高く切り立って沢幅が狭まってくるが、突然雪渓が現れる。 その上を踏み抜かないように慎重に歩く。そこを越えると、再び雪渓は消え、急な流れになる。1440m付近で唯一7mほどの滝が現れる。しかし、右岸を楽に越えることができる(2)
 
 方向を南へ変える1520m付近から上はずっと稜線付近まで雪渓で埋まっているのが見通せる(3)。アイゼンは持参していないので、夏道の歩きに利用するつもりで持参した全面スパイク付きのノンスリップ携帯靴を渓流シューズの上から着ける。

 1540二股では左から石狩岳直登沢が滝となって合流している。地形的に明らかに右が本流である。石狩岳直登沢は私の手に余る滝があるとのことで、そのまま右の本流を行くことにする。

 右の本流は小石狩岳の支稜のスカイラインが既に見えている。雪渓の切れる手前の1710m二股を左に入る(4)雑木のトンネルのようになるが標高1850m以上まで細い水流が続いているのは驚きである。最後の湧水地点で喉を潤し、水を汲む。道内一の大河の最初の湧水である。感激しながら、冷たくてまろやかで美味な水をたっぷり味わう。

 最後は雑木もなくなり、花の咲き乱れる源頭部へ出る。丈の低いハイマツを踏みしめて登って行くと、急なガレ場一面にピークを過ぎたコマクサがびっしりと咲いている。その量は圧巻である(5)

 その縁を登りつめると小石狩岳と石狩岳のコルで稜線に出る。稜線の左上に石狩岳が見えている(6)

 ○11年ぶりの石狩岳

 稜線上の踏み跡を辿ると、1/25000の地図上の石狩岳に到着。しかし、そこには頂上標識はなく、その先の一旦下って登り返す先のピークに頂上標識が見える。ここは石狩岳本峰であって、頂上標識のあるピークは1m低い北側のピークであることが初めて分かった(7)。 シュナイダーコースをわずか3時間で登ってきたという新潟の40歳前後の男性に迎えられて、11年ぶりの頂上に到着する(8)入渓地点から3時間10分である。

 まず、目は11年前に歩いた音更岳とユニ石狩岳へ向く。よくもあの長い稜線を日帰りしたものだと改めて感心する(9)音更岳とのコルがシュナイダーダーコースの下り口である。そこからこちらの頂上までの間に数人の姿が見える。


 表大雪の方は稜線上に雲が懸っていて、トムラウシと旭岳はずっと頭を隠したままである(10)それ以外の十勝連峰、ニペソツ山やウペペサンケ、クマネシリ山塊などの東大雪の山々、武華岳や武利岳、北見富士などの北大雪の山々などは霞みながらも全て見えている。眼下に登ってきた石狩沢が見えるのもうれしい。

 新潟の男性と山談義をしているうちに次々と4名の男女が登ってくる。全員口々に私がまだ歩いたことのないシュナイダーコースの厳しさを語っているが、それぞれ私より年輩の方のようでその元気さに圧倒される。また、ここが本峰でないと知っている人もいて、空身で本峰をピストンする人もいる。1時間ものんびり休んで、稜線上に続く川上岳やニペの耳を目指してスタートする(11)

○稜線上の踏み跡

 この先の稜線を歩く人は年間何人いるであろうか?それにも関わらず、踏み跡が非常にはっきりとしているのにも驚く。ハイマツはほとんど膝下で掻き分けて歩ける程度である。源頭部には花が咲いているが、ほとんどそのピークを過ぎたものばかりである。

 石狩岳本峰を越え、沢から登ってきたコルを越え、小石狩岳(1924)を越えて、川上岳を目指す。その稜線はペテトク沢の源流部をぐるっと巻くように続いている。反対側は音更川の源流部が突き上げ、急斜面を形成している。川上岳はピークの下を通っていて、ピークへの踏み跡もないので、寄らないでそのまま進む。

 次の目標はニペの耳である。ここはニペソツがすぐ近くに見えるジャンクションピークである(12)そこが、なぜ耳なのか不明である。ここはピークを通過する踏み跡もある。そこで、目の前に聳えるニペソツを眺めながら昼食タイムにする(13)。振り返ると、ペテトク沢の源流部を挟んで、1時間半前までいた石狩岳頂上が見える(14)

 いよいよ、ここからが下山モードである。隣のピークを登り返すのかと思ったら、幸いトラバースをしながら次のコルを目指している。その斜面一面がみごとな花畑を形成している。ウサギギク、チシマフウロ、シラネニンジン、チシマキンバイ、ナガバキタアザミ、ミヤマリンドウ、オトギリソウ、シオガマギク、エゾツツジなどが咲き乱れている(15)

 再び稜線歩きとなるが。ここから先は岩稜混じりの細い稜線となる。そこを越え、1700m付近の最後のピークからは1289mの最低コルまでは標高差400mほどの急な下りが続く(16)

 高度を下げるにつれて、周りのブッシュは濃くなり、背丈が高くなるが、踏み跡ははっきりしている。ニペの耳から1時間半ほどで沼の原方面との最低コルに下り立つ。

○終章 

 ここからペテトク沢へ下りるのだが、笹薮の中にいくつか踏み跡があり、特には決まっていないようだ。少し先を進んでみて、戻ってその中の一つの踏み跡に入るが、すぐにはっきりしなくなる。適当に藪を漕ぎ分けて下っていくと、小沢地形にぶつかる。そこを下ってコルからわずか5分ほどでペテトク沢へ下りることができた。

 水量は石狩沢と同じくらいである。適当に沢の中を歩き、両岸に踏み跡を見つけては歩いているうちに、後半は古い林道跡に踏み跡が続いている。それを辿ると、沢を越えて、どんぴしゃスタート地点に到着できた。

 林道終点には車は自分の車しかなかった。ということは、日曜日にも関わらず、このルートを歩いたのは自分だけである。石狩岳の頂上以外は誰とも出会うことのない静かな久し振りの単独行の変化に富んだ8時間強の満足感に酔う。

 大満足で、層雲峡の黒岳の湯を目指し、時間的な余裕もあったので、コインランドリーを求めて旭川まで走る。洗濯後、当麻道の駅で旭川ラーメンを食べ、ビールを飲んで、そこで夜を明かす。



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