21日目 2004、10,25 (曇り)  39番  <40.4km> トータル<597.5km>    

<民宿叶崎>5:00→(7.8km)→月山神社→(32.3km)→39延光寺(0.3km)→15:00<民宿へんくつ屋>(宿毛市)

○月山神社と大月へんろみち保存会
 5:00、今日はこれまでの最長距離で40kmを越すので、昨夜の内に用意していただいた3個のおにぎりの内、1個だけ食べて、真っ暗な中をスタートする。水平線に漁り火が並び、叶崎灯台の光りが回っているのを眺めながら、国道321号線を西へ進む。漁り火は途中の漁港で聞いたら、鯖獲りの船だそうである。

 次の集落の月灘の間にもトンネルが二つあり、断崖絶壁の上を橋が通っている。真っ暗な中にも足下の遙か下にうち寄せる白い波ははっきり見える。今はトンネルや橋で快適に通れるが、昔はその崖の途中や浜辺などを歩いたり、山を越えたりしたのであろう。いずれにしても、かなりの難所だったに違いない。月灘の手前から大月町へ入る。

 1時間ほど歩いて、ようやく明るくなってきたころ、国道321号線と月山神社へ分岐にぶつかる。そこから遍路道となる。堤防のそばの道を進み、月浦?という小さな集落の裏山の墓地の中に遍路道は続く。結構な急登である。ところどころに地元の小学生手製の可愛い励ましの標識がぶら下がっている。いつの時代のものか分からないが、道端に神社までの丁石が17丁からすべて設置されている。あと4丁のところで車道に合流するが、直ぐまた遍路道に続く。

 6:50、番外霊場の月山神社に到着する(1)。この神社は、もともとは守月山月光院南照寺という神仏混淆の霊場だったらしいが、明治元年に月山神社になったそうである。ご神体が白鳳時代の修行僧によって発見された月形の石がその名称の由来らしい。隣に大師堂も建っている。

 カメラの電池が切れていたので、宮司さんの家の車庫のコンセントを借りて充電しながら、残りの2個のおにぎりを食べて、下山を開始する。初めは車道を下る。直ぐに、樹間から宿毛湾の向こうの岬が見えるが(2)、途中から「大月へんろみち保存会」の標識が、山中の車道を辿って、国道321号線へ繋がる遍路地図の道とは別の道へと案内している。こちらの方が国道への近道と書かれている。

 多分、最近になって地元の有志が保存会を結成し、もともとの遍路道を枝払いや草刈りなどの整備して歩けるようにしたようである(3)。急な斜面をジグザクに下りていくと、海辺へ出る。そこは「赤泊の浜」である(4)。そこから農道のような道を通り、小さな集落を経由して、大きな道路に繋がるが、その標識を辿っていくと、8:25,姫の井の市街地で国道321号線にぶつかる(5)。遍路地図より1kmほど先である。その後、ひたすら国道321号線を北上する。

○「お接待は自分のためですから・・・」
 大月の市街地で、後ろから「お遍路さん、お遍路さん」と呼ぶ声がする。振り返ると財布を持ったおばさんが走ってくる。「お接待させてください。こっちへ戻ってくれませんか?。」と言うので戻る。自動販売機の前で、「この中から2本ほど好きなものを選んでください。」とのことである。

  ゲータレードのペットボトルと缶コーヒーをいただく。丁寧にお礼を申し上げると、「あなたのためにするのではないのです。自分のためなのです。こうすることによってお大師様とお近付きになれるのです。」とのことである。納札を差し上げると、「近くにお大師様があるので、必ずお納めしておきます。」とのことである。

 しばらく行くと、おばあちゃんが私の姿を見て合掌してくれる。「ありがとうございます。」と言うと、「なにもお接待できるものを持っていないので、ごめんなさいね。」と言ってくれる。

 だんだんミカンの名産地の愛媛へ近づいて来たのか、みかん畑はそれほど目にしないのに、道端にみかんの無人販売所がやたらと目に付いてくる(6)。

○2日ぶりの札所・39番延光寺と民宿へんくつ 
 昼食は、道の駅すくもで摂る。ここまでで7時間で30km歩いたことになる。月山神社の山越えをしたにしてはいいペースである。反対側から逆さ打ちしているという70歳前後の男性と一緒になり、昼食を食べながら、昨日のHPを更新する。その方は、記憶力の凄い方で、これで2回目だというのに、お寺の名前やその前後の道の様子などすらすら出て来るのには驚いてしまう。彼と反対側に別れて、宿毛湾を眺めながら海岸を歩き、松田川の橋を渡ると宿毛市の市街地へと入っていく(7,8)。


 14:45、足摺岬の38番金剛福寺から72km離れた、二日ぶりの39番延光寺へ到着する(9)。参拝も読経も新鮮な感じすらしてしまう。

 その境内から、その下にあるという「民宿へんくつ」に名前に話題性を求めて予約の電話を入れる。

 宿の周りに廃物や拾得物などを利用した手作りのいろいろ造形物を配置した一風変わった雰囲気の民宿である。風呂も名物の手作りの石風呂である(10,11)。この旅で初めて食べた北海道から送られてきたというジャガイモで作ったという肉じゃがが美味しくておかわりまでしてしまう。

 夕食で缶ビールを2本飲み、安い宿代を払いに下りたら「ビール代はいいよ。サービス!サービス!」と言う。金剛福寺から3日掛けて同じコースを歩いてきたという千葉県船橋のKoさんという63歳の男性と二人だけの泊まりであった。

○支出
 賽銭40円、納経代500円、CCレモン150円、パン130円、昼食(カツカレー)800円、宿代(缶ビール2本サービス)5,000円<合計6,620円>

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