冷水岳(1174m〉〜熊石岳(1082m)〜白水岳(1136m)B (一周縦走) 
[平田内温泉コース]  96,10,10 天候 晴れ
 
初めて無線交信をしながら、開削まもない紅葉の「道南のアルプス」の一周縦走路を巡る。
6:00自宅発
時刻地点
8:00
9:30
10:35
10:50
11:10
12:20
13:10
13:45
14:45
16:15
16:35
冷水岳登山口
屏風岳(938m)
冷水岳(1174m)
〃 発
奥冷水岳(1144m)
熊石岳(1082m)
白水岳(1136m)
 〃 発
白泉岳(1043m)
白水岳登山口
冷水岳登山口 
[8:35] 所要時間
(食事。休憩も含む)
16:50平田内温泉(入浴)
19:10帰宅 

  「道南アルプス」・・・熊石山歩会が最近6年間かけて登山道を開削したヤンカ山、白水岳、冷水岳、熊石岳、見市岳(遊楽部岳)などを巡る山々に自分たちで名付けた総称である。今回は、紅葉の冷水岳を目指した山行であったが、ひょんなことから熊石岳を経由し、白水岳コースを巡る
1000m級の6つものピークを越える長い一周縦走登山となってしまった。
 屏風岳lから望む冷水岳の雄姿
 冷水岳登山口に着いて準備をしていると、上の白水岳の登山口の方から車で下りて来た人が登山届けを見ている。聞くと熊石山歩会の方で、白水岳手前の白泉岳町民登山会の参加者を送って戻ってきたとのこと。会長のNさんもそちらにいるとのことで、無線の交信周波数を教えていただいてスタートする。
 
 ちょっとの間林道を歩くが、直ぐにトドマツ林の中に入り、暗い急斜面の道を登る。山容から予想はしていたが、かなりきつい登りがずっと続く。しかし、足取りは快調である。途中で登山口で出会った方と登山会に参加している方との無線の交信を拾ったので、こちらからコールを入れ、Nさんとの交信を申し入れる。Nさんはスイッチを切っているらしく、登山会に参加している山歩会のIさんという方が応じてくれる。この方には、この後、冷水岳の頂上まで交信のお付き合いをしていただく。現在地を知らせると、その後にある注意箇所を教えてくれる。無線で交信しながらの登山は初めての経験だけに嬉しかった。

 トドマツ林を抜けるとブナの大木が目立つ尾根道に出、一時傾斜が緩んだところで三叉路に出る。ようやく日本海の梅岸線や谷向かいの白水岳への稜線と紅葉の山肌が樹間から覗く。再び、この尾根にしか登山道をつけるのは不可能だから許せると思うほどの急な道である。しかし、ブナ林特有のふわふわした足元と両側に広がる展望がそのきつさを和らげてくれる。
 珍しい頂上標識
 ちょうど1時間半で最初のピークの屏風岳に到着。コルを越えた表面に紅葉に彩られ、岩肌を所々にさらけ出す意外に荒々しくも形のよい冷水岳の姿が望まれる(1)。今度は足元が両側から切れ落ちる感じの細い紅葉の稜線をコル目掛けて下り、何度か急な小さなピークを登り下りして、最後のやはり急な登りにかかったとき、無線が入り、現在地を聞かれる。すると、「もう直ぐ、ロープが設置されている最も危険なところです。気をつけてください。Nさんがこちらの頂上に着いたら、無線を入れさせます。」「ところで、今日は冷水岳だけ戻られるんですか?」と聞かれ、その積もりだった気持ちがぐらつく。「せっかく彼等が頑張って開削した道だ、白水岳の方へ回ってみようか。」と思い、「まだ決めかねていますが、回ってみようかと思っています。」と答えてしまった。

  まもなく、ロープの固定された岩の露出した痩せ尾根を通過してまもなく尾根が直角に折れ、表面に遊楽部岳がゆったりと寝そべったように見える所に出る。道が折れている上を見ると曲がりくねったダケカンバの幹に掛けられた立派な頂上標識が目に入る(2)。2時間半ちょっとで冷水岳到着である。無線を入れると「速いですね。そのペースなら2時間はどで白水まで行けますよ。」と言い、こちらから見える登山道や辿るルートの様子と時間設定をしてくれる。交信を付き合っていただいたお礼を述べ、20分程休憩するもNさんからの無線が入らない。諦めて次のピーク奥冷水岳とのコル目掛けて下り始めてようやく彼からの無線が入る。この間の資料を送っていただいたお礼と冷水岳の登山道の感想を話す。こちらへ反対回りで向かっている2組がいるとの情報もいただき嬉しくなる。
 これから回る白水連峰
 コルを越え、笹薮の中の曲がりくねった幹のダケカンバが印象的な新しく足元が落ち着かない急な道を刈り払った笹やその根っこに足を取られながら登り切ると奥冷水岳の頂上である。 これから回って行く白水連山が谷を挟んで見えている(3)。今度は、嫌になるくらい標高差のある熊石岳とのコルを目指して急斜面を下る。コルから振り返ると三角錐状の奥冷水岳と冷水岳が重なって見える。周りの紅葉を眺めながら熊石岳へのきつく長い登りを進む。熊石岳の手前で休んでいる50代後半の夫婦連れに出会う。これから進むコースの情報を教え合って別れる。
 
 熊石岳は表面に平田内川の谷を見下ろし、両側に冷水山と白水岳の稜線と山肌を眺められる位置にある。今度は見市岳への分岐を目指して緩い斜面を下る。この辺りがこのコースで最も新しい所で、刈り払った笹の上を歩く道である。やがて、3年前に白水岳から下りて来たことのある分岐を越え、白水岳への登りに差し掛かる辺りで沢に下りる水場への分岐に到着。ポリタンだけを持って沢まで下り、冷たい水をたらふく飲み、汲んで戻る。
 
 そこから尾根道を登り、最後の珍しく電光型の道がつけられている白水岳への急な登りを休み休み登る。ようやく、3度目の白水岳頂上に到着。もちろん誰もいない。 早速、ガスでお湯を沸かし、最近定番となった昼食をとり、35分ほど休む。あとは、3回目の下りとなる3つの峰と二股の滝からの急な登り返しがちょっときつい2時間半ほどの行程である。
 ブナ林の紅葉
 ところが、下り始めて、9月の無理して日帰りしたカムエクの次の日、羅臼岳の下りで感じた右膝関節の外側の痛みが出る。きついはずの登り返しではその痛みから解放されるが、下りが辛い。庇いながら歩いていると左膝まで痛くなる。だましだまし痛みに堪えながら、中白水と南白水の二つのピークを越え、白泉岳の笹薮の中の急斜面を下り、楽しみにしていたブナ林の紅葉の中に入る。やはり美事な紅葉である(4)。そこで落ちている木の枝で2本の杖を作り、両手にストックのように持ち、膝へのショックを和らげながら下る。結構効果があるもので、登山ストックの効用を実感する。(この後、ストックを購入する)

 二股の滝の上のロープの固定されている急斜面はロープにしがみつきながら登り姿勢の後ろ向きになって下る方が膝が楽である。 二股の滝で水を飲み、休憩したあとは、0.5kmごとに表示される標識と登山口に出て急な下りから解放されることだけが楽しみな下山である。左眼下に露天風呂の施設が見えてほっとする。
 
 冷水岳登山口から8時間15分、ようやく白水岳登山口へ到着。早速、Nさんに無線で呼び掛けてみると応答がある。無事の下山を知らせ、車を置いてある冷水岳登山口に着く手前で、熊石岳下で出会った夫婦連れに再び出会う。この人達もかなりの健脚である。お互いに無事下山できた満足感に満ちた笑顔で健闘を称え合い別れ、平田内温泉で汗を流し、帰路に就く。
 

白水岳(白水岳登山口からの往復登山)

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