東大雪・丸山噴泉塔(1020m)  幌加川五の沢コース  単独  03,7.5

念願の東大雪唯一の活火山・丸山の深い懐に抱かれて静かに息づく噴泉塔を見て、その後丸山登頂を目指すも、度重なるアクシデントで途中撤退してきました。

7/4
16:00 函館・自宅発
     (高速利用)
22:30 糠平温泉公営駐車場
     (車中泊)
7/5
4:00 糠平温泉公営駐車場発
4:30 幌加音更林道・望山橋1km奥
登山地点下山
4:50
5:30
6:30
車デポ地点
五の沢へ下りる
丸山噴泉塔
12:00
11:20
10:20
[1:40]所要期間[1:40]
13:00 糠平温泉入浴

 東大雪の名峰ニペソツ山の南に聳える丸山は東大雪唯一の活火山である。そのシンボルが、上士幌町指定の天然記念物である丸山噴泉塔である。石灰華堆積物が形成され、最大で基底から1.55mの三重構造で、現在も活動を続け成長しているという。

 次の日に、鹿追町と新得町の境界線上に聳えるピチカシナイ山への誘いを受け、そのついでに、前日にこの噴泉塔探訪とニペソツを南隣から眺める丸山登頂を計画して、金曜日の夕方自宅を出る。国縫から夕張まで高速に乗り、東大雪の山に登るときによく利用する糠平温泉の公営駐車場まで走り、そこで夜を明かす。

 朝寒くて(外気温7℃)目が覚めると、天気予報に反してすばらしい好天である。寝直しできそうにもないので、4:00に駐車場をスタート。朝日に輝くウペペサンケ山を眺めながら国道273号線を北上する。送電線の下にやはり朝日を受けて輝くニペソツ山が見えて直ぐ左側に、6個ほどの林道の説明板の一番下に「噴泉塔」と書かれた幌加音更林道の入り口がある(1)。

 入り口にロープが張られていて立ち入り禁止の看板が立っている。しかし、この情報は数日前にひがし大雪自然ガイドセンターからいただいており、営林署に電話して確かめたら、「外れるようになっていますので、通ったあときちんと掛け直して下ればいいですよ。」との返答をいただいていたので迷わず通過することができた。

 整備された快適な林道を進むと、右手の樹間にスポッと収まった形で朝日に輝くニペソツ山が覗く(2)。いくつかの分岐があるが、地図を頼りに幌加川沿いに進み五の沢と六の沢の合流地点の望山橋を渡る。これまで得た情報ではこの橋の左側の林道の側の駐車スペースに車を置いて歩くらしいが、その先の林道も結構走りやすそうなので、RV車の特権を生かして恐る恐る入ってみる。1km弱の二つ目のヘアピンカーブの外側に3台ほど車を置けるスペースがあるので、そこに車をデポし、出発の準備をする。

足はそれほど深くない沢歩きと丸山への藪漕ぎに備えてスパイク長靴にする。五の沢を挟んで真南にはウペペサンケ山が聳えている。

 その先の林道跡をちょっと登っていくと、崖崩れや足下から抉られるように決壊しているところがあるので、ちょうどよいところに駐車できたことがうれしい。やがて、フキ原に入って行き、小沢の中を歩いたりするが、踏み跡ははっきりしている。ひとつ大きな沢地形を巻くようにして、林道跡は続き、やがて眼下に深い五の沢が覗けるようになり、左手にはウペペサンケ山が望まれる(3)。その後はだんだん緩やかに下って行き、コンタ950mで右から小沢が合流する地点で五の沢に出て、作業道跡は終わり、沢歩きとなる。車を当初予定の望山橋から1kmほど奥に入れたので、30分ほど林道跡歩きが短縮されたことになる。

 川底は赤茶気て、水はオレンジ味を帯びた白濁した流れで汚い感じである。少し温泉臭があるが水は冷たい。後半に小さな滝や樋状になって流れが狭まっているところがあり、ちょっと緊張はするが(4)、総じて沢登りとしては難しいところはなく、長靴で十分である。ところどころに赤いテープもぶら下がっているし、河畔が広いところには踏み跡もついている。

 沢歩き1時間弱で、コンタ1000m附近で二股になり、右からより強い白濁した沢が合流する。そこで本流と別れ、そちらへ入っていくと平らで広くなり、右岸の踏み跡を辿ると直ぐに温泉臭が強くなって、目の前に温泉堆積物の白く平らな石灰華ドーム?のようなものが見えてくる(5)。その広い白い扇状地状の堆積物の上を黒っぽい温泉が流れ、上に乗っても埋まらないのでその上を歩いていくと(6)、池の落ち口につき、すぐ左に噴泉塔がある。その周りにはロープが巡らされ、その上に踏み入れられないようにしてある。

 塔の一番大きなものが2mほどで、一年に7cmほど成長しているそうである。他にもいくつか小さな槍のような塔ができて、全体が乳白色をした石灰質の堆積物の塊である。塔の先端からは鉱泉が間歇的に微かに湧き出している。トムラウシ温泉にもあるが、崩壊もまったくなく、スケールも大きいし。色もきれいな白である。池は中からブクブク温泉が沸き出ている。池全体も真っ黒で、噴泉塔の直ぐ横から真っ黒なお湯が流れ出ている(7)。

<その後、度重なるアクシデントで、途中撤退した丸山>
 まだ時間的に6時30分でもあり、15分ほど休んで、丸山登頂へと出発する。

 頂上へは、この噴泉塔の流れへ右側から合流する沢を遡行するルートと、五の沢本流まで戻ってその沢を左側から遡行するルートがあるらしい。五の沢本流をピストンした情報や、その沢を登り、帰りに右股沢へ下りてきた情報を把握していたので、できれば、右股沢から登り、下りは本流の左側の沢の計画で出発する。

 この後、いくつかの複合的なアクシデントに見舞われ、結果的に途中で撤退することになるのである。
 まず、情報としてつかんでいた遡行する沢の概念図の途中に赤い6mほどの滝が記されているので、その滝が合流する沢に入ってしまったのが第1弾。その滝に取り付くときに変だとは思い、戻って本流の方からと迷ったりもしたが、こんなときに本領を発揮する、ルートを入れてきたGPSが最初からなぜか衛星をつかめなくて、現在地や高度を確認できなかったことが第2弾。さらに、やがて、本来は源頭まで詰めるとその先に頂上まで続くはずの沢地形がなくなり、藪の中に入っていく。高度は結構稼いだので、戻る気にもならず、そのままあまり濃くない藪を直登していく。ロックガーデン風のところを抜けると、ハイマツ帯に突入する。しばらく、ハイマツの海を泳いだが、今度は地図やメモしてきたものを落としてしまう。これが、アクシデントの第3弾目である。

 しかし、時間的な余裕もあるので、1400附近のハイマツ帯をトラバースして、左側の沢地形のルートへ移動しようとしている最中に両足の内股が攣ってくる。これが極め付きの第4弾。初めは騙し騙し休みながら藪漕ぎをしているうちに、だんだん症状が強くなって来る。無理できない状態である。まだ、9時過ぎでもあり、度重なるアクシデントにモチベーションが完全に失せてしまう。時間的に余裕があるのに残念であるが、途中撤退することに決める。その地点から噴泉塔を挟んで五の沢本流の沢をめがけて藪を漕ぎながら下る。その途中で、なぜか突然、GPSが動き出す。すでに用をなさない状態である。10時には沢に下り、そのまま噴泉塔からの沢の合流地点まで下り、休憩して、来た沢を戻り、車のデポ地点へ戻る。まだ12時である。

 とうとう最後まで誰とも会わず、望山橋の駐車スペースにも1台の車もなかった。その後、ゆっくり糠平温泉に入浴し、両足のリハビリと、藪漕ぎでできた手足の傷の治療?に当たる。


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