続‥40日間の「心の旅」を振り返る

もう少し具体的なことでの問い合わせ等も多いので、
つたない自分の経験をもとにした、さらに細かな情報を記録しておきます。

<通し打ちと区切り打ちと体や足の慣れ>
 遍路には、車遍路にも歩き遍路にも、私のように一気に88ヶ所を打つ「通し打ち」と、休暇ごとに区切って繋ぐ「区切り打ち」の方法がある。仕事を持っている人は、「区切り打ち」が多いし、「通し打ち」は、時間的余裕のある退職者、仕事の繋ぎ目(前の仕事と新しい仕事の合間を利用)の人、学生などが多かった。

 さらに、機会があれば私もしたいところであるが、88ヶ所以外の別格番外霊場20ヶ寺や88ヶ寺の奥の院もきちんと回る人もいる。これには、まだまだ日数が必要である。中でも、帰宅後知ったが、厳しい修行の場となったという73番出釈迦寺の奥の院・捨身ヶ嶽禅定の鎖場はぜひ行ってみたいところであった。

 体の慣れについては、通し打ちは、最初の3〜4日がもっとも辛く、1週間ほどを過ぎると筋肉痛などもなくなり、歩きに慣れて歩く体になってしまい、その後は、快調に歩き続けることができるようになる。しかし、区切り打ちの人は、慣れる頃に終わるという具合らしい。

 また、足の故障であるが、マメや靴擦れの悪化・化膿、関節炎、肉離れ、腱鞘炎、疲労骨折などの故障や、転倒しての骨折や捻挫などでリタイアする人も多いと聞く。私の場合は、後半、足首の上の一番細い部分の前面の腱鞘炎か頸骨の疲労骨折と思われる痛みに悩まされた。特に登りは痛くないのに、下りは痛みが増す感じであった。一番痛かったのは60番の横峰寺の下りだった。また、午後の疲れが出てくる頃に痛みも増す感じであった。

 しかし、歩きに影響するような我慢できない痛みではなく、動かさなければ痛みはなかった。午後になると腫れてくるので、宿へ入ってから氷をもらってアイシングをし、寝る前やスタート時に鎮痛消炎剤を塗った。テーピングもしてみたが、かぶれやすいので止めた。しかし、最後の5日間ほどはその痛みもなくなり、最後の3日間は完璧な状態で歩くことができた。 

<衣装・装備・持ち物等について>
○衣装・装備
 基本的には、菅笠、半袖Tシャツの上に、白衣、輪袈裟、登山用ズボン、金剛杖、ウォーキングシューズ。(山を越えるような汗を掻くときは、白衣と輪袈裟は着けないで、お寺へ着いたら着ける)

○リュックの中(ほとんど山用品)
  ゴアテックスのカッパ、洗面道具一式、ひげ剃り、タオル、テーピング用具、薬・サプリ・鎮痛消炎剤、はさみ、洗濯ばさみ、小袋洗剤、着替え(※すべて速乾性の生地のTシャツ1枚、パンツ2枚、靴下1足、長袖シャツ1枚)、軍手、ランニング用帽子、非常食、PC・PC関係コード、カメラ・携帯電話充電器・・・・。カメラ(リュックの肩ベルト)<合計7〜8kg?>

 ほとんどの宿に洗濯機や乾燥機があるので、こまめに洗濯をすれば、着替えを最小限におさえることができる。リュックの重さの理想は5kg以内だという。

○山谷袋
 納経帳、押印用白衣、蝋燭・線香・ライター、納札、賽銭用小銭、遍路地図、テッシュ・濡れテッシュ、手帳・ボールペン、財布、携帯電話・・・。<合計2.0kg?>

○雨の日
 菅笠にビニールカバーを着ける。後半、気付いたが、前の方で山谷袋もろともゴアテックスのカッパで覆うことができるので、そのようにしたが、山谷袋の中の物はビニール袋の中に入れた。リュックは、リュックカバーで覆っても、背中を流れる雨でリュックが濡れるので、大きなビニール袋にリュックの中の物を入れるようにした。暑いときは、どうせ汗で濡れるので、山谷袋だけカッパでくるみ、上半身は半袖のTシャツのまま濡れて歩くことが多かった。

○靴
 当初用意していったゴアテックスで、ミッドカットタイプのミズノのウォーキングシューズ(フリーウォークOD400GTX)は、13日目で同宿者(お遍路さんでも四国の人でもないらしいのが幸い)に持って行かれてしまう。遍路中は、どんなことがあっも「御大師様がしたこと」と割り切ることが大切だとか・・・・。次に購入したのが、同じミズノのオフロード用のフリーウォークOD500α(5KF-35005)である。

 前者は、スーパー健脚大師ことTaさんも履いていたが、ゴアテックスゆえに雨の日は最高であった。また足首まで包まれているので急な坂道の下りに安定感があった。しかし、やや指周りが狭い感じで合成皮革のせいかやや堅く、指にマメができやすい感じがするのと、ソールが柔らかく作られているので減りが激しい気がする。

 その点、後者は雨の日と急坂の下りにはハンディはあったが、一緒に買ったインソールのよさと天然皮革のためにフィット感がよく、指周りもゆとりがあり、マメもできなかった。また、オフロード用のやや堅めのしっかりとしたソールのためか非常に減りが少なく、山道も歩きやすかった。

 途中で逢った人に、ゴアテックスのミッドカットタイプの靴(雨や登山モードの日)と、ソールのしっかりした軽いスニーカー(晴れの舗装道路の多い日)の2足体制で歩いている人がいた。これが理想なのかも・・・?

 なお、雨で濡れた靴は、古新聞をもらって丸めて靴の中に入れ、3度ほど交換して湿気を取ると、次の日はほとんど乾いた状態になっていた。

<食べても食べても・・・ダイエット効果>
 日常の食事のご飯はお替わりすることはない自分であるが、遍路中、宿の料理は普段の食事よりボリュームがあるにもかかわらず、朝夕しっかりお替わりをしていた。お昼のうどんなども大盛りを注文することが多かった。それだけ、体が要求するのであろう。ビールも2本飲むことが多かった。
 
 それにもかかわらず、風呂の鏡で見る自分の体が細くなっていくのが分かるくらいであった。旅に出る前は64kgで体脂肪18%ほどであったが、帰ってきたときには61kgで12%とアスリート並みの数字になっていた。最後の3日ほどはあまり歩かず、しっかり食べたので、ピーク時にはもっと低い数値であったにちがいない。

 中には、やや太めの人で10kgも痩せたという人もいた。しかし、全然痩せないという人もいた。後者は、1日20〜25km程度しか歩かない人であった。30km以上歩く人は概ね痩せてくるようである。それだけ、消費エネルギーが多いということであろう。

 昼食は、そのコースによってはコンビニや食堂もなく、非常食で間に合わせたことも何度かある。

<マメ対策>
 歩き遍路の人は多かれ少なかれ、マメに悩まされているようである。私も25kgほども背負っての数日間縦走登山やハーフマラソンなどでも、未だかつて足にマメを作ったことがないのに、この旅では、山と同じ厚手の靴下を履いたが、前半、10指のうち次々と7指ほどにできた。やはり、山とは歩く距離が違うのと、アスファルトの上を長く歩くこともマメのできやすい環境なのであろうか?あと汗で蒸れるからできやすいと言う説もある。指同士が擦れてできるマメのと靴に擦れてできるマメがあるようだ。

 マメはきちんと手当をすると、歩きには影響のない痛みであるが、中には、化膿して旅を中断する人もいると聞く。傷負けのしない私は水ぶくれに針を刺して水を抜き、夜間にバンドエイドを巻いて寝るだけである。朝までにほとんど痛みはなくなり、朝、指用のテーピングをしっかりすると歩いても痛みは感じることはなかった。しかし、堅い部分にできるマメは数日間痛みを感じることもあったが、一度完治した部分にはマメはできることはなかった。
 
 あと、予防したのでできなかったが、足裏の親指の付け根の部分は、歩き始めて1日目で痛くなったので、幅広のテーピングをクロスさせて貼って数日間歩いた。ここにマメを作ったらなかなか痛みは引かないかも知れない。しかし、最後には、足の裏や指の裏は踵と同じような堅さになってしまった。

<モバイル更新について>
 関係機器で3kgほどは重くなるが、PC(12インチ)を持つことで、写真を何枚でも取り込むことが可能であるし、詳しいリアルタイムな記録として残すことができる。さらに、HPへ発信することで、多くの方からいただいたアクセス、掲示板やメールでの激励や感想が、歩きと更新の大きな原動力となった。

 ただし、5日目に不注意で液晶画面を割ってしまい、当初2/3ほどの作業面積があったが、だんだん狭くなってきて、最後まで持たないのではないかとハラハラしながら更新を続けた。最後の10日ほどは使える画面が左側2/5ほどになってしまい、窮屈な中での更新作業となり、帰宅するまで、自分のアップしたページを全体の大きな画面で見ることはなかった。そのために写真の重なりや誤字などの多いページ構成になったのは、申し訳ない感じがする。

<費用>
 費用は、旅の最中は概ね1日1万円前後で、往復の交通費ほかも含めてざっと50万円ほどであった。決まっているものは、1ヶ寺での納経代(納経帳への墨でのサインと朱印300円、白衣への朱印200円)だけで、賽銭はその人で違い、自分は本堂と太師堂で20円ずつにした。これだけで、(40円+500円)×(88+高野山2)=48,600円である。しかし、賽銭は10円玉がなくなり両替ができないときは、その時々で多かったり少なかったりしたときもある。

 一番多くを占める宿代は、2食付きで5,500円〜7,000円が最も多かった。素泊まりも多く利用したが、民宿で3,000円、ビジネスホテルや旅館で4,000円〜5,000円ほどであった。お寺の宿坊は概ね安いようであるが、私の場合は2回しか利用せず、5,500円と6,800円と極端であった。

  あと、必要経費として、宿へ着いての一番の楽しみなビール代(概ね宿では瓶ビール500円)、ペットボトルに入ったお茶やスポーツドリンク、昼食代である。昼食は、そのコースによってはコンビニや食堂もなく、非常食で間に合わせたことも何度かある。


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