不二山(ふじやま)(496.9m)<北斗市>

<道々29号線(西股林道)〜北東尾根〜南尾根ルート> 単独  スノーシュー 12、4,10
山名に興味を惹かれて、今は開かずの道々29号線を辿り、北東尾根から南尾根へと向きを変えて登頂

6:00 自宅発
6:40 東股林道分岐(通年ゲート) 
登山
地 点
下山
6:50
7:35
8:20
8:40
9:05
ゲート(除雪終点)
尾根取り付き
・333ポコ
c400ポコ
頂 上
10:40
10:05
 9:45
 9:35
 9:15
[2:15]
所要時間
[1:25]

11:10 矢不来天満宮
12:10 花の湯(入浴)
13:00 帰宅

北斗市茂辺地川上流の湯の沢川と西股川の間に位置する山である。その奥の09年に登った袴腰山から見ると、南側の桂岳の手前に見える急斜面を抱いた山である(1)。 

 興味を惹かれる山名の由来は不明だが、地形図から察するに、今は通行止めになっているが、安政年間からあった道々29号線(上磯厚沢部線)の梅漬峠辺りから眺めると、富士山のように見えるのかも知れない?

 登山道はないので、積雪期がベストの山である。しかも、南尾根以外はとてつもない急斜面に囲まれていて、それ以外からのアプローチは不可能である。西股川沿いの道々29号線(上磯厚沢部線)から南東隣の細長いc400ポコへ繋がる尾根を登り、そこから源頭部を巻くように南尾根へと進むのが良さそうな感じだ。ただし、東股林道分岐の通年通行止めゲートまで除雪されていればの話である。なお、湯の沢林道からのアプローチも可能だが、林道歩きがかなり長い。

 一昨日の道々29号線偵察の結果、そこまで除雪されていたので、トライすることにした。すでに登っているSHOさんたちは、道々の奥からc350ポコへ直接繋がる北尾根へ取り付いているが、地形図をよく見たら、かなり手前から標高点333ポコへの北東尾根に取り付いてすぐ西隣の350ポコへと進む方が距離的に近い。しかも、斜度が緩そうなので、このルートにトライしてみた。

 東股林道との分岐が、現在の通年通行止めゲートである(2)東股林道のすぐ先までダンプカーが頻繁に走っているところをみると、新幹線工事の土砂でも運んでいるようだ。

 前日の雨とプラス気温のため、道々もかなり埋まる。そこで、かんじきをリュックに括り付けて、スノーシューでスタートした。結局かんじきは使うことはなかった。考えてみたら、スノーシューは妻用に買ったもので、自分で使うのは初めてだったような気がする。道々歩きだけスキーも考えたが、帰りの登り返しがあるのと、距離もわずか2kmほどなので止めた。

 道々にはカーブミラーや標識の埋まり具合からすると、まだ1mほどの積雪があるようだ。数日前のものと思われる複数のスノーシューのトレースが残っていた。しかし、山へは登っていなかったので、熊打ちのものかも知れない(3)


やがて、正面に目指す不二山東面の雪崩れ斜面がが見えてくる(4)

 2kmを45分ほど掛けて歩き、川が大きく蛇行するようにカーブする少し先で、取り付く予定の・333ポコへの北東尾根に出会う。幸い、その左側に林道が続いている(5)

 しかし、その林道は、すぐその上の尾根の平らになっているところで終わっていた。その先の急な尾根を登り切ると斜度が緩む。忠実に尾根を辿って行くが、そのまま登り詰めると左側のポコへ登ってしまうので、途中から右側へ進路を変えて、緩やかな源頭部をトラバースするように、・333手前のコルを目指して登っていく。

 このコルから・333ポコ一帯は、きれいに植えられ、手入れが行き届いている感じの気持ちよいトドマツ林が続く(6)

 やがて、トドマツ林に覆われた・333ポコに到着。少し下って、c400ポコへのこのルート最大斜度の急登に差し掛かる。しかし、雪がザクザクでかんじきに履き替える必要はなかった。

 左側へトラバースしながら登れば、不二山南尾根とのコルに近いのだが、急斜面なので、諦めて尾根をまっすぐ登った。


 
 c400の等高線が細長く延びるピークへ登り詰めると、源頭部を挟んで、全層雪崩れ斜面を見せる不二山山頂とご対面(7)一息入れて、細長い稜線をそのまま左へ進み、コルへと下っていく。コルから眺める源頭部は木が生えてなく、快適なオーオウン斜面が広がっていた。その向こうに袴腰山が見える(8)
 コルを越えて、比較的緩やかで広い南尾根を登っていく。頂上が近くなると、斜度は緩むが、右側は崖状に切れ落ちていて、覗きこむのが怖いくらい。(9)


頂上から眼下の道々29号線を挟んで聳える袴腰山とご対面。3年前の同じ頃に登ってこちらを眺めたことが懐かしい。そのときに比べると、今年はかなり雪が多い(10)


 残念ながら、昨日から到来した黄砂の影響で、遠望は霞んで見えない。ひと月ほど前に登ってやはりこの山を眺めた鏡山(左奥)はかろうじて見えるが、そのすぐ右手に函館山が目をこらしてようやく微かに見えるだけである((11)当然、その左側に横津連峰も見えるはずだが、まったくそれらしいものは見えない。すぐ近くの桂岳(12)と当別丸山(13)は、頂上からは木が混んでいてよく見えないので、コルまで下っていく途中ではっきりととらえることができた。

 往復4時間弱、下山しても、まだ11時前だった。もっと時間が掛かると思ったので、ちょっと呆気ない不二山だった。茂辺地へ出てt、歴史的由緒のある矢不来天満宮とその周辺の歴史探訪も楽しんで帰路に就いた。温泉は、函館へ戻って花の湯。

<今は開かずの道々29号線(上磯厚沢部線)の歴史>
 なお、道々29号線(茂辺地厚沢部線)と梅漬峠だが、古くは、アイヌは、茂辺地越え、茂別越えと呼んでいた安政年間からある山道で、戦後になり、1949(昭和24)年に改修工事が完了し、1954(昭和29)年に道道に認定された。しかし、2005年から落石の恐れや崖崩れなどで、現在に渡って長期間通行止めが続いている。

<梅漬峠の由来>
 物資運搬の人夫たちが、この峠で一休みし、昼食を取り始めると、自分たちの荷物の中に梅漬の樽があるのに目を付けた茶目っけの一人が、「殿様に叱られてもしかたなかんべ」と言って、樽の中の蓋をとってつまみはじめると、他の連中も「俺さも一つ」と手を出して「うめ〜梅干しだな〜」と一同笑いさんざめきながらちょうだいしたという昔話から「梅漬峠」と呼ばれるようになった。


「北海道山紀行・目次」へ   HOME

inserted by FC2 system