相泊川から古部丸山(691m) <函館市>  
相泊川ルート 5名 10,6,20
00,11,12の絵紙林道からの「古部丸山」
今年の初沢・・・古部築港の海抜0mから相泊川を詰めて、10年振りの頂上へ

4:45 自宅発
5:45 古部築港 
登山
地点
下山
  6:00
 6:55
 8:20
 9:15
10:00
入渓地点
12:30
12:15
12:00
10:50
10:30
15m滝の上
280二股
絵紙林道
集落の上
下の林道へ
絵紙林道
頂 上
[4:00]所要時間[2:00]
13:00 川汲温泉ホテル(入浴)
14:30 帰宅

地図上でのこの丸山(通称・古部丸山)は、恵山の北側に聳える端正な目を引く山である。北海道最古の一等三角点の一つでもある「点名・古部岳」が設置されている。登山道はないが、北側のc520付近を通過している絵紙林道は車で入れるので、三角点マニアを中心に結構登られている山である。私もそのルートで10年前に一度登頂している。

 今回は、札幌から『北海道の沢登り独断ガイドブック』の著者ganさんほか2名(Kiさん、Aさん)が函館まで沢遠征にやってきた。それを迎える地元2名(私とSuさん)が合流。旧南茅部の古部築港に流れ出る相泊川を遡行し、その頂上を狙おうという計画である。海抜0mからの遡行は、初体験かも・・・?

 途中、Suさんを拾って川汲峠を越える。この時期の南茅部特有の海洋性のガスに覆われた海岸線を南下して、古部大橋の下にある古部築港で札幌組と合流。船揚場の端に車を停めさせてもらって準備する。今年初の沢に心躍る。

 川口の築港の上の道路を越えて、海岸に迫る暗く急な沢へ入渓(1)。入渓して直ぐ黒くてつるんとした5mほどの滝が現れる(2)それは左岸から高巻き、その上の砂防ダムは右岸から高巻く。程なくして、目の前にいきなり現れた15mほどの垂直の滝・・・(3)。

 スタートしてわずか15分・・・この辺りの一気に海に落ち込む地形や地図のコンタの混み具合から見ても、標高100m以内に核心部が現れるのは予想できたが、それ以上の滝である。
 
 右岸からから高巻いて、滝の上を覗くと、さらに険悪な3段の滝が続いている。後続の函館組2名は沢には下りず、その上もさらに高巻いてあっさり越えた。大滝の上に下りてしまった札幌組はその上の3段の滝に挑戦・・・。しかし、いくら待っても上がってこない・・・突破の手掛かりがないようだ。Suさんが上からロープを投げ下ろして、ようやく3名が突破・・・。

 ロープ投げが上手くいかないで何度もトライしたSuさんに、ganさんから冷やかしが入ったりで、楽しいひとコマでもあった。結果的に、全員がここを越えるのに40分を要した。まだ標高70mを越えて地点である。この調子ならこの先どうなるのだろうと心配になったが、ここが最難関だった。
 
 その上からは、渓相も穏やかになり、ようやく落ち着いて、新緑に包まれた苔むした清流を味わいながら進む(3)

 やがて、鋼製の砂防ダムが現れる。ここは梯子を登るようにして突破(4)この上にも、同じタイプのものがあと2ヶ所あった・・・最後のは高度が高くてよじ登るのは怖いので端を高巻いた。

 しかし、このような工事は、どこから、どのようにして資材を運び、人が入って作業をしたのか、両岸にそのための道などの痕跡がないだけに不思議である。

 沢登りの楽しさの一つに、沢が合流する地点での現地確認がある。地図を手に周りの地形や高度計を参考にしながら、ああでもない、こうでもないと楽しいひとときである。みんなの高度計もバラバラだったり、最後の手段であるGPSも狭い沢では衛星を拾えないことが多く、役に立たないことも多い。

 やがて、先が濃いガスで覆われたゴルジュが見えてくる(5)先に険悪な滝でも現れそうな雰囲気で、何かを期待したが、この先には最後の鋼製の砂防ダムが待っていただけだった。

 標高200m辺りまでは、ときどき直登可能な小滝が現れて楽しい(6)しかし、その先はほとんどなくなり、淡々とした遡行が続く。それでも、ナメた沢床が続いたり、ペロンとした10mの滝もあったりとテンションが上がる。

 370二股で、若干左の水量が多く見えるが、地図ではどちらも山頂へ行けるので、予定通り右を進んだ。直ぐに伏流になったV字谷の沢床は一枚岩盤が続き快適な登山道を登っているようだ。

c480で沢形は尽き、藪漕ぎ10分でc520の絵紙林道に出た(7)みんな座り込み、軽い腹ごしらえをする・・・Suさんからギョウジャニンニクのおひたしや手製の燻製卵や燻製チーズ、Aさんからの大福などが振る舞われる。

 そこから少し右へ進むと、自分が10年前に薮を漕いで登った沢型があるので、そこから頂上を狙う。その取り付き口にピンクテープがぶら下がり、踏み跡が続く(8)

 頂上に近づくに連れて斜度を増し、踏み跡もはっきりしなくなり、周りの笹を掻き分けて、それに掴まりながら、約30分で草原状の一等三角点が待つ頂上に到着。沢遡行初体験の一番若いAさんがとてもうれしそうだ(9)

残念ながら、ガスで360度遮る物のないはずの展望はなし・・・。私以外全員は初山なので、恵山や函館方面への山の連なりや太平洋などの眺望を見てもらいたかった・・・。

 昼食を摂りながら30分ほど休憩。下山は、地図を参考に、絵紙林道から一部切れてはいるが、古部へ下る林道を利用することにした。

 頂上から、笹藪のない東尾根のシカ道を辿り、596ポコとのコル手前まで下り、最短距離の薮漕ぎで絵紙林道へ下りた。

 451ポコから続く微かな北尾根の薄い薮を漕いでショートカットして、古部方向へ向かう林道に出る。振り返ると、先ほどまでいた頂上が見えている(10)

 途中でフキ採りもする。下に行くに連れて林道ははっきりしなくなるが、痕跡や鋼鉄製の側溝を頼りにしながら林道の最後まで下る。

 その先から、薮を漕いで沢の中に下りる。その沢の先には、集落へ続く林道が現れるはず・・・いきなり落差15mほどの砂防ダムの上に出てビックリ・・・そこを右岸から巻いて少し尾根を下ったら、左岸に林道が現れた。

 途中で、満開のサラサドウダンを見つけてカメラに収める。これも北海道での自生はこの辺りだけである(11)

 やがて、集落の上に出て、眼下にゴールの古部築港が見えてくる(12)

 汗と泥でずぶ濡れの衣服をすべて着替えて、札幌組を見送る。函館組は、川汲温泉ホテルで汗を流し、疲れを抜いて帰路に就いた。


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