太櫓岳(1063.4) A
<太櫓川沿い〜南西尾根〜中央分水嶺尾根>  山スキー  2名 12、2,20
03,3,02の中央分水嶺ルートからの「太櫓岳」

太櫓川沿いから登り返しのない南西尾根を登り、中央分水嶺に合流するマイナールートから再訪

5:30 自宅発
8:10 道々42号線
    慫雲橋手前駐車スペース   
登山
地 点
下山
 8:25
 8:50
 9:30
11:10
12:30
駐車スペース
太櫓川沿いへ
南西尾根取付き
720m分水嶺尾根
頂 上
14:20
14:00
13:35
13:10
12:50
[4:05]
所要時間
[1:30]
15:00 八雲Baさん宅   
17:00 八雲Baさん落部山荘(泊)

 この山は、八雲町とせたな町との境界線となる中央分水嶺上に聳え、遊楽部岳の北側に吊り尾根で繋がる山である(1)。山名は、太櫓川の源流部に位置することに由来していると思われる。フトロとは、角川日本地名辞典によると、「アイヌ語ではビトロで、ビツヲロの略語にて、小石のある」という意味らしい。

 今回は、厳冬期に北海道の雪山を登り歩いているyuki@埼玉さんと合流しての再訪となった。前回の03年3月のときは、道々42号線から八雲とせたな町の境界線上の中央分水嶺を忠実に辿るメジャールートだった。しかし、下の方に6つほどの小ピークがあり、下りでもシールを付けての登り返しが面倒くさかった。

 今回はそこのとに気づいたyukiさんの発案で、道々42号線から太櫓川沿いに入り、中央分水嶺の720m付近で合流する南西尾根(画像の奥から手前4本目の尾根)に挑戦した(2)結果、とても急で、ラッセルも深く、距離が短い割には時間が掛かったが、登り返しもないマイナーな新ルート開拓?とも言える快挙だった。ただし、誰にでもお勧めできるルートではない。

○まずは、太櫓川沿いから南西尾根を目指して

 道々42号線の太櫓川合流付近に駐車帯がないので、前回と同じ八雲町とせたな町との境界を越えて少し下がった所に掛かる慫雲橋手前の駐車スペースに車をデポした(3)そこからシールを付けたスキーを履いて、1.5kmの道々歩きからスタート。

 道々42号線を下って行くと、正面に太櫓川の谷間の左手前に目指す太櫓岳の頂上と、その奥に遊楽部岳の頂上稜線が見えてくる(4)
 
 道々42号線は太櫓川を渡る地点で大きくヘアピンカーブをしている。そこから道々と分かれ、太櫓川沿いへと入る。 右岸に発達している小さな河岸段丘上を進む。地図で心配した急斜面が迫っている2ヶ所ほどのところもなんなく通過。

 ただし、川は深く、ずっと流れが見えていて、ところどころにゴルジュのようなところが口を開けている(5)道々から900mほど進み、埋まっている小沢を越えると、取り付く予定の尾根の末端に到着。

 その手前の平坦部分に小規模なトドマツ林があり、その右手奥に、遊楽部岳に登ると臼別頭の北隣に尖って見える1094ピークの北面が見えている(6)


○720m付近で中央分水嶺に合流する急な南西尾根を登る


 c340地点から尾根に取り付き、ジグを切って登っていく(7)途中で一端緩むが、ひたすらジグを切っての急登が続く。幸い尾根は広い。c520の平坦な地点に到着すると、視界が開け、左手に狩場山塊が見えてくる(8)


 さらに、右側に目を転じると、鋭く天を突いて聳える臼別頭が目に飛び込んでくる(9)。この辺りから尾根は狭くなり、尾根の中央部は風で雪が飛ばされてスカブラ状になり、灌木が頭を出しているところもある。急な尾根との戦いが終わり、中央分水嶺との合流地点が近くなると、斜度が緩み、目指す頂上が見えてくる(10)

○中央分水嶺に合流し頂上へ 


 c720で分水嶺尾根に合流すると、八雲側の視界が開けてくる(11)しかし、この辺りから徐々にガスに巻かれ始めて視界がなくなってくる。雪も深くなり、ラッセルもきつくなってくる。ルート採りも地形図入りのGPSを見ながら進めるyukiさんに頼ってしまう。頂上が近くなってくると、雪に覆われて重く垂れ下がった枝や分厚く雪を纏ったダケカンバ帯へと入っていく(12)


 やがて、ダケカンバ帯を抜けると、目の前に頂上が見えてきた(13)。4時間を超える急な尾根と深いラッセルとの戦いの末、ようやく9年ぶりの頂上に立つ(14)
 前回は、目の前に遊楽部山塊の山並みが見えていたが、今回は、まったく展望が利かないのが残念である。風を避けて頂上の雪庇の下に下りて休憩。すぐ目の前で、頂上に発達した雪庇の先から吹き出す雪煙が見える。このようにして雪庇が発達する様子がよく解る(15)

○3時間の尾根登りをわずか45分で下ってしまう

 いよいよ楽しみな下山滑降である。登りでは膝頭まであった雪だが、とても軽くて、気持ちの良いターンを刻むことができる(16)

 登りで1時間20分を要したc720まではわずか20分で、さらに、その下の1時間40分を要した南西尾根を25分で下ってしまった。尾根部分だけで登りの3時間をわずか45分で下ってしまった。登りのジグ切りと深いラッセルの苦労に比べると、あっという間に下りてしまったという感じで、「エッ?もうここまで来た!」の繰り返しで、これが、山スキー登山の一番のメリットだろう。南西尾根のスカブラ状で、下りで苦労するかも知れないと思ったところも、少し雪庇側へ外すと、気持ちよく滑ることができた。

 あとは、小さな登り返しのある河岸段丘面の歩きで、道々に無事到着。スキーやリュックをyukiさんに見ていてもらって、自分は車でのデポ地点へと歩いて戻る。

 今晩宿泊でお世話になる別荘の主である八雲のBaさんのお店に寄り、報告旁々1時間ほど山談義に興じる。その後、スーパーで夕食等の買い物をして、温泉付き別荘に落ち着く。

 満足感たっぷりの超マイナーな新ルート開拓だったが、前回の記録を見たら、距離が長く、帰りのシールを付けての登り返しがあったのにもかかわらず、登り2時間半、下り1時間となっていた。そのときは、ラッセルが楽だったことや急なジグ切りの登りが少なかったこともあるが、ちょっと悔しい思いも残った・・・。


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