23日目 2004、10,27 (晴れ)  移動のみ  <37.3km> トータル<660.6km>    

ビジネスホテル春日>6:40→(35.6+1.7km)→16:05<ビジネスホテルパール>(宇和島市郊外)

○風光明媚な入り江の真珠などの養殖施設
 6:40、出発。これまででもっとも寒い朝である。長袖のシャツでも寒い感じがするし、歩いていると手が冷たいくらいである。この旅で初めての経験である。国道56号線を北上し、とりあえず、今日の長い柏坂峠越えの遍路道の取り付き地点である8km先の愛南町の旧内海村を目指す。

 山を越えると、左手に風光明媚な海が広がり、養殖施設の浮き球がきれいに並んでいる。地元の人に聞くと、外側は真珠の養殖で、手前がここの名物のひおうぎ貝とのことである(1,2)。そんな眺めを楽しみながら下っていくと、右側にこれから越える柏坂峠の山と稜線が見えてくる。。

○いにしえにタイムスリップできる登山モードの柏坂峠越え
 一昨日の月山神社の山越え、昨日の松尾峠越えに引き続き、歩き遍路ならではの今日の楽しみは、標高470m、距離にして約8kmの山道が続く柏坂峠越えである。標高がこれだけある峠越えは土佐路にはなかったので、阿波路以来である。

 峠越えの遍路道は、昔の人たちが往来した街道が多い。道も自然のままであるので、長い間歩き込まれた歴史の重みを感じる。当時の旅人の様子を思い浮かべながら、タイムスリップして、いつの間にか自分をその中に置いてみるのが楽しい。

 8:30、内浦村の市街地で、国道56号線から離れ、川沿いの道を山の方へ入っていく。1kmほどで、標識があり、他人の玄関の前を通り、そのまま山へと入っていく(3)。登り初めは結構急登で、雨のせいか荒れた状態である(4)。道は北側へ斜面をトラバースするようにして稜線の上へ続いている。

 道の途中に、この峠とどのような関係があるのか知らないが、野口雨情の短歌の碑がたくさん建っている。

 40分ほどで、標高400m地点にある柳水大師に到着する。旅人のために弘法大師が柳の杖を土に刺したら、そこから甘露な水が湧くようになったという言い伝えのある湧水が竹の樋の上をコンコンと流れている。飲んでみたがなかな美味しい水である(5)。

 途中で新しい林道の取り付け工事の現場を横切るが、遍路道の前後に、よく国道などで見られる「ご迷惑をお掛けしてます・・・」の看板が立っているのが面白い。

 やがて、稜線を越えて、津島町に入り、尾根の上を下り始める。樹間から、再び入り組んだ岬や島が点在する海が広がる(6)。

 下りに道には、この街道に伝わるいろいろな面白い逸話が書かれた説明板が設置されている。それらを読みながら下っていくのも楽しい。また、途中にはイノシシの掘り返しと思われるところがあちこちに見られる。

 やがて、一部農道と兼用の道になり、みかん畑の中を通る(7)。その中から、手に3個のみかんを持ったおばさんが現れる。。「ご苦労様です。どうぞ、食べてください。」と手渡してくれる。よく、みかん畑でのお接待の話は耳にしていたが、うれしいものである。

 もぎたての熟したみかんの味を楽しみたくて、まもなく歩きながら1個口にしたら、美味しくて、他の2個も立て続けに食べてしまう。若い頃、みかんが好きで、一気に10個くらい食べないと食べた気がしなくて、結婚したてのころ、亡くなった妻に「箱で買っても直ぐなくなってしまう。」とよく嫌みを言われたのを思い出した。

 再び遍路道となり、11:15、2時間半に渡る登山モードの自然のままの道は、下の集落の中の舗装された農道へと繋がっていく。

○芳原川の畔を歩く
 津島町の市街地の遍路道は芳原川の堤防の上に続いている(8)。海の堤防の上に続く遍路道は土佐路で経験したが、これだけ長い川の堤防の上の遍路道は初めてある。

 お昼ごろ、その直ぐそばに食堂を見つけ、日替わりランチを食べる。アジの塩焼きとポークカツがメインであった。その後も川縁を歩くが、見たことのない施設を2ヶ所で目にする。いったいこれは何に使うものなのだろう?(9)。後日、これを現場に確かめに行った松山市のNaさんから、次のような回答をいただきました芳原川(ほわらがわ)に架かる木造橋の橋桁でした。修復すれば幅0.7M、高さ2.1M、長さ45M(50Mは訂正)の立派な木造橋です。
橋の名前は ゛ほわら仮橋゛といいもう100年も昔からあるそうです、今年は台風水害で3回も流され、そのたびに地元町内会有志 本日は12名で修復しているそうです。津島大橋より南550Mの位置にあり、後1本は更に上流500Mに有りました。(共に私設橋のようです)
2.この橋は先人の工夫で作られたとてもユニークな優秀かつ全国でも珍しい橋なのです、橋桁の上に長さ5Mの歩み板が右側に5枚、左側に4枚有りそれぞれをワイヤーでつないでいる、
川が増水して来ると歩み板は水の浮力で浮き上がり川の右岸に5枚と左岸に4枚に別れて流されない。次に斜め棒の役目は横向きに大きな長い木等が流れて来た時はこれをすくい上げて下流に安全に流し橋桁に物を詰まらせないのです。
其の後数日して水位が下がれば歩みいた5枚と4枚を回収し橋桁に乗せると修復は完了で2時間位で直るそうです。)

 やがて、岩松川と合流し、海の方へ流れる川の津島大橋を渡ると(10)、津島町の市街地へと入っていく。その後は、国道から離れ、7kmほどの旧国道を通る。そのピークで宇和島市へと入っていく。再び国道56号線に出る。

 今日の宿は、当初の計画では宇和島市内と思っていたが、時間的にも無理なのと、明日は距離が短いので無理せず、途中から、市街地手前の「ビジネスホテルパール」へ電話する。このホテル、遍路道である国道56号線から2kmほど外れていて、だんだん山の中に入っていくので、心配であった。

 夕食は、ホテルの中に焼き肉屋があったので、この旅、初めて一人で焼き肉パーティーをした。

○山男ならではの感激のお接待
 どこで書こうと悩んでいたが、とりあえず、今日の段階でここに書いておこう。10/23の掲示板に松山市のNaさんという方から初めての書き込みがあった。それは、myHPを3年ほど前から見ていた登山愛好家らしい。このたび、私がこの四国遍路の旅に出たことを知ったので、過去の台風のために寺まで行けないという60番横峰寺へ、自分の足で直接行って来て、お寺までのルートの様子と行き方を調べてきて、それを書き込んでくれたのである。これだけでも感激のお接待だったのに、50番か51番のお寺でお逢いしたいとのことであった。

 ところが、それで終わらなかった。私が途中で1日休んでも一番近い札所から石鎚山に登りたいとレスを入れたら、自分も案内旁々車を出して同行してくれるというのである。彼からの情報で今後の行程を検討したら、多分、石鎚山登山は10/31になりそうである。こんな感動・感激・感謝のお接待を受けるのは私だけであろう。今から、4日後が楽しみである。

○支出
 スポドリ&お茶300円、昼食(日替わりランチ)700円、夕食(焼肉)3,400円、宿代4,500円<合計8,900円>
 
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