丸山(古部岳)(691m) 椴法華・絵紙林道ルート  
同行者1名  00,11,12

新雪をさらっと被った急斜面の笹藪を漕ぎ分けて、登山道のない一等三角点の地元の山へ
恵山の椴法華登山口付近からの古部丸山
絵紙林道入り口 8:45
登山地点下山
 9:35
10:05
取り付き地点
頂   上
10:40
10:20
[0:30]所要時間[0:20]

絵紙林道入り口   11:15
椴法華ホテル恵風 11:45
(入浴400円 シャンプー・石鹸付き)
帰宅         14:00
 恵山や海向山に登るといつも気になる北側にそびえる尖った山が登山道のない一等三角点の丸山(古部岳)である。恵山の椴法華コース登山道入り口付近から見ると、海の向こうにスッキリと聳える山である(1)。(10月下旬撮影)

 何年も前から登行意欲を掻き立てられ、登山の可能性を探っていたが、恵山町から椴法華へ抜ける国道の途中から入る絵紙林道を詰めて行くと、その頂上から標高差200mくらいのところまで登って行けるので、そこから適当に藪漕ぎをして行けば、30分ほどで頂上に出るという情報を掴んでいた。
タイヤで踏んでしまった熊の糞
 藪漕ぎになるので、木の葉のすっかり落ちた晩秋の方がいいと思い、前日の午後から時間があったので、とりあえず林道と登山ルートの偵察を済ませておいた。入林届けになんと北広島市のIさんという方がこの山に登山目的で10月に入っていることに驚きを感じるとともに、地元人としての登行意欲を掻き立てられることになる。さらに、一人ででもと思っていたが、前夜に「北海道の山ML」の函館地区の仲間に誘いを掛けたら、リンク仲間の上磯のNさんが同行してくれることになった。

 林道を登って行き丸山の北側に回ると、うっすらと雪の被った林道の昨日の自分の車のタイヤ痕の上に新しい熊の糞が次々と固まって落ちている。雪の上の足跡を見ると、母熊と子熊2頭のようである。昨夜か今朝方のものであろう。それが自分たちの進む林道に2kmくらいも続いていて、その間に糞の山が10カ所以上はあったろうか?自分たちの登山ルートの取り付き地点の先の林道の方にずっと続いているので、安心して準備をする。止めた車の後ろにもタイヤで踏んづけてしまった糞の山がある(2)。

 その林道の一番高い地点は標高が480mほどである。頂上までの標高差200m強である。その付近で登りやすいルートを探る。もちろん標識や目印、取り付き地点の踏み跡などは全然見当たらない。二人で地図を見て、傾斜が少しでも緩いところで、稜線が見え、頂上へまっすぐ繋がっているであろう笹で覆われた小さな沢地形に取り付くことにする。
笹藪を漕ぎ分けて行くNさん
 初めの半分は自分が先になって進んだが、さらっとした雪をバカにして失敗したと思ったことが2つ、一つは笹に雪が被っていてそれを掴んで登るために軍手では濡れて冷たくてしょうがないこと。もう一つは、ズボンが濡れること・・・であった。それほど寒くもないので、そのまま我慢して強引に掻き分けながら登るが、結構な急斜面なので、足下が雪で滑り、笹を掴んで必死に登り続ける。掴む笹があるから登れるという急斜面である。途中から見下ろすと、林道と車が真下に見える。

 後半、傾斜がきつくなり、笹も頭を越す高さになったところで、若い20代のNさんに先に出てもらう(4)。彼が掴んだ後の笹を掴むので、雪がとれてしまい手が冷たくないのがいい。頂上に近くなると灌木が現れ、行く手を邪魔する。できるだけ藪の薄いところを探しながらねらって、ようやく背丈の低い笹藪だけの斜面に出る。頂上が近い証拠である。
恵山をバックに
 取り付きから冷たい手を我慢しながら笹藪と滑る足下と格闘しながら30分、ようやく頂上へ出る。もちろん標識などあるわけでもなく、うっすらと踏み跡のようなところを進むと、一等三角点だけが埋め込まれた頂上へ到着。

 細かい雪がぱらついている中での展望であるが、南には、低くたれ込めた雲の下に、いつも逆から眺めていた恵山の荒々しい火口壁や海向山(5)。西の向こうには函館山、北に目を転じると、横津岳は雲の中、その右側奧になぜかそこだけ太陽の光を浴びて白く輝く駒ケ岳(6)・・・・・。噴火湾の向こうは残念ながら雲の中のようである。
南茅部の海の向こうに白く輝く駒ケ岳
 濡れた軍手は脱いだ方が暖かい。寒くてせっかく持ってきたビールをすっかり忘れていた。15分ほど休んで、下山開始である。登ってきた跡はすぐに見失ってしまう。とにかく方向さえ間違わなければ、下には林道がある。せっかく用意してきた赤いビニールテープも登りでは出さずじまいであった。
林道途中から丸山を振り返る
 急斜面ゆえに下りは早い早い、笹を頼りに滑って転びながらもどこに下りるか楽しみである。勘を頼りに半分ほど下ると真下に林道が見え、車も見える。登ってきたルートはずっと右側であった。右へトラバースしながら、ようやく登りで使った沢地形に出てほっとする。

 濡れたズボンを着替えようかと思ったが、やや時間的に不完全燃焼である。下りてから八幡川ルートから恵山へ登ろうかと決めて、そのまま車に乗り、林道を下る。途中で振り返ると登ってきた頂上とその南斜面が覗いている(7)。

 北海道中のいろいろな山に162山登ってきたが、日高を含め、踏み跡もない山に登ったのは、わずか30分の登りとはいえ、初経験の印象に残る山である。ただし、今夏、増水した日高のエサオマン下山中の背丈の3倍もあるようなもっともっと凄い急な笹藪を漕ぎ分けた40分ほどの大高巻きの方がもっときつかったが・・・・、但し、雪があるというだけで、また別な冷たさとつらさを味わうことができた。Nさんの「時間の割には、印象に残る山だった。」という声がその思いを象徴的に表していた。

 下っていったら、恵山に雲が懸かり、雨まで降ってくる。諦めて、椴法華のホテル恵風の温泉に入って、汗を流し、冷えた体を温めて、帰路に就く。


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