幌別岳(892.3m)<蘭越町>  蘭越町名駒・ツバメの沢林道コース  単独 03,8,17

昨年、頂上まで一等三角点の測量のために刈り分け道ができたとの情報をもとに、単独で登ってきました。後半は笹原の中に続く迷路もどきの稜線歩きですが、ニセコ周辺の眺望が見事です。

5:45 函館(自宅)発
8:10 蘭越町名駒
8:25 林道終点
登山地点下山
8:30
9:10
9:50
11:00
林道終点
615分岐
830ピーク
頂  上
13:20
12:55
12:30
11:30
[2:30]所要時間[1:50]

14:30 黒松内温泉ぶなの森(入浴)
18:00 帰宅

 この山は、尻別川を挟んでニセコ連峰の南側に聳え、函館からニセコ方面へ向かうときに蘭越町に入る辺りから日本海側に見える800〜900mほどの高さの長い稜線で連なる山塊の最高峰であり、一等三角点の山である(1)。この稜線は蘭越町と寿都町の境界線でもある。

  「幌別」とか「幌別川」という地名は、アイヌ語で「大きな川の意」であるので北海道中あちこちにあり、この山名もたくさんありそうだが、国土地理院の地図で検索を入れたら、2万5千の地図に記載されているのは唯一この山だけであるのがちょっと驚きであった。この山名も日本海に流れ出ている幌別川の源流の山に由来するようである。地図に記載はされていないが、岩内岳と雷電山の縦走路の途中のピークに同じ名前の標識があった。

  今春、沢からこの山へ登った『地図がガイドの山歩き』のSaさんから、「多分、一等三角点の測量のためであろうが、地図上に登山道の記されている830ピークから頂上まで立派な刈り分け道ができていて、下山はそこを下ってきた。」という情報をいただいていた。日帰り圏内でもあり何度か計画したが、天候に恵まれなくて4回目でようやく頂上に立つことができた。

  朝、函館を出て取り付く林道がある蘭越町の名駒地区を目指す。名駒市街地から名駒・田下線の南側300mほどのところで目名川に合流するツバメの沢の橋がある。その橋の左岸に沢沿いに山側に向かう舗装道路がある。その道路沿いに民家が点在するが、やがて林道に姿を変え、標高320m附近の谷あいが迫っているところまで続いている。林道終点は広く、車数台が置ける広さであるが、最後の部分の道が荒れているので、普通乗用車は手前100mのところにある1〜2台ほどの駐車スペースに置いた方が良さそうである。

 林道終点から取り付く道が二つある。沢に下りていく道と尾根に向かう道である。地図上に記されている昔の道は沢の方に下りていく道である。ちょっと進んでみたが、草ですっかり覆われていて、道も昨年測量で多くの人が歩いたとは思えない程度の踏み跡で不安になってくる。戻って尾根に向かう道の方に入ってみる。こちらは、明らかに伐採道でかなり多くの人が歩いた道であり、その道を中心に伐採道が両側にたくさん付けられている。ピンクのテープもぶら下がっているので、多分測量の人たちはこっちの道を使ったに違いないと判断して進む。初めは古い道と離れて行くので不安になるが、やがて方向を変え、古い道の付いている尾根と合流する尾根の上にその道は続いている。途中に鈴なりのキイチゴの実を見つけ、少し摘んで口に入れてみる。子供の頃の懐かしい味である。

 標高600m附近で伐採道は終わるが、その先にテープが付けられ、明らかに刈り払いされたと思える新しい道が続いている(2)。尾根が合流する615地点で、古くからあると思われる道と合流する。そちらを見ると、昔からかなり歩かれたまさに立派な登山道である。下山は、こっちの道を下りてみようと思う。その直ぐ下に、「ブナの北限保護林・北海道」という立派な看板が立っている(3)。帰宅してから、この辺りの道有林を管理している後志森づくりセンターに問い合わせたが、この道自体も自分達が管理している道でなく、自分たちの地図には載っていないし、その道の目的も看板の存在もその由来も知らないとのことである。ただし、新しい刈り払い道は測量のために昨年から今年にかけて整備したが、この後は一切整備はしないとのことである。行くなら今年か来年辺りまでであろう。

 その上にも一級登山道と思われる快適な道が続くが(4)、やがて、笹薮に繋がり、刈り払い道へ続く。しかし、830ピークまでは概ねすっきりとした灌木帯の尾根上の刈り払い道状態であり、主に東側の展望が広がり、羊蹄山やニセコ連峰、昆布岳などを眺めながらの急登である(5)。

 1時間20分で三等三角点の設置されている830ピークに到着する。そこでようやく目指す頂上との対面である。はるか向こうの頂上まで続く笹原とハイマツの海に覆われた緩やか稜線の中に真新しい刈り払い道がくっきりと見えている(6)。頂上の西側に狩場山と大平山が見えている。

 一度下ってダケカンバ林のコルを抜けると、再び次のピークを目指しての登りとなる。この辺り一帯は背丈の3倍ほどもある笹原で、タケノコ時期には背負いきれないほどの立派なお土産ができそうな感じである。足下は概ね根元から10〜20cmくらいの高さで刈られているので、その上を歩かねばならず、右によろよろ、左によろよろと非常に歩きづらいし、転んだら痛いと思うと転びたくない状態である。幅は3〜5mほどで比較的広く刈り払われている。

 突然道が直角に曲がったりで、ハイマツ帯を避けるように迷路のような道が続く。次のピークの手前から地図上の昔の道は北側の尾根づたいに幌別川の方へ続いていることになっているが、いくら探してもその痕跡は見つけることはできなかった。一面の笹原とハイマツの海の中になんのための道であったのであろうか?日本海側への山越えの道であったのであろうか? そんなことを考えて振り返ると眼下にゆったりと流れる尻別川が見え、それを挟んだ雷電岳や目国内岳が見えている(7)。

 その後、小さなポコを2つ越え、地に足の着かない踊り歩きといった感じでひたすら頂上を目指す。頂上が近くなると笹の丈も低くなり歩きやすくなる。最後の急登を越え(8)、少し進むと、広く刈り払われ、一等三角点の設置された頂上へ到着する(9)。ちょうど2時間半であった。頂上の片隅に、余市岳で見たような朽ちかかった昔の測量小屋の廃材などが整然と積まれている。これって、持ち込みはするけど、どうして撤収しないのであろう?

  頂上に着いた頃から南風に運ばれてくるガスに巻かれ、周りの眺望が遮られてしまうが、上空は晴れているのでポカポカ暖かい。昼食がてら30分ほど休み、下山開始する。そのころになると再びガスが晴れてきて、ニセコ連峰を眺めながらの下りである(10)。下りは概ね刈り払われた笹の根元が下を向いているので、それを上から踏んづけて歩くので、登りよりは歩きやすいのがちょっとうれしい。

  ちょうど一時間で830ピークへ戻る。ここまで来ると下り一方なのと、歩きやすい道なのでホッとする。615の分岐で、今度は古い道を下る。なんのために人が歩いたのか分からないが立派な登山道である。ただし、顕著な尾根でなく急斜面にまっすぐ付けられているので、かなりの急な下りである。登りは絶対私が歩いた尾根の伐採道利用の方が緩やかで楽である。やがて、斜面をトラバースして沢に近づくと、丈の高い草が道を覆い始め、手探り足探り状態の歩きになる。沢沿いに下りても踏み跡ははっきりしているが、草が覆い尽くし、非常に歩きづらい。2度渡渉してようやく林道終点に到着。もちろん誰とも出会うことはない静かな山であった。帰りは、黒松内へ出て、黒松内温泉ぶなの森に入って、帰路に就く。



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