15日目 2004、10,19 寺なし、移動のみ (雨)  <36.4km> トータル<416,1km>    

<国民宿舎土佐>5:20→(35.4km+1km)→15:05<大谷旅館>(中土佐町)

○雨の中、樹間から覗くリアス式海岸の眺望だけを楽しみに
 ここの36番の青龍時から次の岩本寺までは約54kmも離れている。そこで、今日は約35km先に宿のある中土佐町の市街地まで歩くことにする。これで2回目の移動のみの日である。距離もあるので、早朝暗い内の出発にする。

 5:20、台風23号の影響で、10日ぶりの土佐路に入ってから初めての雨である。風はないので、暗い中出発する。まずは、22kmほど先の須崎市市街地を目標にする。12kmほどは、リアス式海岸の細い半島の尾根付近に続く県道47号線の歩きである。一度50m付近まで下りてまた登るが、概ね標高110m〜130m付近の山中の道であるが、左側には荒々しい波が押し寄せる外海、右側には静かな浦ノ内湾がときどき樹間から覗く。それだけを楽しみに、あとは黙々歩く。雨足はそれほど強くなく、霧雨状態である。

 途中で、右側の内海の方へ、高校野球や今の横綱の朝青龍の出身校で有名な明徳義塾中・高校へ下りる道がある。てっきり高知市内だと思っていたので意外である。また朝青龍のしこ名はこの手前の36番寺の青龍寺(しょうりゅうじ)に因るに違いない。途中でそのスクールバス2台に出会った。

 歩き始めは、いつもそうだが、疲れを感じないので、どんどん歩くことができる。途中トイレに寄った以外は休むこともなく黙々と歩き、2時間過ぎの7:30、武市半平太の銅像が建つ須の浦の公園で(3)、昨日の内に買っておいたパンだけの朝食を摂る。

 やがて、その道はだんだん下っていき、内海に面した道になる。県道23号線にぶつかり、田園風景の中、須崎市市街地へ向かう。途中の道端に栗が落ちているので、それを拾いながら歩き(4)、それを食べながら歩く。

 11:30、国道56号線に合流し、市街地を抜け、すさき道の駅で少し早い昼食タイムにする。まぐろ丼セット(うどんとのセット)を注文する。ここで、中土佐町の大谷旅館に予約を入れて、あと10km強なので、ゆっくり休憩する。

○断崖がみかんとびわ畑の角谷峠とカニに出会った焼坂峠
 道の駅を出てまもなく、国道56号線から離れる旧道の角谷峠経由の道が遍路道である。この道は最近まで使われていたらしく、終始コンクリート舗装されていたが、左側はもの凄い断崖絶壁の上で、その下の海岸には荒々しい白波がぶつかっている(6)。

 さらに驚いたことに、その断崖絶壁の斜面がみかん畑やびわ畑になっていて、あちこちに収穫の際に使うレールが見られる。この峠道は、わずか30分ほどで抜けたが、今はこれらの農道と遍路道として、利用されているようである。

 そこを抜けて、1kmほど、旧街道筋の集落の中を抜けると、今日のハイライト、標高228mの焼坂峠である。この道は、まったく今は遍路道としてしか利用されていない自然のままの山道であるが、その昔は賑やかな峠道だったに違いない。

 この峠の手前で、4日前に同じ宿に泊まった福島県のAさんに追い付く。同じ大谷旅館に泊まるとのことである。急な道になるまで一緒に歩いていたが(7)、「先に行ってください。ゆっくりペースで登りますから・・・」との言葉に甘えて、山道になると喜ぶ足の赴くままに先に登らせていただく。

 峠を越えると、杉林で沢もないのに、足下に真っ赤な4〜5cmほどのカニを見つけ、びっくりする(8)。周りに沢でもあるのかと探すが、まったく見当たらない。ところが、その後にも合計6匹も目にする。沢のあるところで探すが、まったく姿は見えない。宿で夕食を共にした際、Aさんは徳島県でも目にしたそうで、このカニは山に住むが産卵は海でするために海に下りるとのことである。宿の娘さんも裏山でよく目にするそうである。

 その後に、これまた不思議なメノコトタンの蓋がされていて、その上に石が置かれている高さ40cmほどの箱状のものや中がくり抜かれていると思われる丸太状のものが道端にずっとたくさん並んでいる(9)。しかも、その所有者を示す名前が記されている。これはこれは一体何であろう。宿で聞いても分からなかった。(早速、読者の方から、回答をいただきました。カニはアカテガニという陸生のカニで、箱状のものはニホンミツバチの養蜂用の巣とのことで、ニホンミツバチがあそこに巣を作ってくれるのを自然に待つ方式だそうです。ありがとうございました!))

 その峠は4kmほどであったが、1時間15分も掛かる結構厳しい峠道であった。峠を下りて、再び国道56号線を歩き、旧街道筋の道に入り、15:05、大谷旅館へ到着する。

 昔からの宿らしいが造りもしっかりとしていて、間取りも昔のままの趣が残っているのに、手入れや掃除が行き届いていて、快適な宿である。Aさんは20分ほど後に到着した。洗濯をして、HPの更新作業に取り掛かる。今日は二人だけの宿泊である。風呂も北海道弁でいうアズマシイ風呂であった。

 Aさんと一緒に夕食を摂るが、明日の予定について話し合う。次の泊まれるところは20km先の岩本寺である。テレビの天気予報を見ても、台風23号が午前中5時間もおとなしくしている可能性は薄い。多分明日は停滞日になりそうな可能性大である。

 宿にそのことを話すと、「台風が来ると、あり合わせのものでしか食事の用意ができませんが、それでよければ?」とのことである。夕食後、HPの更新作業をしていると、外へ買い物に出掛けたAさんが缶ビールを買ってきてくれて、差し入れしてくれた。感謝!

○支出
スポドリ150円、昼食(まぐろ丼セット)1050円、瓶ビール500円、宿代7,000円<合計8,700円>

明日の予定
台風の影響がなければ、岩本寺経由佐賀温泉であるが、多分停滞日になりそうな可能性大。

14日目へ戻る  16日目へ進む

「一人歩きの四国遍路旅日記」トップへ       HOMEへ

inserted by FC2 system