函 岳(1129.8m) クトンベツルート  同行者3名
01.4.1(日)

はるばるきたぜ〜函岳へ(函館から)・・・ひょんなことから函館から550kmも北上し、道北の名山にスキー登山してきました。広く長いダケカンバの疎林帯がみごとでした。

3/31 美深道の駅(車中泊)
4/ 1 
  5:30 同上集合・出発
登山 地点下山
 6:10
 7:45
 8:10
 9:45
10:50
最終人家
462南コル
548ポコ
934ポコ
頂 上
13:20
12:35
12:25
11:45
11:15
[4:40]所要時間[2:05]

13:40 天塩川温泉(200円)入浴
14:30 解散
22:00 函館(帰宅)
函岳ルート地図 夏道が車道しかなく積雪期にしか登山者が訪れないという道北の静かな名山・函岳・・・函館人としてはなんとなく気になる名前の山である。全山一人歩き完登した「北海道百名山」(山と渓谷社)の次の新しい完登目標である「北海道の百名山」(北海道新聞社)に選ばれている未踏の山(残り10山)の一つであった。

 GWに挑戦しようとの計画で、美深在住のNさんに情報提供をお願いしていたが、本人もまだ登っていないので、「4月1日に偵察登山してきます。」とのメールが入る。「なんという神様の思し召し・・・ちょうど滝川に住んでいる娘の砂川への引っ越しが3月31日の午後である。あと150km北上すれば合流できるかも知れない・・・、その日のうちの函館までの帰りの強行軍は気になるが、私も参加できるかも?」と返事を入れる。

 3月31日早朝、山スキー一式を車に積んで、とりあえずは引っ越しの手伝いのために滝川へ向かう・・・・引っ越しも無事終了し、無罪放免になったのが19時30分、次の朝の集合場所である「美深道の駅」へ向かい国道275号線をひたすら北上・・・・美深温泉(300円でボディシャンプー、リンスシャンプー付き)に入浴後ビールを飲んで道の駅で車中泊。
登山口から畑地を横切って・・・左奧の厚い雲の中が頂上方面
 朝目をさますと、同行するかも知れないと言っていた滝川のKさんの車もある。集合時間の5:30、美深のNさんとその同僚のSさんも揃い、登山口目指してさらに音威子府まで北上する。クトンベツルートの登山口となる最終人家の前に車を置いて、いよいよ出発である。全員はじめての山である。リーダーとなるNさんがきちんと下調べをして、地図上に今日これから辿るルートを記入してくれたものを渡してくれる。目指す頂上は奥深く登山口からは見えず、その方向は厚い雲に被われているが、雲の流れや周りの天候からみても絶対晴れてくるに違いないとの確信を持って出発する。
 
 畑か牧草地なのであろうかその広い雪原を横切り(1)、目の前に聳える487ポコの東斜面の林の中を巻き、234ポコとの間のクトンベツ沢川に出る。次の進むべきルートを確定するためにNさんとKさんのGPSに私の読図能力との鳩首会議が続く。2回ほどスノーブリッジを渡り、462ポコ南側のコルをめざして沢地形から尾根に入り、462ポコ南斜面をトラバースしてコルに到着(2)。ここからはずっと尾根道で、ルートを間違う心配がないので、ほっと一息、休憩。
462ポコ南側コルから478ポコへの斜面を見上げ、ルート確定をするNさん
 ここから先にはトレースはもちろん心強い味方となる赤いテープなるものの一つも目にすることのない山である。まずは487ポコ手前のピークを目指して帰りの滑降が楽しみなおいしい疎林の中斜面を大きくジグを切って登って行く。なんと、この時期にしてはうれしい粉雪の浅いラッセルである。

 次は、487ポコと頂上から続く広大且つ長大な斜面の末端を繋ぐ細い吊り尾根状態の尾根渡りである。地図上からも予想していたが、両側から深い沢が切れ上がり途中に4つほどの岩頭状のピークを連ねている痩せ尾根である。もちろんそのピークはとてもスキーでは越えられる状態ではない。その裾の急斜面をトラバースするしかない。Nさんは地図とにらめっこしながら沈思黙考状態である。私が先頭になりやや傾斜の緩い北側(左側)に下りてルートを探す。どうやら切り抜けられそうである。みんなに声をかけ、その後は、Kさんを先頭に3つほどの岩頭の下は全部北側をトラバースしてまさに渡りきったという状態で休憩。
 800付近のダケカンバの疎林帯を行く
 ここからは、ただひたすら頂上をめがけての標高差550m、地図上で4.5kmのだだっ広い尾根の直進である。こんな長い距巨大キノコ?離を直進する山も珍しい。まずは、850m付近までは帰りの滑降が楽しみな斜面を抜け、そこまで到着すると頂上が見えるはずの934ポコを目指す。少しの間は混合林の中を進むが、巨大キノコのような自然の造形物も出現したり(3)。冬山では初対面の真っ白なウサギが飛び出してきたりと楽しい光景が続く。カメラを構える間もなくどこかへ消えてしまった。やがて広いダケカンバだけの疎林帯となる(4)。天候も上がり、青空をバックにしたダケカンバの樹氷が美しい。振り返ると、ピッシリ山を中心とした1000m以下の稜線が連なる天塩山地の山並みが春の陽光を浴びて輝いている(5)。
800付近から辿ってきた稜線と天塩山地を振り返る
 いよいよ頂上との対面が楽しみな934ポコに到着。果たして目の前に緩やかに横たわる真っ白な頂上が待っている。惜しむらくはバックが青空でないのが残念である(6)。この山の函岳というのは、アイヌ語でシュポペロシキプ(函を積み重ねている山)の意訳である。頂上に函を積んだような岩があるのがその由来なのか、函を積んだように平らな山に由来するのかは分からないが・・・・・このホワイトアウトになったらまったく方向を見失うであろう広大な広がりの中で、目指す頂上が見えるというのは心強いものである。あと2kmの直進、約1時間であろうとの目論見で出発する。
934ポコから頂上を仰ぐ
 目指す先に黒い標識状の人工物が雪の上に飛び出しているのが目に入ってくる。よく見ると道路標識の頭の部分である。頂上にある気象観測関係の建物への車道の標識である。やがて、頂上に頭に丸いレーダーを乗っけた白い建物が目に入って来る(7)。だんだん近づいてゆくと、これまで目にすることや耳にすることがなく静かな山だと思っていたのに、なんと頂上にスノモ軍団の姿が・・・・風向きの関係であの爆音を耳にすることがなかったのであろう。
 頂上の気象レーダーの建物と手前のスノモ軍団
 頂上のすぐ下に、屋根の下はほとんど雪に埋もれたログハウス風の大きな建物がある。なんの小屋なのか誰も知らなかった。別の方向から来た別のスノモ軍団の爆音に迎えられて頂上へ到着。樹氷状態になっている頂上標識の雪をストックで叩き落として、スノモ軍団のリーダー風の男性にカメラのシャッターを押してもらって記念撮影(8)。その男性、カメラを返すときに、「だんだんガスが上がってきましたので、早めに下りた方がいいですよ。ガスに巻かれたらこの山は本当に危険ですよ。」との助言をいただく。確かにガスが周囲から迫って来ているのは確かで、風もかなり強くなってきている。登りで見えていた天塩山地の山並みも見えなくなっているが、頂上の北に張り出した屋根棟山の形がまさにその名前の通りの形なのが面白い
頂上にて
 建物の陰でそそくさと昼食を摂る。Kさんの持ってきたビールを一口ごちそうになる。この一口がやたらとおいいしい!ゆっくりしたいところであるが、風も強く気温も下がって来て、周りもガスに被われてきている。35分ほどで下山を開始する。スノーモービルで消された自分たちの登りのトレースだけが頼りである。標高で100mくらい下りた辺りでガスから抜けほっとする。その辺りから傾斜が少し急になり、重いクラストした雪であるが少し踵荷重にするとターンをしてくれる。広いダケカンバの疎林の広い斜面に思い思いのシュプールを刻んで(9)、まずは934ポコまで下りる。振り返ると頂上はガスの中であった。さらに細い吊り尾根の末端まで、結構な傾斜の滑降を楽しんで、あっという間に標高差550mの広大な緩斜面の大滑降が終わる。
900付近の緩斜面を滑る
 吊り尾根状の細い尾根は帰りはかなりの登り返しがあるのではないかと思っていたが、それほどでもなく難なく来たときのトレースを辿り、538ポコに出る。そこからこれまでの疎林の斜面が最後の楽しみである。雪も思ったより重くなっていなくて、結構の深雪気分を味わうことができた。コルから462ポコ横をトラバースして混みいった林の中を安全第一で下り、クトンベツ沢川に出る。あとは登山口を目指し、来たときのトレースを辿る。

 車を置いてある最終人家から頂上を振り仰ぐと、朝は見えなかった白い緩やかな頂上が見えている。ただ、カメラに収めたが、バックが同じような白い雲なので、わかるように写っていないのが残念である。国道40号線をちょっと北上し、天塩川温泉へ・・・・・駐車場からも頂上がぼんやりと見えている。温泉から上がり、14時30分にみんなと別れて、函館までの550kmの長距離ドライブをスタートする。和寒まで40号線を南下中は眠くて眠くて、士別で15分くらい眠ったら、すっきりして、その後高速を繋いでノンストップで22時には無事帰宅することができた。  

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