イドンナップ岳・新冠富士(1667m)  [サツナイ西尾根コースース]
99.8.14

簡単な沢から取り付き、刈り払いの行き届いた長い稜線のいくつものピークを越え、展望の新冠富士頂上へ

4:30    新冠温泉         16:20
登山     地点下山
6:30
7:10
8:00
8:55
9:30
11:00
登山道入口
二股
売山コル
岩場下
南斜面トラバース地点
新冠富士頂上
14:50
14:20
13:45
13:10
12:45
11:45
[4:30]所要時間[3:05]
日高山脈の主稜線の山々や「北海道百名山」一人歩き完登を果たしたばかりの1839峰などを別の角度から眺めたくて、日高側の支稜線・ナメワッカ山塊のイドンナップ岳を目指す。
イドンナップの稜線
  初めは、イドンナップ岳頂上までを考えて、ガイドブックでの登りだけで 7時間30もの長いコースに備え、登山口で夜を明かすつもりでいたが、天気予報があまり良くなかったので、昨年の12月にオープンした新冠温泉の駐車場で夜を明かす。

   4:30に目が覚める。その時点で、登山道入口までの距離を考えるとイドンナップ岳往復は無理である。気持ちをその手前の三角点ピークか、道のはっきりしているという新冠富士に目標を変えて登山道入り口のある新冠ダムを目指す。
登山道入口のサツサイ沢出合い
  新冠町の市街地から国道 235号線を函館方面に少し戻り、新冠川の橋を渡り、新栄方面への道々 209号線へ入る。いわゆるサラブレット銀座といわれ、競馬に興味の無い自分でも聞いたことのある馬の名前の看板が並ぶ牧場が道の両側に続く快適な道を山の方に向かう。正面には、主稜線の山稜はガスに覆われているが、その手前の長い稜線の左側に、まさに「新冠富士」と呼ばれるにふさわしい山容とその右側に延びるイドンナップ岳がはっきりと見えている(1)。

  舗装道路は泉という集落までの20km程で、さらに、新冠川沿いの未舗装の道を53kmも走ることになる。新冠ダムの堰堤を渡り、ダムの左岸ぞいの道を奥の方まで入って行く。ダムの奥の方の深い湾になっていて「札内橋」を渡ったところが、「イドンナップ岳登山道入口」の標識の立っているサツナイ沢出合(2)である。(ダム沿いの道をさらに奥へ走ると幌尻岳の新冠川コースへ続く。)
二股の上の沢を登る
   「夏山ガイド」には、そのサツナイ沢沿いの作業道を車で入り、徒渉地点が登山口のように記されていたが、7月下旬に続いた大雨のせいで、入口付近の道が大きく決壊していて、車での進入はまったく無理な状態である。

   6:30、その出合いの駐車スペースに車を置いてスタート。先に駐まっていた車は釣り人のらしく、進む作業道跡にはエゾシカの足跡しかない。恐らくこの時間では、まただれとも出会うことのない静かな山行になるのであろう。作業道を20分程歩くと、古い橋の落ちた徒渉地点へ出る。石の上を伝って対岸へ渡ると、ところどころ決壊して寸断しているが、作業道跡が続いている。5分ほど進むと、決壊した作業道が山の方へと向かっている。踏み跡もはっきりしているので、何も迷わず進むが、だんだそれが薄くなり、ついには藪漕ぎ状態となる。10分程登ったところで、「確か、沢沿い踏み跡を辿るようなことが書かれていた筈、変だな。」と思い、川まで戻ることにする。川からの取り付き地点付近は踏み跡がはっきりしているので、多分同じように間違って入る人がいるのであろう。
岩場の上までの急登
  川に戻ってみると、2mと離れていないその直ぐ先に赤いテープが下がっていて、抉れた川岸に人の登り下りしたらしい所がある。そこを登ってみると、きれいに一定の幅で刈り払われている中に踏み跡が続いている。半分諦めて止めようと思っていただけに、ほっとしてそこを辿ると、すぐに沢が二股になっていて、刈り払われた踏み跡は右股沿いに続いている。途中から、その道はズタズタに寸断しているが、沢の中の石を伝ったりしながら30分程登る(3)と、赤いテープがぶら下がり、沢から離れる尾根取付き地点へ到着する。

  そこから、なぜ突然作業道跡が現れるのか分からないが、きれいに刈り払われた快適な登山道となって大きくジグを切りながら、稜線へ向かい、20分程で、標高750mほど一番低い売山コルの細い稜線に乗る。
岩場の上から見下ろす新冠ダム
  8:00、20分くらいの無駄な時間はあったが、ここまでで1時間30分ちょうどである。これから細い稜線上のいくつのピークを越えるアップダウンの長い登りに備えて一息入れる。ずっと丁寧な刈り払いが続いており、沢から取り付く日高の山では珍しい登山道である。地元山岳会の努力に感謝しながら進む。標識などは一切ないが、急な登りにはしっかりしたトラロープが固定されている。

  いきなり急な目の前のピークを目指して急な登りが続き、それを越えると、ちょっと下って、また同じような登りが待っている。その様なパターンの繰り返しが標高 1400mくらいまで、およそ1時間30分ほど続く。このコースの一番辛い歩きである。
長い南斜面のトラバースの道
   やがて、大きな岩場の下に出る。暗くて、涼しくて、崩れ落ちそうな気配にいつも鳥肌が立つ嫌いなところである。真上を見上げると稜線の上に青空が覗き、そこを目指して大きなルンゼ状態の中の急登をロープを頼りにジグを切って緊張した登りが続く(4)。このコースの中で、もっとも緊張する所である。そこを登り詰めて、稜線のその岩場の上に立つと、反対側も同じように足元から抉れているが、眼下にエメラルドグリーンの新冠ダムの全容が見える(5)。 上空は夏の太陽が覗いているのだが、目指す方向の 1400m以上のピークは薄いガスが巻いている。果たして目的の主稜線の展望は?と心配になってくる。その辺りからハイマツが出現し、太い幹を跨いでの登りとなるが、手入れがきちんとされていて、歩きやすい。

  9:00 売山コルからちょうど1時間30分で、標高 1400mの稜線を乗越して、南斜面をトラバースする地点に到着。ここから1時間ほどは、1か所ロープが固定された急な登りもあるが、変化も標高差もあまりないダケカンバ林の笹藪の中のトラバース気味の道が続く(6)


つづく

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