八兵衛岳(790.5m) <松前町>
 南尾根ルート  2名  09,8,29

地図にない林道からアプローチし、強烈なネマガリダケを掻き分けて・・・
 
4:50 自宅発
6:40 松前・道々607号線へ
登山地点下山
8:10
9:00
9:30
尾根取り付き
稜線南端
頂 上
11:10
10:25
10:10
[1:20]所要時間[1:00]
13:15 白神岳山頂    
14:00 吉岡温泉・ゆとらぎ館
            (入浴)
 
  松前町は和人が早く住み着いたところなので、奥深い山にも名前が付き、アイヌ語に由来しない山名がたくさんある。その中でも、大千軒岳の南西に位置するこの八兵衛岳は、由来は不明だが人名が山名になっていて、二等三角点(点名・八兵衛岳)が設置されている。

 大千軒岳新道・旧道登山口へ向かう松前側からの林道(道々607号線)の小鴨津川を渡る手前から西側に見える山である(1)地形図には掲載されてはいないが、道々607号線からこの山の南側を巻くように付けられている林道を2年前の偵察時に見つけておいたので、それを利用した(トラックログ参照)

 できれば全山踏破したいと思っている道南700m超峰76座の72座目の山として、SHOさんと二人で登ることができた。この山は、更に西に位置する前八兵衛岳とセットで登ろうと考えていたので今まで残ってしまった。しかし、前八兵衛岳へのアプローチは残雪期の1泊でなければ無理なので、この山を先に登ることにした。
○作業道から強烈なネマガリダケの尾根へ

 道々607号線から繋がるその林道からはいくつかの尾根が頂上へ繋がっている。幸い一番高い地点(c640から造林関係の作業道が付いている尾根を見つけて、そこから取り付くことに・・・(2)ここからなら、距離にして700m、標高差150mほどで、薮山にしては楽勝の部類なのだが、ネマガリダケが濃くないことを願って準備する。雨上がりなので、上下カッパを着てスタート。

 造林の刈り払いは、南尾根に合流するc680まで続いていて助かった。そこから意を決して、背丈を遙かに超えるネマガリダケの尾根へと突入(3)進むべき前は見えないが、登りは、足元の高見を狙って前進することで尾根を外すことはない。また幸い尾根の中央にダケカンバの木が生えているので心強い。

 しかし、願いは空しく、徐々にネマガリダケの密度は濃くなり、丈も高くなり、掻き分けて進むのがきつくなってくる(4)最近の薮漕ぎでも最強の部類である。足で踏んづけ、体で掻き分けるようにして一歩進む。先の見えない穴蔵の中を進むような感じで、忍耐の登りを続ける。

○細い稜線を頂上へ

 やがて、ネマガリが細くなって丈も低くなると、斜度が緩み頂上稜線の南端に上がる。ようやく薮の上に視界が広がり、細い稜線の先に目指す頂上が見える。地形的に細い稜線はネマガリダケがそんなに濃くないことが多いので助かる(5)

 今度は、薄くなったネマガリと灌木の幹に行く手を遮られるが、それほど苦労はない。しかし、先に見える高見を越えると、さらに高いところが見え、なかなか着かない。南斜面はずっと急な草付き斜面となり、展望が広がる。

 1時間20分で、頂上だと思った一番高い地点を通過しても、三角点は見つからない。少し先に進んで戻る。頂上の少し手前の南斜面に岩が露出して周りに花が咲いている快適なところを見つけ、そこで休むことに・・・(6)。東南側には、大千軒岳と前千軒岳が見える(7)ただし、前八兵衛岳などの西側は林の陰で観ることができない。


頂上下の草付き斜面ほかに咲いていた花たち 

ヨツバヒヨドリ(赤)とエゾゴマナ(白)

アザミの仲間(名称不明)

コガネギクとエゾゴマナ

色鮮やかなネジバナ
軽く腹ごしらえをした後、時間的余裕もあるので、再び三角点探しに挑戦。しかし、木の葉などが厚く積もっているので、その下になっているであろう。いくら探しても見つからないので諦める。

 帰宅後、国土地理院の「基準点成果等閲覧サービス」のサイトで調べたら、「点の記」もなく、「現状報告」もないままになっている。どうやら見つけられないままになっているらしい。

○何度も転倒しながらの下山

 ブヨが煩くてゆっくり休んでいられない。額や左のまぶたや首を食われたが、いつも持参する薬も防虫スプレーも忘れて来たのでどうしようもない。1日経った今も左目はお岩さん状態である。

 下山を開始するが、稜線の南まで来ると、日本海に浮かぶ小島が見える(8)稜線の南端からは深く先の見えないネマガリダケ林の下りとなる。幸い、引っ張られるような派生尾根もなく、尾根の中央に生えているダケカンバの上の枝を薮の中から探しながら下る。下りのネマガリダケは滑るので、バランスを崩して、二人とも何度も転倒して手こずる。それでも、登りよりはだいぶ速い。なんとか登りで薮に突入した地点にピッタリ出ることができた。

 林道で何ヶ所かこの山が見える地点で写真を撮り、長い道々607号線を戻り、国道に出る。

○北海道最南端の一等三角点の白神岳へ

 時間的余裕があるので、SHOさんがまだ登っていない白神岳へ、福島町の松浦地区から頂上直下まで続く車道から車で再訪する(右地図)過去2回は天狗山からの縦走ピストンと薮で覆われた昔の白神山道跡を辿って登頂しているが、そのときに車で上がれることを知ったので、初めて車で訪れてみた。この車道は、昭和43年に白神岬のトンネルができるまでの吉岡峠を越える旧国道で、今でも松前町大沢まで車で通れるとのこと。

 北海道最南端の一等三角点らしく、松前半島はもちろん、津軽海峡を挟んだ津軽半島の展望がくっきりと見えるのに、SHOさんは大感激である。 

<過去2回の白神岳の記録はこちら>
「05,5,26の天狗岳〜白神岳」へ   「06,5,25のいにしえの旧道・白神山道」


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