東斜里岳(1452峰)<頂上直下で登頂断念> 
  
<根北峠〜東尾根ルート>  山スキー&ツボ足&アイゼン  2名  09、3,17

根北峠から斜里岳東稜を目指したが、壁のような東斜里岳の頂上直下で断念・・・

 5:00 斜里道の駅発
 5:30 根北峠
登山
地 点
下山
5:40
7:10
7:40
9:05
根北峠(490)
森林限界(750)
スキーデポ(1070)
岩場下(1320)
11:55
11:20
11:10
10:30
[3:25]
所要時間
[1:25]
※SHOさんは、1400付近で断念
下山後、峠を挟んだ留辺斯岳へ

 細い岩稜が突き上げている冬季の斜里岳はどこから登っても厳しい山である(1)比較的多く登られているのは北西尾根のようであるが、日帰りは難しい。最短距離は、今回挑んだ根北峠からの東尾根であり、途中の1452ピークは通称・東斜里岳と呼ばれている。自分的には、斜里岳は2回、南斜里岳は1回登っているので、この東斜里岳だけでも登れればとの思いで、SHOさんの計画に乗じた。

 いろいろ情報を集めているうちに、東斜里岳頂上直下の岩場やその上の壁のような地点はかなり難しいことが判明。自分単独ではとても無理だが、若い頃、ヒマラヤの6〜7000mを単独やグループでいくつも登頂しているSHOさんのフォロー頼みでの挑戦となった。

○広大なエゾマツとダケカンバの林を進む

 アイゼン、ピッケルはもちろん、ハーネスやカラビナ、45mと20mのロープ、バイル、木のないところで雪面に刺してロープを固定するスノーなんとかなどの物々しい用具や装備を持参し、夜明け前の根北峠を出発。

 雪面は全く埋まらない堅雪だが、帰りの緩みを考慮して、自分は山スキー、SHOさんはかんじき持参のツボ足でスタート。概ね根室支庁と網走支庁の境界線上をまっすぐ進むが、とにかくだだっ広い緩やかな尾根である。昨日の物と思われる2人のスキーのトレースが残っているので、それを辿って進む。歩き始めてまもなく後から太陽が昇る(2)

 見通しの利かないエゾマツとダケカンバの林の中を高山帯の雰囲気を楽しみながら黙々と進む。時折目指す方向に東斜里岳の頂上部分が覗くことも・・・・(3)いつになったら、この林から抜け出せるだろうと思うほど変化のない前進である。どこからかやってきたのか、禁止地域のはずなのに、スノーモービルのトレースも出てくる。
 
 やがて、斜度が増して、尾根も狭まってくると、展望が開けてくる。目の前に南斜里岳と東斜里岳、それぞれに繋がる尾根が見える(4)

○東尾根を辿って

 c750付近でようやく森林限界を抜け、顕著な東尾根に乗る。これから辿る尾根の左手に目指す東斜里岳が見えてくる(5)
斜里岳本峰は東斜里岳の陰で見ることはできない。

 灌木状のダケカンバ尾根を登っていくとc1070ポコで尾根が合流する。そこにスキーをデポすることにして休憩。谷を挟んだ左手奧に南斜里岳とその稜線がくっきりと見える(6)

 昨日の物と思われるスキーのトレースはすぐその先で終わり、その先には足跡が見当たらない。どうやら、東斜里岳へは向かわず、そこから引き返して滑りを楽しむためにやってきたようだ。

 端正ながらも厳しさを見せる東斜里岳を正面に眺めながら歩を進める。嫌でも、難所と言われている頂上直下の岩場やさらにその上の壁のような急登に目が向く。この辺りからの目視では、まだなんとか登れそうな感じに見え、モチベーションを高めながら向かっていく(7)雪庇のほとんど発達していない緩やかな幅広尾根ではあるが、ハイマツ帯のようで、時折踏み抜きがあり、非常に疲れる。

○岩場の下で・・・
 
 厳しい表情を見せる頂上がどんどん近づいてくる。遠くから眺めていたときは何とかなりそうな感じに見えたが、近づいてみると岩場やその上の壁が巡らされているような急登がかなり厳しそうだ(8)普通は、遠くから急に見えても、近づくと意外に緩かったりすることが多い。しかし、ここは、近づくに連れて段々急になっているように見える。

 途中でアイゼンとハーネスを装着し、岩場の下に到着。岩場の横はかなりの急斜面ではあるが、ハイマツ帯のスカブラ状態なので、下りはともなく、登りは何とかなりそうである。しかし、SHOさんは安全を期してランニングビレーを取りながら45mロープを設置してくれる(9)

 いざ登ろうと思った頃に、それまで青空が広がっていたにも関わらず、急に南斜里岳やその稜線を越えてきた濃いガスが辺り一面を包んでしまう。どうも、一時的なものでなく、回復の見込みはなさそうな感じである。一気にモチベーションが下がってしまう。ここは何とか突破しても、その上の壁のような所は、かなり難儀しそうに見える。

 足手まといになりそうな感じなので、自分はここで断念し、SHOさん一人で進んでもらうことにする。「東斜里岳まで行って戻ってきます」とガスの中に消えていった。

 しかし、彼も視界のない中で、その上の最難関の急登に挑んだらしい。アイゼンの前爪2本しか掛からないほどの堅さだったので、無理をせずに断念したとのことで、40分ほどで戻ってきた。足を引っ張ったようで申し訳ない。しかし、急なガスは「それ以上は無理するな!」という忠告だったのかもしれない。見た目にも頂上直下は自分には無理だと思ったので、悔しさはないが、斜里岳未踏のSHOさんはちょっと悔しそうだった。

 岩場から少し下ったら、ガスの中から抜けたが(10)最後まで南斜里岳や東斜里岳、本峰も上の方は雲の中に隠れたままだった。予定の時刻より早い下山になりそうなので、SHOさんの提案で、根北峠を挟んで眼下に見える留辺斯岳に登ることにする(11)速いスキーの自分が下山して、40分後に彼も下りてきた。まだ13:00前だった。

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